駒沢徹展

2002年6月13日(木)〜6月25日(火) ギャラリーノア(石川県松任市)

多彩な作品が並ぶ会場
逸品の「貫入紋花火絵水指」
優雅な茶道具の棗

ガラスに箔を彩った器の個展が愛好者の関心を呼んでいる。作品には棗(なつめ)などの茶道具も展示してあり、会場は華やかさに加え新鮮な感覚に包まれている。出展者の駒沢徹さんは「遊び心ですが」と言い、意欲作80点を展示している。

駒沢さんは石川県山中町在住の漆芸家。10年前に箔の特殊技法の研究を始め、4年前に独自の貫入法を成し遂げた。以後、この方法での作品で数々の公募展に応募し、世界工芸展などに入選した。その間、裏千家の茶道をも学び棗(なつめ)などの茶道具の製作にも取り組んだ。

貫入は器の表面に現れた細かいひびをいう。駒沢さんは特殊な技法を編み出し、透明なガラスに金箔や銀箔を貼り付け、いろいろな模様を施していくわけである。そこで箔を浮き上がらせることによって立体感を出させた。

「貫入紋花火絵水指」は今年の石川の伝統工芸展で入選した作品。花火の細かい線はフリーハンドで一切手直しをせず花火の自然さを出し遠近もつけている。茶道具の棗は鈴虫の絵を貫入したガラス胎児漆器というもので至芸の作だ。

ギャラリーノア TEL:(076)276-4486


写真展「あいの風」

2002年6月13日(木)〜6月18日(火) ラブ・シンヤ スタジオイン「石蔵」(石川県小松市)

「安島・三国町の漁村」(昭和34年)
「無邪気に遊ぶ子供たち」(昭和33年)

写真家富岡省三さんが金沢に続いて小松で個展を開いている。昭和30年代の能登に生きる人々と風景を写真で綴った人間ドキュメント「あいの風」。富岡さんは「この写真展は私の歴史でもあり、能登の歴史でもあります」と語る。

「あいの風」は豊漁と豊作、幸福をもたらす海から陸へ吹く風のことだ。海で仕事をしている人は生きる証をその風に感じるという。

展示作品には時の流れがあり、時の記憶が1枚1枚の作品に刻まれている。自然の厳しさ、人々のたくましさが溢れて、40年前の時代はそうであったのか、まだ豊かでない時代だ、さまざまに写真は語りかける。

寒い朝も朝市で働くおばぁちゃんの姿はたくましい。どんな所でもすぐ遊び場にする子供たち、学校が終わると輪ができる。モノクロでの写真がリアルに見る人に話しかけてくれる。

スタジオイン「石蔵」 TEL:(0761)24-3476


99枚の描かれた金沢展―蔦健三展―

2002年6月12日(水)〜6月17日(月) ギャラリーアルトラ(石川県金沢市)

真ん中が蔦健三さん
「中央公園」透明水彩 6号
「白鳥路」透明水彩 6号

蔦健三は1936年金沢市の旧栄町(現武蔵町)に生まれた。金沢市を流れる浅野川にほど近く、「こどものころ川の辺りでよく遊びまわったものです」。金沢出身の文豪泉鏡花が幼少のころを過ごした界隈と一致する。東京の寛永寺坂美術研究所を修了後、芝田米三(日本芸術院会員)に師事。現在、日仏現代作家美術協会委員。

「金沢は古い静かな町です。いいものがゴロゴロしていて、いつまでたっても飽きません。今回は60点ほど展示しているのですが、見返してみて、あらためてそう思います。見ていただいた方にもそう思っていただけたら、絵描き冥利に尽きますね。」いちばん好きな場所は?「東の茶屋街、紅柄格子がいい。たくさんの方に観光もかねてスケッチをしにきてほしい」。

このところ画風が変わった。フランスへスケッチ旅行をしてからだ。点描、淡い色を何度も重ね、やさしく、いやすように。まちがいなく、幼少のころの浅野川界隈で遊びまわった、その記憶の景をも巧みに塗り重ねている。

ギャラリーアルトラ TEL:(076)231-8082


鹿西町能登上布展

2002年6月1日(土)〜6月16日(日) ギャラリーパイン(石川県金沢市)

和洋の部屋に似合うのれん
反物もまた美しい
ネクタイなど小物にも目がひく

能登上布の展覧会が開かれている。能登上布会館で織られたもので、今回も反物やのれん、手提げ、小物など80点が展示されている。作品は今年北國風雪賞を受賞した花村久子さんが中心だ。

花村さんは能登上布の数少ない織り手の1人で上布の生産と後継者の育成に当たっている。東京生まれで1928(昭和3年)年に母親の実家である能登部村(現鹿西町)に移り、制作に励んでいる。今年78歳、100歳まで頑張る、と張り切る。

上布の仕事は「習うより慣れろ」だと言う。巻く、織る、根気のいる仕事である。機巻きさえきちんと出来れば1人前だそうだ。能登上布はその素朴な風合いがいつの時代も好かれ、廃れることはない。が、いまでは貴重品となっている。

