村本外茂樹 陶展

2002年12月13日(金)〜12月18日(水) グリーンアーツギャラリー(石川県金沢市)

「日用の美」を追求する村本外茂樹
チューリップ鉢
赤絵の花生け

陶芸作品を見ていると、作家が作った形と色彩に自己主張があり、何か対話をしているような構えになる。それは作家が訴えんとする存在感が作品にあるからであろう。村本外茂樹の作品に、そんなものを感じた。現在30歳、5年前に日韓合同国際陶芸キャンプに参加しこの道に入り、金沢卯辰山工芸工房へ。昨年、金沢市工芸展と日本新工芸展に入選してから実力をつけた。

原点は九谷焼だが、クラフト的ではない。その秘めたるものは、生地から絵付けまですべて自分で作業をする、ことにある。「他人の手は入れたくない。自分の気に入ったもので全力投球したい。決して「分業」はしない。だから大量には出来ません」。純粋な作家精神がみなぎっているようだ。

白磁の水差しは何の変哲もない作品だが、気品のなかに訴える力強さがある。染付けのチューリップ鉢は白地に青のまだら模様を周辺に描き流動性を演出している。縦型の赤絵花生けは豊穣な世界が見えて生動感が見られる。日用に使う軽めの皿やカップなども展示されており、陶芸をする姿勢が読み取れる展覧会となっている。

「日用の美」を目指したい、という村本は、日本新工芸石川支部、金沢市工芸協会の未来を担う若者。

グリーンアーツギャラリー TEL:(076)245-7222


裸婦デッサン展 

2002年12月10日(火)〜12月22日(日) ギャラリーシャンブル100(石川県松任市)

明光太郎の裸婦

「デッサンは自然を超えて追求をしなければならない」と言ったのはレオナルド・ダ・ヴインチだ。生きものを対象としたデッサン、例えば、裸婦の場合は現実の人間ではなく、女性でもない、美の存在としてとらえなければならない。自然からさらに内面を求めた描き方こそ絵の存在感がある。このデッサンの基本を研究している仲間たち12人の修練の結果が発表された。線で描きながら量感を出し、感動を与えている作品が多く、研究の跡が見られた。

林信平の作品
油彩も華を添え

息づくような描線のリズムで、外側ではなく内側に美を求めていく、というデッサンの手本として、外国ではアンリ・マチスと日本では加山又造が挙げられる。マチスは快活で華やか、加山の作風はエロチシズムである。このような作品が仲間たちの絵にも見られた。明光太郎(示現会)の裸婦は手足の表現、見つめる顔、体のひねり、が軽やかで新鮮だ。その作風は嵐直勝(光風会)にも見られた。林信平(無所属)は属性としてエロチシズムのなかに秘めたる美を追及している。腰のひねり、肌のふくらみは驚くほどの情感を見る側に与える。

仲間たちは他に藤田隆、東野小夜子、西野澄江、杉林和弘、北田勘順、上杉美弥、上杉麻耶、上杉みつ代、麻田孝志、いづれも無所属。

ギャラリーシャンブル100 TEL:(076)275-0935


第16回 森 洋 個展 

2002年12月11日(水)〜12月16日(月) ギャラリーアルトラ(石川県金沢市)

さかな賛歌 コラージュ F50
海の響(C) ペン画 SM
フランスの風景画の前に立つ森洋

森はこの11月末にフランスに向かい、10日間を過ごし、4日前に帰ってきたばかりだという。2回目のフランスで20年以上経ていた。「フランスの街のなかは変わっていませんね。パリの中心部は保存されているのです。先端的な都市機能は郊外へもっていったのです」。と、旧金沢市庁舎を描いた自分のパステル画に目をやる。それに較べて金沢は「もっとやりようがあったのではなかったのか」、目がそう訴えている。「オンフルールという港町がよかったね。大きな町ではないのだけど、ブータンと音楽家のエリック・サティの出身地で、それぞれの美術館と博物館がある。画廊も多いし」。フランスに住みたくなったのでは? 「フランス語はできませんから」。

