
大下正之展2002年4月5日(金)〜4月17日(水) ひろた美術画廊(石川県金沢市)
1972年、神奈川県生まれ。創形美術学校グラフィックデザイン科の卒業制作が「創形大賞」を受け、「アイデア」誌に紹介される。ヒトの顔と、抽象であるエネルギーとの中間に存在する生命体のようなものを、5つの木彫で表現した作品だ。今回の作品も基本的にはその流れの中にある。卒業後、結婚し、現住、石川県加賀市に住む。
「じっくり考えているうちに自分の中の世界が広がり、いろいろな世界も係わりで繋がっていることに気づいてきました。そうして生まれたモノから新たなエネルギーが沸き起こり、現存する世界・宇宙をも広げるような深いコミュニケーションが生まれる。それを私は美しいと思いますし、作品として表現していきたいと考えています。」 写真のようにかなり個性的でユニークな立体(素材は、楠、漆、その他)9点と、初めて試みた版画(木版・リトグラフ)11点が展示されている。 |
第5回 仙陀窯 藤田貴士作陶展2002年4月3日(水)〜4月9日(火) 名鉄丸越5階美術サロン(石川県金沢市)
藤田さんは富山県高岡市の生まれ。同県の小杉町青井谷に穴窯を築造し独立したのが1985年、30歳の時。信楽焼の保庭楽入に1年間師事し、翌年のこと。青井谷に群生するアカマツを燃料にし、その灰と信楽の土との融合を求めた。窯の温度を1,300度にまで上げ、舞い上がり降りかかった灰が作品の色と文様を生み出す。この自然のプロセスがもたらす美の誕生を、演出したいと考えたという。
この焼成方法による灰かぶりや自然釉の渋い味わいが作品の魅力といえる。小鉢や銘々皿から徳利、花瓶、大ぶりな壺まで約100点を展示。 「仙陀窯」の名は89年、澤大道・臨済宗国泰寺派本山管長に付けてもらった。 |
アノラ・スペンスと欧米版画家作品展2002年3月27日(水)〜4月7日(日) ギャラリーアルトラ(石川県金沢市)
イギリスの女流画家アノラ・スペンスのシルク・スクリーンが8点。ユーモラスで、詩情豊かな作品は、最近人気が高い。このほか、欧米の版画約20点。 アノラの絵は童画風。黄や青、緑系統の色調が温かい。黒いハットをかぶった男性と犬、小鳥が登場し、ユーモアたっぷりに描く。「白い小屋」は、小屋で1人の男がひざに青い鳥を止まらせて寝転び、もう1人は椅子に逆立ちし、足に白い犬を乗せて芸当する楽しい絵だ。 アノラは1963年生まれ。大学でテキスタイル・デザインを学び、デザイナーとして活躍。90年以来、画家活動に専念し、94年から版画を制作。農場で動物たちの世話をし、二児の母としても多忙な毎日という。 |
西田光衛 木版画仏展2002年3月26日(火)〜3月31日(日) 平安画廊(京都府京都市)
西田さんは、兵庫県高砂市の十輪寺住職。昭和5年生まれ。木版画を始めて約40年。本展では、詩人相馬大さん(京都市山科区)の詩を添えた仏画30点と衝立類3点を飾った。 中学校の元英語教諭。京都市嘉楽中学勤務中、国語教諭だった相馬さんと知り合った。今回の作品は相馬さんの短詩の内容にふさわしい仏の姿や表情を彫刻している。 たとえば。「音 かなしみが/いまは/むねに/あふれている」には十一面観音。「樹 おくのほうに/滝があふれている」には不動明王と、清潔感にあふれた作品に仕上げている。 |
谷内正遠・廣瀬二郎 木版画展2002年3月20日(水)〜3月31日(日) さとやまクラフト横安江(石川県金沢市)
2人とも多色刷りの木版画。石川県在住。日本板画院に所属し、谷内は同人、廣瀬は院友。1940年生まれの廣瀬が、1956年生まれの年下の谷内に師事して約17年たち、初の師弟展。約70点。 谷内は風景画や地蔵の絵に言葉を入れた作品が中心。風景画では、前景に広がる菜畑,遠景に白山を配した「白山遠望」など、温かな色調が何ともいい。地蔵の作品では「走ることもせず 停りもせず コツコツ歩く」「のんびり ゆっくりするのも たまには なかなかよろしい」といった言葉を添える。 廣瀬は、独学でモノクロ版画を続けていたが、谷内の明快な多色版画に惹かれて転向。主に金沢の風景や草花、花器をモチーフに制作。「彫りから刷りまで手がけているが、大作は紙が歪み、刷るのも大変です」と話している。 |
2002年金沢里山工芸交流展3月19日(火)〜22日(金) 金沢市民芸術村里山の家(石川県金沢市)
