4×4(フォータイムフォー)展

2003年4月11日(金)〜4月16日(水) ギャラリー新神田(石川県金沢市)

京岡の「ブラックミルクベイビーズ」
小林の「あ うん」

4×4(フォータイムフォー)は会派4人の画家と別の会派4人の合同展。太田喜代司、小林利幸、西山彰、六反田英一は二紀会。京岡英樹、指江昌克、堀一浩、水野雅己は独立美術協会。どちらも抽象画で現代美術の先端をいく。この二つの会派は一般的には分かりにくいが特に独立美術は「毒」立美術という評論家もおり、個性が強く油っこい。二紀は物語性もあって、どちらかというと具象的な面も残っていて難解ではない。

京岡と指江の作品を前にするとやはり驚きが先にくる。京岡の「ブラックミルクベイビーズ」は大きな牛らしき動物、雌の乳を飲む子牛が2頭、何を訴えようとしているのか。やはり親子のスキンシップを戯画として表現したのだろうか。指江の「刻の記録者」は地球儀であろうか、林立するビルと煙を描いた円形が中央に、下方に廃車などゴミの山、灰色の世界が画面いっぱいに広がっている。ともあれ、地球環境問題を追求している作家の精神がこの絵から伝わってはくる。

太田の「黙士するものたち」、中央に描かれているのは横たわる人間のようなオブジェを縄のような線で表現している。暗い画面に赤い点、もしくは大小の図形が印象的だ。小林の「あ うん」は白と黒でしぶきのような激しい線模様で描き、見るものにとっては、ある部分が人間の顔のようであったり、またある個所が動物の一部であったりする。

指江の「刻の記録者」 太田の「黙士するものたち」

8点いずれも130号の大作で現代美術の実験的な作品に「あ うーん」と唸る秀作だ。

ギャラリー新神田 TEL:(076)292-0862

 


「花」日本画展 −金子建四郎の世界−

2003年4月10日(木)〜4月15日(火) ギャラリ−ノア(石川県松任市)

花にこだわる金子
珍しい寒ツバキ
白の濃淡が巧みなボタン

花にとことんこだわる日本画家金子建四郎。「そんな格好いいものではありませんよ。花が好き、というか、執念みたいなもの」と語る作家の目は穏やかだ。サラリーマンだったが30年前に有名画家の作品を見て、こんな美しい絵を描いてみたいと奮起した。以来、日本画に取り組んで今年は68歳、「花の日本画家」として地道に歩み、これが2回目の個展。いわゆる無所属。独学で師匠はいない。「独自の花の絵を描きたかった。生意気かもしれないが先生につくと、なにか創造性が出ないのではないかと思った」と言う金子に思い上がりはない。「一生懸命に、丁寧に」が私の絵に対する哲学だそうだ。それが絵にまさに表現されている。

花のやわらかい息づかいが伝ってくる図柄は白が基調。バックも白を下地にいろいろな色彩を何回も塗っていく。花弁、葉、枝のひとつひとつを細かく描いていく。ボタンやつばきの大輪が生き生きとしており白の濃淡が巧みだ。友禅の色調で和様の世界を見る感じである。

寒ボタンは北陸ではあまり見当たらない。そこで奈良のお寺まで出向いて写生をしてくる。花をモチーフにした作家のこだわりはこんなところにもあったわけだ。

ギャラリ−ノア TEL:(076)276-4486


スペインの現代美術作家展(マドリッドからの贈り物)

2003年4月9日(水)〜4月20日(日) 浅の川画廊(石川県金沢市)

Sin tituro U ISSAM ALTAY
(イッサム アルタイ)
EXODOT MAAD ADNAN
(マード アドナン)

すどう美術館(東京都)の企画展。浅の川画廊では今回が2回目。スペインのマドリッドを基点に活躍する世界各国からの現代美術作家14人(4〜50代の中堅作家がほとんど)の作品、計47点が展示された。日本人も1人、山口敏郎が参加している。版画の小品が中心で、ドローイングと木彫の作品も数点加わった。