一味違う渋い色合いの「のれん」が掛かっている。縦糸と横糸が織りなす細かい模様が美しい。反物も素朴な色合いで、着心地の良さは他に類がない。ネクタイも渋く中高年に人気があるそうだ。作品を見ていると、この文化を長く継承してほしいとだれもが思うだろう。

ギャラリーパイン TEL:(076)263-3751


北陸のガラス展

2002年5月18日(土)〜6月16日(日) 金津創作の森アートコアミュージアム1(福井県金津町)

創造性豊な作品に見入る来場者
市川篤「再生」
張慶南「空みる男」

次世代のガラス作家による初めての展覧会が福井県金津町の創作の森で見られる。出展者は北陸3県のガラス工房で学んだ若手作家で金沢卯辰山工芸工房ガラス工房(17人)能登島ガラス工房(22人)富山ガラス造形研究所(20人)金津創作の森ガラス工房(20人)の79人。

この4機関はガラス造形の研究で多くの若手作家を養成している。北陸のガラス作家は年々増えており、特に若い人の技術が優秀でレベルも高く将来が期待されている。

会場にはバラエテイー富んだ79点が展示され、若い来場者も遊び心のあるオブジェなどガラスとは思えないような作品に見入っていた。市川篤さん(金沢卯辰山工芸工房ガラス工房)の「再生」は形の変わり易いガラスの特性を活かし変幻自在、宇宙的で物語性もあり楽しく鑑賞できる。

張慶南さん(富山ガラス造形研究所)の「空みる男」は、天狗の鼻か男性のシンボルか、力強く空に突き出ている。外と内側の質感があって深みのある作品となっている。

多様な世界を演出、「このような造形はほかの芸術にはない。ガラスって面白い。私もガラスになって変身」と、若い女性もいて賑やかだ。

金津創作の森アートコアミュージアム1 TEL:(0776)73-7800


山下清展

2002年6月1日(土)〜6月16日(日) 加賀アートギャラリ(石川県加賀市)、片山津テリーナホール(同、片山津温泉)

制作する山下清
エッフェル塔
長岡の花火

裸の大将、放浪の天才画家――懐かしい言葉だ。いま、加賀市と片山津で山下清の展覧会が開かれている。山下清は映画や舞台でお馴染みだ。今回の展覧会は山下清の生誕80周年を記念して開催された。貼り絵や水彩、ペン画、写真、鉛筆画など200点ほどが展示されている。

1940年(昭和15年)から1954年(昭和29年)の14年間、清は日本列島を一周する放浪の旅をした。その間、時々施設の八幡学園に帰ってきて貼り絵の制作をした。さらに1961年(昭和36年)ヨーロッパの旅に出かけパリの街などを水彩や素描に描いた。まさに放浪の画家であったわけだ。石川県内も旅をしており、加賀温泉街を放浪したらしい。

会場には清が一意版好きだったという花火の貼り絵やヨーロッパ旅行の記録を描いたものを中心に展示してある。貼り絵を見ていると色彩も豊かだし独特の味わいと感動もあるが、そこには孤独の世界を感じる。

この展覧会は加賀市大聖寺加賀温泉駅前にある会場と片山津温泉街にある会場の2カ所で開かれている。温泉街の周遊性の向上と街の活性化を図るのがねらいらしい。しかし、一般に絵の鑑賞をするには距離があり過ぎるのではないだろうか。

加賀アートギャラリ) TEL:(0761)72-8787
片山津テリーナホール TEL:(0761)74-0350


戸出克彦作陶展

2002年6月2日(日)〜6月12日(水) グリーンアーツギャラリー

「銀透彩扁壷」
青の世界を表現した釉皿
逸品揃いの作陶展

花器に、茶器に映える銀透彩(ぎんとうさい)が優雅に輝いている。見事である。華麗だ。陶芸作家戸出克彦さんの作陶展が華やかな雰囲気のなかで来場者を和ませている。

戸出さんは祖父、父親ともに陶芸家(九谷焼)で、京都芸術短大を卒業、日本新工芸家連盟などで活躍している。1996年(平成9年)に銀陶展、2001年(平成13年)石川県現代美術展では最高賞(技術賞)美術文化特別賞を受賞、日展会友作家。今回は6年ぶりの個展である。

戸出さんが編み出した独自の色彩を大胆に構成する銀透彩は、層を重ねた粘土の上に銀箔を施し、銀の下から色を浮き上がらせるという手法だ。高級感があるのも銀箔の持ち味を醸し出した作者のテクニックであろう。

会場には80点の作品が並んでいる。銀透彩が9点、手ひねりで制作した九谷の磁器もあって関心を呼んでいる。「銀透彩扁壷」は銀箔の表現を上手に生かし神秘的な趣を表現している。ほかに作者が得意とする青の世界を器に託したペルシャ青釉皿やマグカップ、小皿などが展示され楽しい作陶展となっている。