金沢市内で、自然豊かな山間部の工房で制作する陶芸、漆芸、染織、ガラス、金工、紙、表具など各部門の工芸作家16人(うち夫婦5組)の作品約120点。移築された木造2階建て旧家の座敷や玄関土間などに飾られた。作家の大半は独立し、力のこもった作品が多い。 富永和雅の行灯は、麻糸などを柿渋で染め、織り上げた布でこしらえたユニークな作品。電灯で透く布の模様が面白い。草木染めによる着物の制作が本職だが、柿渋による染織で新たな工芸を目指している。 久恒俊治の6曲衝立(ついたて)は、板6枚を組み合わせ、両端2枚の幅が狭い。全体に春の草花やワラビ、舞う小鳥を描き、まるで遠い時代を思わせるような不思議な雰囲気がある。 |
越間巽・智恵子 染織展3月20日(水)〜3月26日(火) 香林坊大和(石川県金沢市)
夫婦そろって、紬織物「大島紬」で有名な鹿児島県奄美大島生まれ。鹿児島市の工房で製作した草木染めによる大島紬や帯、帯しめ、ストール、ハンカチなどを展示した。併せて、各種の繭と、茜(あかね)や福木などの染料、さまざまな色彩の撚糸も飾った。 展示品の大島紬は、茜色にしっとり染め上げ、いかにも華やか。絹糸や真綿糸などで織り、染料は楊梅、福木、茜、タブなどの草木を使用。仕上げまでに半年ほどかかったという。 鹿児島は天然染料の宝庫。夫婦は春になると、山に入り茜などを採取し、さまざまの色彩の染料を作る。染めから織りまで二人で仕上げるという。年に7、8回、各地のデパートで展示即売会を開催。越間さんは1946年生まれ。伝統工芸士。本場大島紬新作コンクールで鹿児島県知事賞受賞。 |
金沢美大人脈展3月13日(水)〜24日(日) ギャラリーアルトラ(石川県金沢市)
金沢美術工芸大学(旧金沢美術専門学校)の卒業生、教員ら8人の油絵20点。鴨居玲以外は現役作家。円地信二(光風会評議員・日展会員)、三浦泉(同・日展会友)、粕谷正一(二科会会員)、大泉佳広(独立美術協会会友)、京岡英樹(同)、坂口國男(無所属)、湊七雄(同)。所属団体が違えば、表現や技法も違い、変化があって面白い。 昭和60年9月、57歳で急逝した鴨居の作品は2点。1点は「1983 私」。自己を厳しく見つめ、生の根源を探ろうとした自画像シリーズの1つ。くぼんだ目、何かつぶやくような口元、暗い情熱を感じさせる横顔を丹念に描く。鴨居芸術の1つの頂点を示す作品 である。 大泉の「GO NO ME」は立体的作品。太陽と月に向かって、草の芽が伸びる光景をモチーフにした抽象だが、スケールも大きく、独特の個性を感じさせる。20代の若手作家の京岡は、狂牛病をモチーフにしたと思われる諷刺的な作風が目を引く。円熟の域に達した円地や坂口の作品は、画面から華麗な色調が溢れるばかりである。 |
石川県写真家協会「20回記念展」3月13日(水)〜18日(月) 石川県立美術館(金沢市)
商業写真家を中心に結成する石川県写真家協会(御園直太郎会長)の31人による写真展。日頃の仕事を離れて、各人が自由に撮影、制作した作品とあって、風景、風俗、動物、天体写真、コンピュータ・グラフィツクとさまざまで、多様な写真の世界を見せてくれる。 御園直太郎「クリエーティブな卒業生」は、観衆の中に仮装した卒業生だけを鮮やかに浮かび上がらせた楽しい写真。渡辺俊宏の星雲の写真は、神秘な宇宙空間に触れる思いがする。 浜崎敏彦「楽園」はタヌキのさまざまな表情をとらえ、面白い。枡野正博「邑(むら)の印象」は絵葉書サイズの写真約50枚も添えて、どこか懐かしい村の風景を表現し、見る人の心を和ませてくれる。 記念展に併せ、「中部の写真家300人展」選抜展も開催。 |
第58回金沢市工芸展3月6日(水)〜3月11日(月) 名鉄丸越(石川県金沢市)
金沢市・市工芸協会(大樋長左衛門会長)の主催。会員130人と公募入選者70人による陶芸、漆芸、染織、木竹工、人形、紙などの工芸作品216点を飾った。 主な出品作家は、陶芸が松本佐一、長谷川塑人、戸出克彦、高光一生、大樋年雄、染織は毎田健治、中町博志、漆芸は坂下直大、金工は宮崎寒雉、魚住為楽、中川衛の各氏ら。 入賞作品のうち、市長最優秀賞に選ばれたのは、石田巳代治さん(60)のろうけつ染めパネル「遥かな刻」(50号)。カンボジアのアンコール遺跡を題材に制作。綿の布地に何回もろうけつ染めを施し、重厚な色調による絵画世界を表現した。 |