偶然だが、イラクのバクダッド出身の作家が3人参加している。MAAD ADNAN(マード アドナン、1956年生)、ISSAM ALTAY(イッサム アルタイ、1956年生)、MUNIR(ムニール、1953年生)の3人だ。共にマドリッドに住んで永いのだけれど、今回の戦争のことにどうしても思いがいってしまう。芸術活動は社会の動向に敏感に呼応するし、せざるを得ない。ただこの作品たちは戦争が始まる以前に制作されたもので、そんな影は微塵もないのだが、フィルターがかかるということの怖さをあらためて感じる。

No.11  MUNIR(ムニール)

浅の川画廊は文字どおり金沢市の浅の川に面している。訪れたのはもう数日で川岸に連なる桜の木々が満開にならんとしている日、漂いくる空気も春らしく長閑でのんびりと平和そももの、‥‥だからこそ、ほんとうに1日も早く、イラクの戦争の終結せんことを願ってやまないのである。

浅の川画廊 TEL:(076)222-5043


宇野のり子展

2003年4月4日(金)〜4月13日(日) ギャラリーアルトラ(石川県金沢市)

宇野のり子
「窓辺」
「青い花」
「風に舞う」

ずらり並んだ作品群はすべて静物。人物も風景も見当たらない。作家はあまり風景画を描いたことがないし嫌いだという。なぜか、答えは意外なところにあった。宇野のり子は若いころ大阪で暮らしたことがある。そのころから絵を習ったが、場所はビル群が林立する中心街。だからほとんど室内で描いていたと思い出を語る。なるほど大阪の街のど真ん中では写生にも行けなかったのである。まあそういう環境で絵の勉強をしてきたわけだが、幼児体験というか、今でも風景ではなく静物が多い。今回の個展も例外ではない。

とはいっても、静物は難しいものだ。この絵で一番神経を使うのが背景。ここに100%の力を注がないとその絵は死んでしまう。例えばバックに動きがあるということは、色と筆の使い方がいかに修練されているかの証明でもある。100号の大作「窓辺」は全力投球の作品である。窓から吹いてくるそよ風を見事に表現している。真ん中に描かれたカサブランカが冴えて絵に力を与えている。

なかでも花が好きだという。写実的な絵もあればオブジェの花柄もある。その典型が「風に舞う」や「青い花」。前者は抽象化された色彩の組み合わせ、後者は質感のある色合いでこれも力強い。宇野は一水会会友で日展や現代美術展などに入選を重ねている。これからが正念場だが、個性のある絵をめざしたいといい眼が輝く。

ギャラリーアルトラ TEL:(076)231-6698


ふるまい展 〜大きな器・小さな器〜

2003年4月5日(金)〜4月13日(日) G-WING'Sギャラリー(石川県金沢市)

朝倉晶 「高台皿」
関根正文 「銀錫管」
赤地健の蓋のついた長器
加藤委 「青白磁平片口」
「青白磁丸鉢」

ふるまう、振舞う、もてなすことである。
"振る"と"舞う"から構成されている、ということは、もともとはたぶん大きな御殿などで、剣など振っての踊りに麗しき綺麗どころの舞いなども加わって、お酒とご馳走は当然のこととして、そんな正式な大袈裟なもてなしの様子を現わしたものだろう。(一方、だれそれのように振舞う、といった使い方もあるが、これはこの際横においておく)。ところがいつしか、ふつうの家庭レベルでも、ちょっとした客を主人や奥方の料理などで歓迎するといった、もう少し気軽な使い方をするのが一般的になっている。