森が絵を描き始めたのは20歳ごろのことで、いわゆる美術学校の門はくぐっていない。「描くのが好きだから」と独学。が、20代で油絵の小川明に、40歳を過ぎて日本画の清水静邨(せいとん)に師事した。東京生まれで、幼いころ金沢に移り、それからずっと金沢に住んでいる。11年前に永年勤めた郵政局を退き、以後毎年1回、秋か秋を過ぎるあたりに個展を行なってきた。今回の個展は以前のものも含めて16回目。

基本的には風景画の作家だが、20年ほど前からコラージュの作品も発表していて、昨年は蝶や昆虫を、今回は魚がテーマ。数年前から取り組んでいるペン画にも興味が向いて、貝殻を描いた。いたってマイペースで飄々としている森は71歳だ。

ギャラリー アルトラ TEL:(076)231-6698


一風窯変展 

2002年12月5日(木)〜12月10日(火) ギャラリー ノア(石川県松任市)

辰砂耀変・天照皿
耀変した花器や皿
土にこだわる田中慶一

陶芸家にとって「窯出し」は命がけの勝負の時である。うまく焼けているかどうか、その瞬間、恐怖さえも感じ身震いするという。「こどもが生まれる時、男の子か女の子か」、緊張しておろおろする父親の心境だとも。「作風によって違うが、百発百中で成功率100%という作家もいるが、私の場合100分の1です。成功するかどうか、神頼みです」と語る一風窯主宰の田中慶一。

「失敗、というより納得ができない作品が99%、割りが悪い仕事です。命がけというのは、この仕事が飯より好きだからでしょう」。その作家精神は土に最大限こだわる。技術一辺倒だけではない。そこには激しいエネルギーが見られるからだ。

それは田中の経歴から生じたものであろう。10年前に会社を定年で退職し、天皇家茶碗献上作家の森山博応に師事、陶芸の道へ。長年、土壌改良の仕事で日本全国の土を研究してきた。そこで培った土への執念が陶芸に反映している。

1%の成果は耀変のすばらしさにある。無限の彩色が調和して美の極限を表わしている。大皿に映し出された玉虫色の耀変、釉薬が幾何学的に流れ、それは"天然の美"といっていいだろう。「出来上がった作品を見るのが怖い。しかし、また作ってしまう」。分かる気がする。

ギャラリー ノア TEL:(076)276-4486


土田佳代子展 

2002年11月29日(金)〜12月12日(木) ひろた美術画廊(石川県金沢市)

作品「高原の花」 F6
絶体色感の「化石」 F6
極限の美を追求する土田佳代子

「絶対音感」という言葉があるように、絵画の世界でも「絶対色感」というのがあるのではなかろうか。土田佳代子にはそれが備っているようだ。「絵は美しいばかりではおもしろくありません。個性があれば絵のどこかに訴たえるものがあります。花をじっと見ていると、いろいろな色彩のイメージがわいて、あれこれ描いていると美の形になってくるのです」。テーマは近年一貫して「花」。一点一点に個性があり自己主張がある。

その主張は作品に表れている。確かに土田の描く花は抽象化している。描くという行為のなかで何回も色を塗りつぶしていく。そのことを"変化する色"といい、何日か経てさらに塗りつぶしていく。花は枯れたイメージとなって、仕上げは「化石」となる。

そのものずばりの作品「化石」は渋い色合いで統一され、その組み合わせは程よく計算されて重厚さを感じる。バッグの色合いは多様に微妙に混合され、まさに花の化石となっている。「高原の花」も同じようなイメージと手法である。これら一連の作品で感じることは、美とは人によって様々に受け取られるが、作品によって美の世界へと転換していく力が絵にはある。土田の作品にはそれがある。

昨年(2001年)一水会会員に推挙された。現在、同会石川県支部の女性会員は2人。1991年に日展初入選、1996年同会新人賞と特別賞。

ひろた美術画廊 TEL:(076)240-0007


六反田英一 個展 

2002年12月4日(水)〜2002年12月11日(水) G-WING'Sギャラリー(石川県金沢市)

小品の傍らに立つ六反田英一
『天と地の饗宴(天)』 油彩 F50
『天と地の饗宴(地)』 油彩 F50

およそ作家にしておくにはもったいないくらいに控えめで、礼儀正しく、穏やかに、六反田は映る。いや待てよ、ウラに隠されたなにか深い想い、というか顕示といったものがあるに違いない、そうでなければこんな2部作『天と地の饗宴』を描くはずはない。