グリーンアーツギャラリー TEL:(076)245-7222


99枚の描かれた金沢展 細川紘關展

2002年6月5日(水)〜6月10日(月) ギャラリーアルトラ(石川県金沢市)

細川紘關さん
大野灯台 小春日和
成巽閣新緑

この『99枚の描かれた金沢展』は1年半ほど前にギャラリーアルトラが企画した。1週間ずつ、3人の個展のあと、23人展が行なわれる。金沢の良さを、1枚の絵という作品を通して多角的に見つめ直そうというものだ。期間は7月4日までの1カ月間。細川紘關(ほそかわ・こうかん)はそのトップバッター。出展は6号色紙大の水彩スケッチ27点。

細川紘關は1940年、石川県珠洲市の禅寺に生まれた。禅の思想をたたきこまれ、金沢大学教育学部美術教室卒業後、高校の教員となる。30歳より高光一也、円地信二に師事。現在金沢市在住、光風会会員、日展会友。この春、『画道30年展』を成功させた。

「私が描くと『明るいですねえ』とよくいわれるので、あらためてよく見てみると、光り輝いているところがあるんです、絵の中のいたるところに」。と笑いながら。ふだん描く大作は人物画がほとんどで、今回の風景点描は細川にとっては小品だが、それだけに金沢に対する愛情が作品からほとばしっている。金沢の風景は大学在学中から折りをみて描いてきた。今回の作品はここ2年間に描いたもの。

「わたしたちの金沢はいい街なのだ」。どの作品もそう謳っている。

ギャラリーアルトラ TEL:(076)231-6698


メルヘンの世界・ドールハウス展

2002年5月24日(金)〜6月21日(金) カフェ・ゼルコバ(石川県鶴来町)

「ドールハウス」 静かなブームを呼んでいるそうだ。紀元前1800年、古代エジプトでミニチュアの家や道具などが遺体とともに埋葬されたというから歴史は古い。その後、ヨーロッパでは貴族の遊びとなって以来、今日まで発展してきた。小さな空間に美術、工芸が施されており、まさにアンティ―クなメルヘンの世界を演出しいている。

出展しているのはドールハウスの金沢友の会の7人。代表の主婦池田外司江さん(金沢市)は「細かい作業なので苦心しますが楽しい世界です。情操教育にも役立てたいので子どもたちらにも広げたい」と意慾的だ。

ドールハウスには3つの型がある。箱型、戸棚型、家型である。さらに、箱型には箱型、変形箱型、舞台型に分類される。戸棚型はキャビネット型、カップボード型、家型では家型、脚付き家型となり、現代住宅建築の原点をみているようだ。箱型の部屋には部屋だけではなく店舗も多い。つまりドールハウスが庶民の間で広められ、バラエティーにとんだものとなって進展してきた。そこには生活文化が読みとれる。

会場には超ミニチュアの家、部屋や台所、食器、食べ物、屋台、お店も並んでいる。およそ20点全部本物そっくりである。色も豊富で小道具も多い。実に楽しく愉快なロケーションとなっている。

会場となっているゼルコバの外のロケーションもまたよい。野鳥が飛び交い、緑の木々がまばゆく、手取川渓谷から吹き上げてくる風が心地よい。

箱型の居間 高27.0 経19.0 お店屋さん 高9.0 経19.0 台所 高21.0 経18.0

カフェ・ゼルコバ TEL:(0761)93-0788


独立美術協会・和泉展

2002年6月1日(土)〜6月9日(日) 美術サロン・ゆたか(石川県金沢市)

金子亨「青春譜」 高194.0 経190.0
井澤幸三「道」  高190.0 経260.0
田井淳「遠い影 無上の場所」
高194.0 経190.0

美術界で異彩を放つ独立美術協会会員の和泉展、その旺盛な制作姿勢と意慾作がうかがわれる展覧会だ。出展者は県外組の井澤幸三、伊藤清和、門脇正弘、金子亮、原田丕の各氏と石川の田井淳氏。

出品した6人は1995年(平成7年)にともに会員になった人たちで、50から60歳の中堅作家。同世代同士が良きライバルとして研究制作していこうと結成したもの。

田井氏は金沢美大卒、独立展への初出品は1979年、最近では金沢文化活動賞を受賞するなどベテラン作家としての地位を不動のものにしている。「今回はそれぞれ個性のある作品群となっている。いい意味で刺激を与え合って励みになっている」という。

作品は油絵やテンペラ画など小品から200号まで1人10点を出展している。フォーヴィスム、シュールレアリスムもあって作家の世界観を表現している。

田井氏の作品「遠い影 無上の場所」は田井氏のモチーフである裸像の背面を描いたもので、人間をより深く追い求めていく未来像である。金子氏の「青春譜」は9人の表情が生き生きとしており色彩も鮮やかな女性群像だ。井澤氏の「道」は家族の成長過程を表しており、画面前方に立ちすくむ少女が印象的である。

美術サロン・ゆたか TEL:(076)232-1341


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