般若芳行 創作家具展2001年9月21日(金)〜9月30日(日) ギャラリーアルトラ(石川県金沢市)
重厚な座卓とシンプルな飾り棚。―木工作家般若芳行(はんにゃ・よしゆき)の作品は、新たな工芸美の世界を広げている。 富山県高岡市生まれ。31歳。金沢美術工芸大学工業デザイン科卒業。大手家具メーカーなどに勤めたあと、信州・木曾に居を構え、3年前独立。この金沢のギャラリーで毎年個展を開き、3回目。 シンプルな李朝風な作品が好きという般若の飾り棚は、実に軽やか。たとえば、横長の棚なら背板を付けずに背後が見えるような構造。引き出しの左右や上部は飾り棚として、空間を設ける。木目が見えるように浸透性オイルを塗り、木の温みも出している。
座椅子がいい。尻の部分には自ら編んだ籐を張る。高さは約20センチ、と程良い高さ。座れば、くつろいだ気分にさせてくれる。トネリコ材による曲げわっぱ、花器、額縁など小品も面白い。 かと、思えば、重厚な雰囲気の座卓を制作。樹齢300年以上という木曾ヒノキの根元部分を生かし、漆を塗った作品に目を見張る人が多いかもしれない。 ギャラリーは、スマートな鉄筋6階建ての3階部分。3年前にオープン。金沢の台所、近江町市場に近い大通りに面し、市民らも足を運んでいる。 |
古川通泰 展2001年9月21日(金)〜9月30日(日) G-WING'Sギャラリー(石川県金沢市)
洋画家古川通泰の作品といえば、雪国北陸の風土性豊かな懐かしい世界に惹かれる人も多い。本展には童画風の作品だけでなく、装飾画、半抽象画とさまざまの手法を駆使した近作約40点を飾った。 キツネをモチーフにした作品は、この人の独壇場で、屏風仕立ての「雪夜の嫁入り」が展示された。吹雪に包まれた薄闇に浮かぶ山。満月。雪道の左右から花婿、花嫁を先頭にしたキツネの行列が途中で出会うという楽しい作品である。
さらに、童心があふれた「夏の思い出」シリーズは、白渇色の絵具を盛り上げた上に、とがった錐(きり)で昆虫などを描く。一見、エッチングか陶板画にも見える。おなじ手法で制作した「僕の里」は、木々で丸く囲んだ中に鳥などを描き、時代性を出している点が魅力。 古川の絵画世界のもう一つの魅力は、太陽や山、木々を図案化し、赤,青、金色などの明快な色彩で構成した作品。大胆華麗さを集大成の形で、屏風2点を披露した。別に、数点のモノクロに近い半抽象画は、北陸の暗い風土を思わせる作者の心象風景をかいま見せる。 1940年、富山県高岡市生まれ。新制作協会会員。富山市在住。現在、同県内の廃校を借りて制作。本展のギャラリーはJR金沢駅北にあり、120uと広い。グリーンの温室に接し、雰囲気も快適。 |
安田 淳 展2001年9月19日(水)〜9月24日(月・祝) 金沢市民芸術村(石川県金沢市)
幾何学的なモダンアートの世界を探る洋画家安田淳(石川県小松市)は、金沢市民芸術村の元紡績工場跡など2会場で、大作を中心に約70点を披露した。 「夏夢(なつにみしゆめ)」と名付けた90年代の作品は、トウモロコシをモチーフにしたシリーズ。1粒ずつ描いたトウモロコシの集積。黒1色の背景に浮かべた金箔片は月影か。五穀豊作の喜びを伝える「豊饒(ほうじょう)の美」とでも呼べそうな華やぎがある。 旧工場は、芝居の観客席として階段状に改築されたが、その床にも飾られた。赤,黒、金色で構成する大キャンバスが林立する光景はなかなか壮観だった。 一方、最近2年間の作品は、近くに移築した豪壮な旧農家の座敷に飾られた。展覧会名は「もうひとつの現実」。トウモロコシの具象は、幾何学的な赤色の抽象に変化。金箔もほとんど使われず、赤、黒2色で構成。赤は明快に描くが、漆黒に近い背景には、波のような、雨のような刷毛目を残す。自己主張を極力抑え、色彩と手法の単純化で、爽やかな世界を表現する。 小松市生まれ。金沢美術工芸大(油絵)卒業。一陽会会員。96年、伊丹大賞展大賞。95、6年、文化庁現代美術選抜展出品。41歳。 |