六反田はデザイナーを生業としている。1957年石川県生まれ、'82年金沢美大絵画専攻卒、金沢市在住。 '95、'96と上野の森美術館展で、フジテレビ賞、優秀賞を受賞し、その後も絵は描きつづけ、'00、'01の現代美術展では、佳作、次賞を受賞した。「デザイナーという仕事は、時間が在って無いようなものですから、絵を書く時間は決められません」、展示の前日まで筆を持っていた。本展には小品から大作まで約35点が展示されている。

大学のころは実験的に、色面構成に取り組み、その要素を見せることに専念していた。それがだんだんと人物が主役として登場してくるようになり、二紀展に出品した(1996年〜)当初は「暗くて気持ち悪いもの、形もデフォルメしていた」が、最近は「色が明るくなって、より具象的になってきた」。2部作『天と地の饗宴』は「人の動きの美しさを、色や形で止めて」表現したものという。もちろん六反田流の止め方であり、そこが個性であり魅力であるのだが、にべもなく「いや、べつに深い想いや顕示があるわけではありません」。いやいや、あるはず。聡明な読者はもうお気づきとおもうが、これからどんな止め方をしていくのか、ちょっとした注意が必要だ。

G-WING'Sギャラリー TEL:(076)238-0788


第9回輪島漆芸作家入選作品展 

2002年10月5日(金)〜12月25日(水) 石川県輪島漆芸美術館(石川県輪島市)

小森邦衛 『曲輪造藍胎食籠』
水谷内修 『沈金漆盆「十三夜」』
三谷吾一 『ひととき』

漆工芸品は欧米では"Japan"とよばれる。その日本の中でも、漆といえば輪島、輪島といえば漆なのであって、だから輪島の漆は世界一ということになるのだが、いまちょっと元気がない。日本経済の問題、業界の構造的な問題、顧客の嗜好の変化への対応の遅れ、など原因はいろいろとあるが、ここではそういったことには触れない。

輪島には現在100名近くの漆芸作家がいる。本展は、平成13年度に開催された日展や日本伝統工芸展をはじめとする主な公募展に入選や特別出品した輪島の作家たちの作品を集めて展示するもので、はや9回目を数える。

これらの作家たちは、普段は顧客や問屋からの注文に応じた椀などの作品を作っているのだが、公募展の作品となるとさすがに芸術性に重きが置かれ、自ずと大きな作品が多くなっている。別のいい方をすれば、作家の個性がより発揮されたものになっているわけで、人となりなどもうかがえる。

絵画かと見まがう三谷吾一の『ひととき』は、黄緑色の漆面に沈金の点彫りを施したもので、小森邦衛の『曲輪造藍胎食籠(まげわづくりらんたいじきろう)』は渋い色がとても上品な質感の高い作品、水谷内修の『沈金漆盆「十三夜」』は「満ち満ちる前の月姿に我心うばわれ」制作したものだ。

石川県輪島漆芸美術館 TEL:(0768)22-9788


Wink展 〜7人の画家展〜 

2002年11月30日(土)〜12月8日(日) 美術サロンゆたか(石川県金沢市)

三浦明範 『洋梨とグラス』 銀筆画 F6
北久美子 『青空から』 油彩 F50
玉川信一 『昼下がり』 油彩 F6
岡村圭三郎 『花』 日本画 F30

現代の日本の中堅作家の中でも、実績と評価の定まった、これからが期待できる、世界に通用する、そして絵画に対しての考え方に共通の認識を持つ7人が揃った。メンバーはこの2002年春にチェコのプラハで開かれ好評を博した「7ジャパニーズフェロー展」で結成されのだが、日本で企画開催されるのは今回がはじめて。WinkのWはworld、wide、wingのWで、inkはin KANAZAWAを表しているとのこと。

出展作家は、安達博文(国画会)、井上英樹(白日会)、岡村圭三郎、北久美子(二紀会・女流画家協会)、玉川信一(二紀会)、本田希枝(独立美術協会)、三浦明範(春陽会)の7人。

