第48回全国写真展覧会 石川展

2003年2月13日(木)〜2月19日(水) 石川県立美術館(石川県金沢市)  

日本写真文化協会賞第4部・推薦
「古木」 高橋弘人(大分県大分市) 
第3部・特選
「黎明の女僧勤行(にょそうごんぎょう)」
池田正典(石川県金沢市)

この全国写真展覧会は、通称"全国展"とよばれているもので、社団法人日本写真文化協会が、文化庁の後援を受けて、1952年(昭和27年)から毎年1回、開催している。審査委員長は奥田昇で、審査には奥田昇、細江英公、村山直儀、山口睦夫(以上、第1部:人物)、飯沢耕太郎、小島昭雄、田沼武能、芳賀日出男、山本吉男(以上、第2部:日本の文化財、第3部:日本の暮らし・風景・祭・行事、第4部:日本の自然)があたった。

第4部ができたのは4年前からで、それまでプロの応募が中心で少々マンネリ化してきていた。それではいけない、カンフル剤としてもっとアマチュアに門戸を広げてみよう。で、取りくみやすい"自然"をテーマに加え、第4部とした。それが効を奏して、全体の作風の幅がひろがり、のびのびとした作品が増えた。そしてさらに、来年からは、晴れて第1部に昇格することが決まった。なかなかオツな英断だ。

第4部・特選「哀れカエルの運命」
與那嶺富也(沖縄県那覇市)

いまや写真は、ときに子どもがびっくりするくらいの出来映えのものを撮ってしまったりするくらい、わたしたち日本人にとって身近なもの。それだけカメラの性能が格段にあがったということ、テーマとシャッターチャンスが大事なことは当然のこととして、いちど応募してみてはいかがでしょうか?
なお公募の受付は、資格を問わず、毎年9月1日〜11月15日で、発表は12月下旬。

応募先:(社)日本写真文化協会 全国展係
〒160‐0004 東京都新宿区四谷1-7 TEL:(03)3351-2463 

石川県立美術館 TEL:(076)231-7580


そばちょこと片口展

2003年2月12日(水)〜2月20日(木) G-WING'Sギャラリー(石川県金沢市)  

岩田圭介 猪口と片口(陶) 
艸田(そうだ)正樹 猪口と器(ガラス)

蕎麦は、かつての日本では米よりランクは下で、米が買えないから、稲作ができないから、といった、どちらかといえばあまり積極的ではない理由で食されていた。ところが、ここ十数年、年号が平成に変わるあたりから、山里に原木などあしらった力強い造りの専門店などができはじめ、けっこうなお値段にもかかわらず、バカな雑誌がやたら上げ諂うものだから、「食わしてやる」とはさすがに口にはしないけど、そんな顔つきの主人がやおら能書きなどをたれる。そんな高級な食材に蕎麦はいまや変化をとげてしまった。

だがしかし、蕎麦の気持ちになってみると、細やかな網など敷いた美しい器に盛られ、さて隣りには、洒落た片口からいま注がれたばかりのつゆが、これまた洒落た小ぶりの猪口のなかでプーンと鰹の香りをたてて待っている。これだけ気をかけてくれたのか、うーん。

桐本泰一 指樽と六角杯(朱漆) 

そんなこんなで、13人の作家たちが、それぞれの蕎麦に対する想いを形にしたのが今回の展覧会。陶の岩崎晴彦、岩田圭介、尾形アツシ、開発富代、中村博光、長谷川奈津、古川歩、西村宣明(よしあき)。ガラスの佐々木雅浩、艸田正樹。漆の赤木明登、桐本泰一。箸の沢田欣也。みているだけでも実に楽しく優雅な気持ちになれる。そして、自分で蕎麦を打って、追い鰹をきかしただしも作って、この猪口と片口で、いいひとと、などと想ってしまうのだ。

G-WING'Sギャラリー TEL:(076)238-0788


ヒロミチ キムラの世界展

2003年2月4日(火)〜2月16日(日) 石川国際交流サロン(石川県金沢市)  

「駑馬十駕」(どばじゅうが)
「仰不愧天」(ぎょうふかいてん)
「開巻有益」(かいかんゆうえき)

この作品展を見てCG(コンピュターグラフィックス)の世界を思い起こさせた。3mほど離れて見ていると、平面が立体となって迫る。画面一面に半月型の曲線が群がっているが、そのマジックに似たテクニックが絵をあぶり出している。作家は「意味を考えないでください。各人のイメージで見てください」と語る。ドラマチックである。

