大場吉美・法邑利博・安田 淳 展

2001年11月29日(木)〜12月4日(火) ギャラリーノア(石川県金沢市)

大場吉美らの三人展

北陸を中心に活躍する中堅洋画家三人の近作を飾る。大場、安田は一陽会、法邑は二紀会に所属する。三者三様に個性の際立つ作品が楽しい。ギャラリーノアは、中川一政記念美術館にも近く、近所の美術ファンらが次々訪れていた。

三人のうちで、一番年長の大場(55歳)は、一陽会特待賞受賞者。女性像や裸婦などをデフォルメ化し、幻想的で詩情があふれる作品。複雑微妙な天然の色彩に通じ、空間性を感じさせる。

法邑(53歳)は、加賀友禅の染色作家。文化庁現代美術選抜展に出品。女性をモチーフに描き、装飾性に富む華麗な作品。加賀友禅の染色作家でもあり、花などを色彩豊かに表現している。


安田淳「もうひとつの世界」 「大場吉美「ひとり」 法邑利博「紫の衣」

安田(41歳)は最近、金沢市民芸術村で大作による個展を開き、注目された。抽象で、赤と黒を基調に方形を組み合わせた単純明快な表現。赤色に黒の刷毛目を残す作品など、静謐で、永遠の世界を感じさせてくれる。

 


九谷焼・伝統工芸士展

2001年11月27日(火)〜2002年1月14日(月・祝) 寺井町九谷焼資料館(石川県寺井町)

優品を飾る九谷焼・伝統工芸士展
吉田美統「釉裏金彩牡丹唐草文壷」
浅蔵與成「刻葉韻」

伝統的工芸品の陶磁器「九谷焼」の製造従事者のうち、国から伝統工芸士に認定されている29人の作品51点を飾る。この中には、重要無形文化財保持者(人間国宝)の吉田美統氏も含まれ、技術水準の高さを示している。

吉田氏の「釉裏金彩牡丹唐草文壷(ゆうりきんさい・ぼたんからくさもんつぼ)」は、ボタンの花を図案化し、釉裏金彩の高度な技法で豪華けんらんとした優品に仕上げている。

このほか、日展評議員浅蔵與成氏(号・三代浅蔵五十吉)の「刻葉韻」は、横長の大皿の中央部に容器を取りつけたような独特の造形。容器の周辺に緑色の葉、外縁部に褐色の葉の模様を飾り、現代感覚があふれた力強い作品。

作家の大半は加飾部だが、成型部では下道良平、宮本知忠、木原行成、山本篤らが力作を発表している。


川崎雅博個展

2001年11月21日(水)〜11月28日(水) ギャラリーアルトラ(石川県金沢市)

カワセミをモチーフにした川崎雅博個展

カワセミ。漢字で書けば、翡翠。そのヒスイ色の鮮やかな姿に魅せ られ、カワセミを擬人化した心象風景を描き続ける。本展でもカワセミをモチーフにし、不確実な時代を表現する作品を中心に25点。

大作「刻の谷」(130号)は、今年の二紀展入選作。平原が広がる大峡谷の岩場をねぐらにしたカワセミを描き、一羽は未来をさして飛び立ち、一羽は岩穴から覗く。岩場には時を刻む時計。同じようなテーマによる「蒼い刻」(S50号)や「刻の谷」(60号)も物語性のある作品。


「刻の谷」(130号) 「蒼い刻」(S50号)

別に、静物画の「花梨」や「ほおずき」「ラ・フランス」などを飾る。どれも写実的に描き、力量を感じさせる優品。昭和27年生まれ。洋画家吉田冨士夫(故人)に師事。二紀会所属。石川県松任市在住。

 


第5回前田寛治大賞展大賞受賞記念・西房浩二個展

2001年11月17日(土)〜11月25日(日) 美術サロンゆたか(石川県金沢市)