古典的なテンペラ画法(卵黄や蜂蜜・ニカワなどを混ぜた不透明な絵の具で描く画法)で、愛犬なのだろうオチャメそうな白い犬と心象的な時空に歪んだ白い人の顔をモチーフに、鮮やかな空の青や風景を裂き垂直に煌く一条の帯の虹色、円い丘のややくすんだエンジ色などを巧みに操り、独特の世界を描く安達博文の『白い犬と虹』はひときわ目を引く。

ここまで陰影を巧みに表現できる作家はそんなにもいないだろう、デッサンではなく銀筆画とよばれる、三浦明範の『洋梨とグラス』や後ろ向きの裸婦が横たわる『デイドリーム』はモノトーンながら圧倒的な存在感を顕わしている。ことに裸婦の肌への筆致は絶妙で、靜謐なエロスとはこういうものをいうのだろう。

北久美子の『青空から』は彩色にさすがのキレを感じるし、板に和紙を貼りところどころ刳り抜きの穴を配した岡村圭三郎の『花』や『龍』も印象的で、いづれも秀作揃いだ。

美術サロンゆたか TEL:(076)232-1341

安達博文 『白い犬と虹』
テンペラ F6
本田希枝 『沈黙の刻』 
油彩 F20 
井上英樹
『LANSKAPE‐BLACK STEEPLE(B)』
水彩 20×20cm

北見隆展

2002年11月30日(土)〜12月9日(月)ギャラリー アルトラ(石川県金沢市)

「犬飼座の天使」
「夜の香り」
「天国の門」

「この絵、どこかで見たことないか」という若者の声が耳に入ってきたが、そのはずだ。作家の北見隆は赤川次郎の小説で装丁をしたイラストレーター。1997年のプラチスラバ国際絵本ビエンナーレ展で「金のリンゴ賞」を受賞した国際的なアーテイストとして評価が高い。東京都出身。

聖書や神話をモチーフに取り入れ、平面は叙情性を、立体は叙事性を出した作品に仕上げている。今回のテーマは「月の舟」。ほとんどの絵には大きさが様々な満月や三日月が登場する。スマートな舟、羊、犬が描かれ、そして主役は女神とおぼしき羽をつけた少女。DMによれば「構図としてのバランスより絵を描いている時の精神のバランスが月の満ち欠けを決めている気がする」と言っている。

リトグラフ、シルクスクリーン、エッチング。タブローと多彩。「夜の香り」はイラスト的絵画といってよい。大きな虹、月の舟の女神、羊、計算された構成である。オブジェが生き生きとしており、メルヘンの世界でもある。「天国の門」「犬飼座の天使」は木の素材を活かした存在感のある作品だ。

じつと佇むと不可思議な引力なようなものを感じる。それがこの作家の精神であろうか。

ギャラリー アルトラ TEL:(076)231-6698


西山彰展

2002年11月26日(火)〜12月8日(日) ギャラリー点(石川県金沢市)

「座標」 100F、100S、100F

100号3点を組み合わせた大作「座標」で"仏の気配"というのを知った。作家の西山彰は43歳。経歴はというと大学は理数系、卒業して教師をしていたが、父親のあとを継ぐべく僧侶の道へ。絵は大学時代から勉強していたという。少々荒削りだが意表をつく作品が多い。油彩を基調に紙や布のコラージュを取り入れているのも特色。主に女性をモチーフにしている。人間がもつ潜在意識を表現、つまり内面を鋭角的に切り込んで半具象のフォームとして表現している。

ギャラリーの正面に展示されたその作品を観ると、中央の女性像は上半身をクローズアップさせ生命の源泉を表現している。特徴的なのは手と指、口、目。なかでも目は穏やかに澄み切って阿弥陀佛のようだ。手と指はしなやかに天空を指している。全体に仏の像、醸し出でてくるのは仏の気配といえるであろう。

「MEMORY1」 100S 「歪んだ空間」 130F

奥の展示室に展示してある「MEMORY1」はことし所属する二紀展の候補作になった秀作。女性像を大きく描き、左手の指は横を指している。天から次第に地上へと差し伸べることで俗社会の概念を表している。「歪んだ空間」では、手は画面からは分かりにくく、体は揺れ顔は歪み、醜い社会として見える。

西山の原点は理の概念と宗教の理念がある。

ギャラリー点 TEL:(076)292-2140


BackNumber 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33
34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65