作家の木村弘道は金沢美術工芸短大卒(現金沢美大)、母校や金沢大学、金沢学院大学などで東洋美術史家として教鞭をとった。初めて作品が紹介されたのもアメリカでのインターネットである。今回は国際交流の場で自身が構築してきた美術論を抽象的な雰囲気で展開した。今年で74歳、迫力がある筆使いだ。

その作品は禅語や東洋の名言を四君子(蘭、竹、菊、梅)の中から、蘭=長い線と竹の葉=短い線のイメージから漢字を再構成して絵画として表現したという。「駑馬十駕」は才能のない者も努力をすれば追いつけるというたとえ。この絵のバックは赤。燃えること、つまり努力の持続であろうか。

「仰不愧天」は心になんらやましいことはない、という意味。「開巻有益」は本のページを繰れば得るものがある、ということで読書がためになるという。それぞれ夢幻のイメージが喚起する。作者は意味をあまり考えないでというが、ここにはヒロミチ・キムラの作家精神が貫かれていて、想像力をかきたてる。鑑賞者はどうご覧になるであろうか。

石川国際交流サロン TEL:(076)223-8696


岡倉聡宏・池越直人2人展

2003年2月1日(土)〜2月9日(日) 美術サロンゆたか(石川県金沢市)  

岡倉(左)と池越
岡倉の「Die Figur」(F15)
「月光」(F20) 

ち密な筆致で描いた女性像と鮮明な絵画空間を表現した風景画、この2人展が幻想的な雰囲気を醸し出だしている。いずれも古くからのテンペラの技法を現代に生かして独創的な作品を作りだしている。岡倉の女性像はサー・エドワード・バーン・ジョンズの「三美神」の裸像を、池越の風景画はジェームス・マクニール・ホイッスラーの「嵐の日没」を連想した。

パステル画は15世紀に赤・黒・白の3色によるクレヨンで描かれた技法。その後、多彩な色や立体感を出した構図が浸透し印象派の画家らに影響を与え、いまも根強い人気がある。これまでの画風と違うところは一見、静的とも思える構図が実は動的である、ということだ。この2人の質感のある世界は、ともに金沢美大を卒業後、ウィーンに留学し油彩と水彩の中間技法の第一人者ボォルフガング・フッターに学んだ「混合技法」による。

岡倉の作品、「Die Figur」は静止した女性像だが、両手は動いているように見える。それは指の組み方がヒステリックに絡んでいるからであろう。「月光」は直立不動の裸像。手に縄を持ち、いまにも飛び跳ねるような構えを見せている。さらに渋い半透明なグレーの色合いが効果的である。

池越の「誕生」に描かれた立山、「遠い日」の白山、鮮やかな赤がこの絵の中核となり、さらに山の中央に大きなカランとつばきの花、青い空、画面の全体が自然の生命体を形成している。「中世の絵画によく見られる赤の色彩、あのような色が出せたらと思い勉強してきた」と語る。岡倉は金沢美大講師。池越は長野オリンピック文化芸術祭などに参加、実力が認められた。 ともに将来が期待されるホープ。

池越の「誕生」(F10)と「遠い日」(F30)

美術サロンゆたか TEL:(076)232-1341


木下昭治作陶展・共催 梅沢武人水墨画展

2003年1月23日(木)〜2月4日(火) ギャラリー千代堂(石川県松任市)  

木下(右)と梅沢
木下の作品群
梅沢の水墨画

ひとつの分野の中でいろいろな事に挑戦するには勇気がいる。芸術ともなればさらに難しい。やきものでは、備前もあれば、信楽、九谷、織部、青磁と多彩である。このようなことに挑んでいる陶芸家が初の個展を開いた。

木下は62歳、7年前にこの道に入った。平成11年に石川県アマ美北國賞受賞。現在、松任市で倉部焼を研究している。陶芸家の信条は「こころ」と「かたち」だと言う。「やきものをしていると、いろいろな事が見えてきます。ひとつの事にこだわると前が見えなくなるのです」。

展示されているのは花器や大鉢など100点余り。制作意欲が旺盛だ。作品は生命感があり、のびやかで生き生きとしており「かたち」はダイナミックだ」。織部の釉薬で窯変された茶わんは濃淡の美を感じさせる。自由な姿勢で独自の境地を開いた。が、1点1点に個性があり自己主張がある。陶芸をする「こころ」がこもっているからだろう。

