Tomoko Ishibashi EXHIBITION2001年12月14日(金)〜2002年1月14日(火・祝) 忙中閑有(石川県金沢市)
「漆」だと言われなければ分からなかったかもしれない。 漆とは、たとえば「輪島塗」の椀のように、鏡のような光沢を出すためのものだ――という先入観があったからだ。もちろんそれは漆の特徴の1つだが、それだけではない、と作者の石橋さんはいう。 たとえば「鼓動」と名付けられた作品は、まさにタイトルのような躍動感を感じる作品だが、この動きも漆だから出せるものだという。「balloon」と名付けられた作品も、深みのある光沢はあるものの、いわゆる漆工芸のそれではない。かといってそういう作品がまったくないわけではない。「motion」と名付けられた作品では独特のてらっとした光沢を出すことで、滑らかなフォルムを強調している。 麻布などを貼り重ね、上塗りを施し仕上げる「乾漆(かんしつ)」という伝統的な漆の技術を使いながらも、伝統的な漆工芸にとらわれることのない斬新な作品のなかに、漆の奥深さと可能性を見ることができた。 金沢美術工芸大学工芸デザイン学科卒。県内の高校で非常勤講師として美術を教えるかたわら、「ボロ家」(作者談)で制作に励んでいる。個展としてはこれが初めてだが、これからは精力的に発表していきたいという。 会場の「忙中閑有」は、片町にある「LEGIAN」というバリ料理店の2階にあり、ここの店主が「まじめで情熱のある」若いアーティストに無料でスペースを提供している。 |
神田橋恵美子の衣合わせ人形展2001年12月19日(水)〜12月25日(火) 金沢名鉄丸越百貨店(石川県金沢市)
NHKの来年の大河ドラマ「利家とまつ」にちなむ時代人形などを布地で制作、23のテーマに分け75体を飾った。金沢市在住。58歳。制作を始めて5年とは思えないような出来映えで、人形特有の妖しい魅力をたたえている。 「利家とまつ」は、2人が座って話し合う場面、利家の出陣風景、利家と秀吉との醍醐の花見風景などを制作。三十六歌仙の小野小町、おとぎ話の浦島太郎、能の演者もこしらえた。飾り付けには小道具を使い、花見では真っ赤な長じゅばんの毛せん、と工夫を凝らす。 人形は綿棒を使い、先端部が顔。胴部は棒に綿や薄布を巻く。これに、古い帯地や端切れを重ね、糊付けや糸で止めながら制作。「衣装は絵を参考にし、自分なりのイメージをふくらませ作るんです。何回も失敗しましたね」と神田橋さん。 |
迎春展2001年12月15日(土)〜12月30日(日) 美術サロンゆたか(石川県金沢市)
お正月、床の間などに飾る書画をはじめ、陶磁器や漆器、金銅製の香炉、香合、花生け、飾り皿、酒器、置物などを展示した。地元出身作家の作品を中心に飾り、華やいだ雰囲気だった。 書画は、初日や富士、鶴、松竹梅、蓬莱山(ほうらいさん)などをモチーフにした作品が大半。木村杏園の「蓬莱住気図」は淡い色調で描き、霊山の姿をほうふつとさせる。日展作家石川義の「暁富士」は、湖の彼方にそびえる富士を鮮烈な赤で表現する。 陶芸では、浅蔵五十吉(2代)による九谷焼の獅子。力強い姿態に渋い緑色が映え、いかにも正月にふさわしい置物。3代八十吉(重要無形文化財保持者)の花生け、鋳金作家蓮田修吾郎(文化勲章受賞)の「朱銅壷」、洋画家宮本三郎の舞妓の絵なども目を引いていた。 問い合わせ |
ニューコレクション展2001年12月6日(木)〜2002年1月14日(月) 金沢・クラフト広坂(石川県金沢市)
金沢市内の工芸家が、加賀象嵌(ぞうがん)や加賀毛ばり、漆芸、木工芸など、伝統的な技法を生かしたペンダント、ブローチなどユニークなアクセサリー類、約200点を制作し、展示した。 色鮮やかで目を引くのは、加賀毛ばりの技法を応用したアクセサリー。青やピンクに染めた羽毛にガラス玉、人形などを合わせ、匂いたつように美しい。木工は、板をカニやハートの形に表現し、素朴で味わいがある。 制作には、加賀毛ばりの老舗や、工芸・デザイン作家らも参加。作品は即売され、1,500円程度からで、手ごろな値段といえる。 |
佐藤勝彦の世界2001年12月1日(土)〜12月24日(月) 九谷美陶園ギャラリー(石川県加賀市)