一創会北陸支部 2001小作品展2001年9月14日(金)〜9月19日(水) グリーンアーツギャラリー(石川県金沢市)
金沢市の郊外。2階のしっとり落ち着いたギャラリーに、16人の小品32点。印象主義的な絵があれば、ロマン主義的な作品もある。写実的な絵があれば、コラージュ(貼り合わせ)の手法を駆使した作品、と各人が自由に描いている。 一創会は23年前、石川県で、一陽、二紀、一水各会の美術団体を離れた中堅、若手作家らが新団体を結成し、全国組織に発展。北陸支部はそのかなめのグループとして活躍している。 本展に出品の寺西武久・支部長の「旅人」(M20)は、背中に袋を背負い、山脈の間を行く少年像を描く。丁寧な筆致で、強い意思を秘めたような横顔を表現し、全体を黄白色の温かい色調でまとめている。ロマンに満ちた作品だ。
西山英二・副支部長の「コーヒーブレイク」(F20)は、けだるさを漂わせた女性像で、印象主義風に描く。白っぽい上着、紫系のパンツ。体をやや後ろに傾け、曲げた左手を髪に当てた仕草がアクセントになり、絵を引き締める。背景の複雑微妙な暗褐色も効果的だ。 このほか、虎井修「花房」、蓮井廣幸「漂流」、国友博「Cielo azul」などの秀作群のほか、86歳という女性が健筆を振るっているのもうれしい。 |
佐藤 剛 作陶展2001年9月12日(水)〜9月23日(日) さとやまクラフト・横安江(石川県金沢市)
陶芸の盛んな石川県で、他府県から移住し、腰を据えて作陶している作家も少なくない。富山県出身の佐藤剛さん(32)もその1人。石川県九谷焼技術研修所や財団法人金沢卯辰山工芸工房で約7年間、ろくろから絵付けまでをみっちり習う。独立して5年。 ギャラリー「さとやまクラフト」は、金沢市の中心部にあり、工房などでの研修者らの作品を中心に展示している。佐藤さんにとっては3回目の個展。今回は、箸置き、鉢、皿、酒器、花器、壷などさまざまの作品をそろえた。 佐藤さんは九谷の土を使いながら、大ぶりの作品にはほとんど加飾していない。一見、白磁と間違えそうだが、壷などの肩部や高台付近に絵筆で青色の線を巡らせ、清潔感を漂わせた作品に仕上げている。線は時には太く、時にはかすれ、ものにこだわらない大らかな性格が滲み出ているようで、おかしい。 小皿や小鉢などの日常雑器類には、どれもイワシの絵を飾る。「あの、目刺しの姿が印象的で」と佐藤さん。腹部に銀で彩色し、変化を持たせた面白い作品もある。 4年前から、金沢の山間部で制作してきたが、今年夏、市内にある2階建て自宅に工房を移した。場所は屋根裏部屋で、1人こもって新作に挑戦している。 |
浅井 信子 展2001年9月7日(金)〜9月16日(日) 加賀アートギャラリー(石川県加賀市)
金沢在住の洋画家。近作32点に併せ、教え子らの賛助作品10点を展示した。海外展出品が多く、絵は5年前から仏独の高級ワインのラベルに採用され、今年も「能登の海」が11月15日解禁の「ボジョレ・ヌーボー」を飾るという。 本展には、自ら描くのが大好きという風景画が大半。早春と冬の信州風景を題材にした「四季礼賛」(百号)の2点は、清澄な色調で、写実的に描き上げる。ニュージランドの「Mt・クック」にしても、荘厳な雪嶺を幻影のように描き、画家自身の静かな境地を見せている。 昭和13年、岐阜県生まれ。62年、石川県勤労者展で最高賞を受賞したのを機に本格的に絵画に取り組み、日展、一水会、中日女流展などのほか、欧米諸国の公募展に出品し、受賞多数。 |
ビジョン32001年9月11日(火)〜9月16日(日) 浅の川画廊(石川県金沢市)