今回は梅沢武人が水墨画を展示して展覧会に華を添えている。筆さばきも鋭く、構図も几帳面だ。85歳の作品には品格があり美への執着がある。古いものを新しさに変えるセンスを持つ作家である。

ギャラリー千代堂 TEL:(076)275-0305


青磁 堂前忠正作陶展

2003年1月22日(水)〜1月30日(木) 金澤画廊(石川県金沢市)  

青磁の作品の前に立つ、堂前忠正 『青磁壷』 H280 3つ足が特徴

堂前は1951年石川県小松市に生まれた。小松市には九谷焼の窯元がいくつかあり、家のそばにも1軒あった。高校の時その窯元でアルバイトをし、土の塊から形が出来上がるロクロに興味を持ち、卒業後そのまま修行に入った。老人ばかりの中にひとり入った若い堂前は、可愛がられ後継者にと目されたが、九谷はその当時すべてが分業制になっていて、ロクロを引く者はそればかりをやる。「おかしい、自分ですべてやるのが作家」そう思った。そして、「偶然なのでしょうが、鉄釉の窯変がでた。数多く試みた釉薬の中の1つに」。展覧会に出した。入選。

『窯変鉄燿壷
(ようへんてつようつぼ)』 H280

20歳のとき独立。「だれもやってないモノを焼いてやろう」、青磁に惹かれ、出光美術館(東京都)で古代中国の青磁の破片を何度も見てまわった。「単純な中に、ほんとうの深いものがある」。それから30年間、青磁一筋だ。いや正確には1度だけ、22歳の時「彫刻に興味を持って、1年ほどヨーロッパの芸術を観てまわった。日本に戻り分かったことは、「やはり日本の焼ものが世界一」。

今回の個展は金沢では2年ぶり、ここ2・3年で焼いた"ふだん使いの青磁"77点の展示。といっても青磁には高貴な気品がある。東京では三越デパートでの発表が中心。『窯変鉄燿壷』の色は、堂前だけが出せる色、オリジナル釉薬を使った作品だ。

金澤画廊 TEL:(076)262-7227


藤浪理恵子個展

2003年1月18日(土)〜1月26日(日) 美術サロンゆたか(石川県金沢市)  

「A Bruial」 1991 銅版画 56×72.5

今回はアメリカで制作したドローイングなどの作品を中心に、小品から大作まで、30点余りの展示となった。制作の手法はさまざまだが、際立つ個性はどの作品にも息づいている。モノラルにセピアに暗く深く、壁の中で何百年も生きてきたような、それでいて観る者を納得させ安心させる、そんな世界。

1960年千葉県の生まれ。東京造形大学卒業後、多摩美術大学大学院卒業が86年。87年ミヤコ版画展大賞、88年日本現代具象版画展グランプリ受賞。その後も内外の美術展で賞を受賞し、98年には"文化庁買い上げ優秀美術作品選定"を受けた。

「Cellure 2002-II」は、金属の網に絡めたフレスコセッコを下地に少女の顔を描いた作品。アクリル絵具と金箔や和紙を使用し、小さいながら力強い質感に思わず魂までもが引き込まれそうになる。「Buding Autumn」はフロッタール・ドローイングの作品で、和紙に3人の女性の写真を3重にコピーし、塗り絵のように着色した不思議な作品だ。

「Cellure 2002-II」 2002
フレスコセッコ 19×18
「Buding Autumn」 2002
フロッタール・ドローイング
33×24

藤浪は本来は版画の作家である。しかし、昨年はプレス機のある日本のアトリエを離れ、アメリカでの制作が中心だった、そういう訳でいろいろな技法の作品が生まれたのであるが、それがとてもいい機会になったようだ。今年からはプレス機とともにアメリカに居を移すという。グローバルな活躍をおおいに期待したい。

美術サロンゆたか TEL:(076)232-1341


田中masueパステル画展

2003年1月17日(金)〜1月31日(金) ギャラリ−k2(石川県金沢市)  

作家の田中益栄
「ミニトマト」
「シクラメン」

masueはインターネット上のネーム。益栄が本名。今回の個展が金沢で誕生したのは画廊主(小坂智)と作家とのネット上での出会いからであった。

展示のパステル画は写実に基づく何げない絵に見えるが、どこか人情味があふれる癒しの絵に通ずるものがある。作家の田中はいま神奈川県内にある老人施設で絵画教室を開いている。教えているというよりも一緒に絵を楽しんでいる雰囲気だそうだ。絵を描くようになってから指の震えがなくなったというお年寄り、さびしい思いでいた独居老人は楽しい毎日になった、と聞く度に教え甲斐がでてくると言う。