季刊美術雑誌「銀花」に1975年、挿入の肉筆画8万枚を描き、話題を集めた画家。その後、陶芸、ガラス、漆器などにも打ち込み、本展では飾り皿や日常雑器類など陶芸約120点、墨彩画約30点を飾る。 飾り皿や墨彩画は、新年向きに明るい絵が多い。赤富士の裾に松や笹などを飾り、空に金箔を押した絵など、どれも華やか。「不二山萬歳」「わが生命 天地と一つなりき」などの字も添え、「元気を与える作品」と好評だ。
1940年、旧満州生まれ。鳥取大学在学中、結核による死の淵から上がり、「生きていることの喜び」をかみしめ、制作する。九谷焼の本場・石川県小松市と三重県伊賀上野市に窯場を構える。本展の売上金の1部はアフガン難民救援団体に寄せる予定という。 |
杉本恭子 木版画展2001年12月4日(火)〜12月9日(日) 平安画廊(京都府京都市)
木版画を始めて約20年。京都の版画専門の画廊で初の個展。外国の山並みや街の風景、草花、野菜、果物など、画題も自由に作品に仕立て、32点を飾った。 夕顔、ハマユウ、ケイトウ、カタクリの花、赤カブラ。身の周りの植物類をモチーフにし、独自のイメージで表現した作品が、特に好評だった。6刷りで、どれも色調は温か、作風も穏やか。 お年は65歳だが、毎年、北海道や信州などでスキーの初すべりを楽しむという。木版画団体「板華(ばんか)」所属。京都府長岡京市在住。 |
小林利幸 個展2001年12月1日(土)〜12月9日(日) 美術サロン・ゆたか(石川県金沢市)
抽象の大作6点と、写実的な動物画12点、椿の花をモチーフにした静物画3点。キャンバスや板、ボード(厚手のケント紙)に、アクリルで描く。抽象、具象と表現方法を変えながら、確かな技量を見せている。 動物画は、犬や象、山羊、ペンギン、カメレオンなどを素材にし、自分のイメージをふくらませながら、独自の作品に仕立てている。壁の隅に横たわる犬は、足を折り曲げ、確かな存在感がる。数頭の象が走る光景は、さながら一つの山のようである。 一昨年、北陸中日美術展で、抽象画「ザハリヒカイトー客観性」(S100号)がグランプリを受賞。評論家建畠晢氏は「デリケートなマチエルの効果が画面のポエジーを深めている。無機的のものと、生命感のある共存も面白い」(図録)と高く評価している。 1971年、岐阜県各務原市生まれ。金沢美術工芸大大学院(油画)修了。春季二紀展新人選抜奨励賞など受賞。 |
韓国茶陶銘品展2001年12月5日(水)〜12月11日(火) 名鉄丸越美術サロン(石川県金沢市)
韓国の現代陶芸家15人による壷や花入、水指、徳利、香合など約60点。日本の人間国宝(重要無形文化財保持者)に匹敵し、1工芸部門、ただ1人の人間文化財認定者の金正玉、前認定者の柳海剛(初代・故人)らの優品も出品された。 韓国陶芸は、気品のある青磁や白磁で代表される。柳海剛(初代)の「青磁象嵌雲鶴文水指(せいじ・ぞうがん・うんかくもん・みずさし)」も青磁の水指の胴部に、象嵌の技で伝統ある雲鶴文を表現した卓越した名品。 「白磁の東五」と激賞される安東五は「白磁小壷」を出品。胴部に縦縞16本を花びらのように盛り上げ、白磁に光と影を与えた優美な作品。安は戦時中、早稲田大に在学したが、学徒動員で中退。戦後、陶芸家として大成した。 |
錦木真葉 ひとり展2001年11月30日(金)〜12月9日(日) ギャラリーアルトラ(石川県金沢市)
油彩、水彩、素描の近作を展観。油彩は「眠る天使」「眠らなかった天使」の画題で、少女をモデルに描く。どれも乳白色のピンクや緑系の温かい色調でまとめ、穏やかな世界を表現する。 「眠らなかった天使」(S80号)の1枚は、椅子に載せたクッションに寄りかかる少女像。開けたドアから朝の光が室内を照らし、少女の姿を浮かび上がらせた優品。 「眠る天使」(S80号)の1枚も面白い。円卓の上の洋書に頭を持たせた少女像を描き、身辺に鳥の羽根が舞い、遠くに気球が浮かぶ。絵を描いた紙が空に浮かんだように表現し、抒情的な作品に仕立てている。 金沢生まれ。金沢美術工芸大油画科卒業。二科展特選。二科展会友賞受賞。二科会会友。
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