前田寛治大賞展受賞記念の
西房浩二個展
大賞受賞作品「遠い記憶」
「ルールマラン」(60号変形)

昭和初期に早逝した洋画家前田寛治にちなみ、トリエンナーレ美術賞として1988年に創設された前田寛治大賞展(倉吉博物館など主催)。その第5回の大賞受賞作品「遠い記憶」(S百号)など20点を展観する。

受賞作は、テーブルから垂れた毛布、その上に乗せた貝がら、古代貝アンモナイト、ガラス瓶、弾けたザクロなどを克明に描写。背景の舟板は夕焼けのような色に塗り込め、抒情的に描いている。

評論家富山秀男氏は、全体の構成、質感の抽出、寒色と暖色の対比など「非のうちどころのない優れた作品」と高く評価。本展にはこのほか、去年冬、南仏旅行のときの素描を基に描いた「ルールマラン」「アビニヨンの家」なども展示された。

1960年、石川県生まれ。日大芸術学部卒業。安田火災美術財団選抜奨励展秀作賞受賞。光風会会員。高校教諭。


瀬戸國勝の漆の世界

2001年11月20日(火)〜11月25日(日) 遊くらふと(石川県金沢市)

瀬戸國勝さん
円卓。上に載るのは重箱と茶器
重箱と椀

石川県の伝統工芸、輪島塗の作品が、古い町家を改装したギャラリーの1、2階にぎっしり並ぶ。洗練された美意識に裏打ちされた箸や椀(わん)など日常雑器類から円卓まで約170種に及ぶ。

少し大きめの椀は、黒い地に朱の粉漆を巧みに塗りこみ、温かい雰囲気を出した優品。大皿や大鉢には、木地に麻布を帯のように巻きつけ、黒漆や朱漆で染めあげているが、大胆で、明快なデザインが面白い。

瀬戸さんは輪島市生まれ。地元で工芸品販売店を営むかたわら、制作に励む。「輪島塗は、お祝いごとだけでなく、毎日の暮らしにも使えるようなものを」と、工房で仲間5人と協力しながら制作している。


円地信二・奥田憲三・松本昇 三人展

2001年11月16日(金)〜11月29日(木) ひろた美術画廊(石川県金沢市)

石川県の代表的洋画家の三人展
円地信二

石川県在住の代表的な洋画家―光風会評議員円地信二(日展会員)、松本昇(日展委嘱)と、一水会常任委員奥田憲三(日展会員)の3人が、近作20点を飾った。

円地は、若い女性や薔薇をモチーフに、爽やかに描き上げる。一連の薔薇の絵は、華麗な色彩を交え、命の瑞々しさをとらえている。

奥田は、風景画が中心。雪嶺を背景に広がる安曇野を描いた「春秋(安曇野)」は、画面全体に清らかな空気が流れ、82歳の円熟した画境を思わせる。

松本の作品は、渋い色調の中にも、ほのかな華やかさを感じさせる。「土耳古桔梗」は、ガラス器に挿すトルコキョキョウが白く浮び上がり、息づくようである。
奥田憲三 松本 昇

 


水上勉・角りわ子 二人展

2001年11月13日(火)〜11月25日(日) ギャラリーヒルゲート(京都府京都市)

竹紙を使った書画も飾り、二人展
水上勉「ふるさとのさんまい谷の紅椿」
角りわ子「彩紋花器」

作家水上が信州・北御牧村の勘六山房で制作した掛軸、書画17点のほか、骨壷2点。水上の仕事を手伝う陶芸家の角の作品は53点。同ギャラリーは水上の作品で開廊して14年目。二人展も4回目になる。

水上は今回も自ら漉いた竹紙を使い、どれも素朴な風合いで味わい深い。書画はいい。たとえば、2輪の赤い花を描き「ふるさとのさんまい谷の紅つばきならんで咲けば父母かとぞ思ふ」と、しみじみした内容の短歌を添える。