そんな、もう少し気軽なもてなしの折に、こんな器を使ったら、というのがこの展覧会。G-WING'Sギャラリーの春の恒例展だ。今年は"それぞれのジャンルで光っている"9人の作家たちがエントリーした。陶器の赤地健、朝倉晶、加藤委(つぶさ)、角田武、藤塚光男。漆の角偉三郎。錫の関根正文。ガラスの高橋禎彦。和紙の遠見和之。個性的だが上品で優しい作品が勢揃い。いいものはいい、ちょっとネというものはちょっとネ、好きなものは好き、キライなものはキライ、こんなふうに見て回ると、とても楽しいワクワクした気持ちになっている自分に驚く。

ころは桜、日本の一番いい季節。気のおけない仲間と、洒落た器に三菜や春の珍味などあしらって、のんびりと、ただ黙って、いい酒を酌み交わしたいものである。

G-WING'Sギャラリー TEL:(076)238‐0788

 


グループ日工会加賀会展

2003年3月27日(木)〜4月8日(火) ギャラリーノア(石川県松任市)

感性が作家の命と語る武腰

「うーん、これは一体なにをイメージしているのだろう」。作家にとって創造する力が重要だ。白地のうえに赤と緑、黄色の線が数本、下方にはにわとりか、猛禽類らしき足、画面には頭と胴体は見当たらない。が、遠く離れて見ると、そのラインが前かがみの鳥となって迫る。不思議な作品だ。武腰敏弘の九谷焼額縁「ひだまり」である。

「今はぐい呑みなど小さいものから大きいものまで作っている」と言う武腰。その大きいものは環境造形といわれる壁画。「形だけでは駄目。色彩とデザイン、創造と感性。この4つが備わってないと大作は出来ない」と、その難しさを語る。すなわち武腰の真意はこうだ。芸術に挑戦して大事なのは応用問題ができるかどうか、だと言う。

武腰敏昭の「ひだまり」 木田弘之の「青白磁・草花
小紋花挿し」

どの世界でもそうだが、この分野ではこの4つが問われる。「ひだまり」はこれをクリアしているといえる。この新作80点も応用問題が解けた秀作である。出展したのは日工会陶芸部「グループ青」の10人で武腰、木田のほか浮田健剛、角地耕三、加登明雄、亀野洋子、高田忠則、武腰冬樹、森澤龍一、山田登陽志。

ギャラリーノア TEL:(076)276-4486


安井律雄・墨と箔による染布展

2003年3月27日(木)〜4月8日(火) ギャラリー千代堂(石川県松任市)

墨にこだわる安井律雄
雅の屏風「花逍遥」
華やかな暖簾「森羅万象」

この展覧会の作品を見ていろいろなことが創造できよう。例えば「暖簾」なら洒落た和風の玄関がいいだろう。「屏風」は料理屋さんがぴったりだ。そんな作品を制作したのは安井律雄。染め布に描いたのは墨による抽象的な文様。金箔も施してあり重厚さを醸し出している。○・△・□の組み合わせで曼荼羅の世界を表現した、という安井は前衛書道にも明るい。かつては金沢美術工芸大学では工芸デザイン科で染めを専攻している。

「墨」は東洋の美を象徴している。墨はもちろん黒だが、これほど応用の利く芸術は少ない。それに奥深く優雅である。描かれた文字や造形はドラマ性もある。それを染め布で表現したら、これはもう和の世界の極地をいく。安井の作品は墨の濃淡と筆の曲線が流れるようでデザイン的にも斬新だ。

一連の作品は画面効果を狙って金箔をデフォルメしてイメージは豊かである。染め布に墨、見事に融和していて面白い組み合わせである。同展では奥さんの染織作家未星も羽織る布として参加している。

ギャラリー千代堂 TEL:(076)275-0305


江守マリ子 油彩画展

2003年4月2日(水)〜4月14日(月) 画廊プラザ樹(石川県金沢市)