金沢美術工芸大学油絵科の4回生3人によるグループ展。岩本真希子、西田茜、山崎功一がそれぞれ百号クラスの大作1点を含め、合計35点を飾った。2ヶ月がかりの作品だが、3人3様面白い。 岩本の「Chaos」(百号)は、赤を基調に鮮烈な色彩で埋め、2人の裸婦を配した作品。1人は胸を反らせ、もう1人は後ろ向きに体を傾けて座る。2人の姿は明暗を分けたようで、心の揺れを思わせ、不思議な雰囲気を漂わせている。
西田の「祭日」(百号)は,右半分に障子戸を描き、赤い鉢巻、赤い鼻緒のぞうりをはいた少女が、富士を描いた浮世絵の世界を背に、部屋の中を覗きこんだ構図。現代と過去を渾然一体化しようとする作者の意図が面白い。 山崎は、抽象画と水彩を出品。抽象画は空や雲の色、木漏れ日など不確かなものを映像化している。光と影を複雑微妙な色調で写し出しているところが見所か。ペンと水彩で町の風景を描いた素描に魅力を感じた。 |
佐藤 亮 色絵磁器展2001年9月7日(金)〜9月16日(日) ギャラリー萩(石川県加賀市)
「萩の寺」と呼ばれ、白萩が咲き乱れる石川県加賀市の実性院。その向かい側に建つ蔵造りの画廊にふさわしいような作品展。青みがかった大皿に、淡彩で描かれた草花にも風が吹き渡る。 1946年、新潟市生まれ。79年以来、色絵磁器の九谷焼の本場、加賀市に腰を据えて制作。成形、絵付け、焼成までを1人でこなすという九谷焼作家では稀有な存在。日本工芸会正会員。 古九谷は赤、黄、紫など5彩の華麗な絵付けで有名。佐藤は淡彩の5彩を模索し、色調に変化を持たせながら、身の回りの草花や野鳥などを、柔らかく、優しく描く。銀座和光や大阪三越などで佐藤の作品は知られているが、地元では初の個展と人気を集めた。 |
絵画秀作展2001年9月3日(月)〜9月30日(日) ギャラリー吉純(石川県金沢市)
金沢市尾山町の朝日生命ビル1階、ギャラリー吉純で開き、近現代の日本画を中心に約20点を飾っている=写真。 京都日本画壇を代表する榊原紫峰、金島桂華、山口華楊らの一連の写生画は,都会人の気持を落ち着かせてくれる。いつまで見ていても、見飽きない。このうち、桂華の「柿に小禽」は渋い色調で、穏やかな時代性を感じさせる。 華楊の「子犬」は小品ながら、動物画を得意とし、写実に徹した画家らしく、子犬のかわいい仕草だけでなく、命の危うさまでも見事にとらえている。 いま、現代画家として人気の高い石本正の「舞妓裸婦」=写真=の前で、足を止める鑑賞者も多いだろう。石本の舞妓シリーズは有名。舞妓の目元は、如意輪観音の妖しい伏目がちの目からヒントを得て描いたとされる。本作品は厚化粧し、飾り立てた裸婦の絵だが、幼い舞妓の清らかな色気を漂わせた佳品だ。 石本は最近、故郷の島根県に美術館を開館し、制作にいよいよ実りの季節を迎えた。 |
第10回翔洋会水墨画展2001年9月7日(金)〜9月10日(月) アートシアターいしかわ(石川県金沢市)
石川県の水墨画団体、翔洋会(小川伸洋主宰)と、小川主宰の同門の遊雲会(田中遊雲子)の78人がこのほど、金沢市内のアートシアターいしかわで、第10回翔洋会水墨画展を開催した=写真。 小川主宰の「涼」は、木々を縫って滝が落ちる風景を描く。滝は画面の3分の2あたりで消え、深く落ちて行くように、下部に余白を残し、手前には濃淡のもみじを配した清涼感のあふれる作品。 このほか、太田郁洋「西穂高の早春」は、残雪の山村を描いたみずみずしい写生画。稲村年代「涼遊」=写真=は氷を敷いた箱に、7匹のメバルを入れた光景で、魚の新鮮さや氷の質感が画面からにじみ出ており、個性のある佳品といえる。
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