田中の絵は透き通った美しさで知と情が流れている。それはいまの環境から生まれたものであろう。モチーフも花であったり、野菜や木々で自然が多い。テーマは5つ、SKY(空),WATER(水),LIGHT(光),EARTH(土),WIND(風)。瑞々しい色合いで、ひとつの花を表現しても背景は水や空を思い出させる。

この作家の場合、古風な考えがないのがいい。素直さがかえって新鮮さを呼んでいる。京都精華大学デザイン科を卒業。色エンピツは普通100から200色を使うが40色で表現している。デッサンが確かだから画面が生きてくる。当分、お年寄り相手に教えていくそうだが、自らも磨いてさらなるパステル画をお見せしたいと語る。

ギャラリ−k2 TEL:(076)243-0017


河美廷金属工芸展

2003年1月17日(金)〜1月26日(日) グリーンアーツギャラリー(石川県金沢市)  

「光の空間T」
「光の空間U」
河美廷と「光の空間V」 

夜、繁華街のビルから見える光。その美しさを加賀象嵌(ぞうがん)を利用して表現したオブジェが金属工芸の小宇宙を形成している。作家は河美廷(ハ ミジョン)。3年前に韓国から金沢美術工芸大学に留学、今回の個展は集大成。

群立するビル、そこには力があり生命が生き生きしている。窓からの光は勇気を与えてくれる、という作家のテーマは「都市と光」。技法として、なぜ象嵌を使ったのか。「作品を表現する時、線の象嵌は面よりしやすいが完璧ではない。そこで思いついたのが光なのです」。が、人間は光の実態を見ることができない。そこで「窓を通ってきた光で陰影と空間を象嵌の技法で表現した」と語る。

その光のイメージが作品では「線」となって表現された。「光の空間T」はペアガラスで囲んだ壁を作り、その中に地球をイメージした球形を置き、表面に線を刻むことで光を表現している。「光の空間U」は光の明るさを銀で表現している。その光は黒い線で刻み闇をイメージしている。

河は釜山の出身。慶星大学産業工芸学科を卒業。釜山は自然に恵まれた土地。自然から都会に思考が変わったことについて、「自然は直接的で感覚的、都会は象徴的で哲学的。ですからデザイン化した都会がいまのイメージに合ったわけです」。この後、京都で個展を開き母国へ帰るが、また金沢で勉強したいと言う。

グリーンアーツギャラリー TEL:(076)245-7222


沢田欣也「きんやのお箸」展

2003年1月16日(木)〜1月31日(金) INAXスペース金沢(石川県金沢市)  

空中に浮遊するか箸たち
絵のような写真のような箸たち
沢田欣也
創作以前に収集した古箸のブースの中で

モノを集めるのが、子どものころからの趣味だった。小学校のころは、古銭とか切手とか、時代のブームにしっかりと乗っていたし、長じてもいろいろ集めて、今は「古い食器をあつめています」。じつは、その趣味が幸いしてというか、止むにやまれずというか、沢田の漆の箸づくりは、そんな風に始まった。30代後半、10年ほど前のこと。「古い食器に合う箸がなかった」。そこで箸の産地を何ヶ所か訪ねてみた、たとえば福井の小浜市、しかし「工業化されていて気に入らない」。じゃ、自分でつくってしまえ、という訳だ。

地元(沢田は石川県小松市の生まれで在住)のイベントに出してみたら評判が良かった。次いで地元のクラフトフェアに参加した、やがて東京で個展もやった。「毎日使うものだから」その重要性が少しずつ理解されていった。独特のキャラクターも幸いして、ファンも増えていった。

沢田の本業は、漆の原液を集め調成し使用者に卸す商店のご主人。同業は全国に50軒ほどあるというが、石川県には9軒もある。いずれも江戸時代から代々続く店で、さすがに輪島、山中を擁する県であることが、こういった事実からも窺い知れる。

今回140種の箸を用意した。すべての展示はできないが、一つひとつが「きんやのお箸」、古きよき日本が、細い体に込められている。

INAXスペース金沢 TEL:(076)262-1701


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