角は、水上同様に鉄分の多い地元の山土を使い、鉢や皿、花器などを制作。焼き締めた素焼きに、銀彩を施したり、黒や青、茶系統の色で幾何学的文様を描くなど、繊細で知的な作品に構成している。


特別企画展「東西の出会い」

2001年11月14日(水)〜12月26日(水) 石川県立伝統産業工芸館(石川県金沢市)

展示品の説明をするコーディネーターの
木村ふみさん
輪島塗の大きな盤に載せた
北欧の陶磁器類
北欧と石川県の伝統的工芸品を
組み合わせたコーナー

北欧デザインの家具類やロイヤルコペンハーゲン(デンマーク)の陶磁器類と、石川県の伝統的工芸品を組み合わせたユニークな展覧会。コーディネーターは、食環境プロデューサー木村ふみさん(東京)。

「日々の食生活のなかで、東西の工芸品を一緒に使い、手造りの美しさと温かさを、より身近なものとして楽しんだらいかが」と企画され、約230点を使って会場を構成。

あるコーナーでは、北欧のテキスタイルや円形テーブル、椅子を飾る。椅子には、加賀友禅のクッション。卓上には、ロイヤルコペンハーゲンの食器を載せた山中塗の盆。片隅には、今人気の九谷焼の招き猫。

県地域産業振興課の森本典子主事は「今年5月、ヨーロッパで同じ趣旨の展覧会を開き、大変好評でした。こうした工芸展は全国的にも珍しく、気に入っていただけるのでは……」と話している。


中山進 水彩画展

2001年11月1日(木)〜11月15日(木) ティールーム「ぶらっく」(石川県金沢市)

画廊喫茶で開いた水彩画展
「ホテル朝市―沖縄・万座毛」
「沖縄の肉屋」

金沢市の観光会館近くに、約15年前から続く画廊喫茶「ぶらっく」。水彩画を飾った中山さんは、高校の国語教諭。同市在住。1950年生まれ。趣味で水彩画を描き、画廊で2回目の個展。

沖縄が大好き。本展も「シーサーと風景と……」と名付け、沖縄の家々が屋根に取り付ける魔よけの唐獅子シーサーや万座毛、小浜島などの風景を描いた作品を中心に16点出品。

シーサーの絵の横に、沖縄を賛美した「太陽(ていだ)ぬふぁ 太陽(ていだ)ぬふぁ がじゅまるのこどもあふれる 光をあびながら……」(宮城ちえ作詞)という詩を書いた作品も飾り、喫茶店の客らの目を楽しませていた。


柴田里美・嶋倉世里子 日本画展

2001年11月6日(火)〜11月11日(日) 浅の川画廊(石川県金沢市)

初の2人展を開いた柴田里見さん(左)と
嶋倉世里子さん

石川県立辰巳丘高校(芸術コース)、金沢市立美術工芸大学(日本画専攻)の同級生同士。今年3月、大学を卒業し、初の2人展。高校、大学と同じ道を歩いてきただけに、幾らか似た傾向の作品もあるが、それぞれナイーブな個性を感じさせ、将来が楽しみといえる。

たとえば、50号の作品。偶然、2人とも雨後の光景をモチーフにしたそうだが、柴田の「雨あがり」と嶋倉の「そらのしずく」。柴田の作品は水溜りに映る木々の緑を柔らかな色調で表現。嶋倉は円と円盤を対比させ、ものの光と影をとらえたような映像を大胆に描いている。


嶋倉世里子
「そらのしずく」
柴田里見
「雨あがり」

このほか、嶋倉は淡彩のスケッチ画をはじめ、「きいろい笑顔」「昨日の夜の夢」「いつかの記憶」など、画題が面白く、表現も自在だ。柴田は克明な写生画の「洋梨」のほか、色彩豊かな板絵を組み合わせたような抽象も飾る。2人とも画調の幅の広さが魅力ともなっている。


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