会場の江守マリ子

絵との出合いは小学生の時、「母の兄弟に絵の好きな人がいて、水墨画が天井裏にいっぱいあって」。高校の時、友人に誘われて一水会の滝川武雄に師事。その後、郵政局に勤め、局の絵画サークルで奥田憲三の指導をうけた。「本格的に、絵に向かい合ったのはこの時から」。やがて、一水会展や日展、女流展で輝かしい賞を獲り、画家に専念することになるのだが、画風において、一昨年の3月が大きな転機になった。

娘さんからのプレゼント、南米のチリのアタカマを旅してのことだ。「砂漠地帯、何もない、ゴミもない、そんな中のオアシス、自然にまかせた農園・・・。自分の中で発酵しつづけてきたモノが、焦点を定めた。人物像として、どしっと地面に足がついた女性像として」。

オアシス(アタカマ) 第64回一水
会展(2002)委員推挙 F100
アタカマの女U (2001) F20

江守は1930年、「父の転勤で」福岡市に生まれ、数ヶ月後に満州に渡り、大阪で戦争を迎え、疎開して郷里の金沢に戻った。そして現在に至るのだが、その間、世の中も、画家も、画家のおかれた立場もたいへんな変化を遂げてきた。いわずと今は、画家もギャラリーも受難の時代である。「こういう時こそ、作家として(アイデンティティをもって)生活していける。(バブルの時のように)売れると、方向が・・・・!?」。なるほど、である。

画廊プラザ樹(みき) TEL:(076)262-6276


大橋吉郎・京子 共遊び「写真あれこれ」

2003年4月1日(火)〜4月6日(日) 浅の川画廊(石川県金沢市)

吉郎と京子
大橋京子
トンネルをシンメトリックに重ねて
大橋吉郎 花火が"一"
の形になった瞬間

写真をはじめて、いつしか吉郎は15年、京子は8年が経っていた。吉郎は「大阪に転勤になって、単身、淋しかったからはじめた」のがきっかけ。京子は、はり絵を趣味にしていたが、それは現在も続いているのだが、夫に引きこまれた。

夫婦での初めての個展だ。5つのコーナーがある。吉郎は"ピレーネ山脈"(7点)、"シルクロード"(6点)、"四季彩々"(15点)の3つを受け持ち、京子は"写真あれこれ"(13点)に"はり絵"(6点)も展示した。

「一緒に撮影に出かけることも多いのですが、気がつくと、まったく違うところを撮っている」。それぞれ違う世界を求めている、というといささか大げさだが、作品にそれは顕著だ。吉郎は、地球上の人と自然とのかかわりに、歴史という時間のファクターも加え、イメージとして、その営みを深く大きく捉えようとしている。京子は「人物も好きだけど、造形的な美しさが好き」で、きり絵的な感性を活かし、優しくシャープに、フォルムの断章として表現した。

齢もいい具合に重なった、作品もいい具合に重なった、そんないい雰囲気の会場には、大勢の客や友人が重なりあっていた。

浅の川画廊 TEL:(076)222-5043


「画家たちがえがく植物画」展

2003年3月25日(火)〜3月31日(月) G-WING'Sギャラリー(石川県金沢市)

春が来ました“つくし”
古川道泰
KUSA(草) 今井由男

春です、春なのです、だから植物。12人の画家たちが、それぞれ思いおもいの春が、勢揃いした。今地球上では悲しいことがあいも変わらず起こっている、ところが春は一様に訪れる、ここの春はいたって元気な春だ。一般的には12コも春が集うと散漫になりがちなもの、しかし以前ここで個展をした方も多く参加しているせいか、それなりの統一感が醸しだされ、訪れる人たちの表情もつられて活きいきと明るい。

参加したのは、今村由男(1948年長野県生まれ。日本版画協会会員)、国友博(1957年大阪市生まれ一創会会友)、小林礼奈(1974年富山市生まれ)、鈴木治男(1947年茨城県生まれ。風土会会員)、寺尾ユリ子(1948年東京都生まれ)、百々雅美(1970年大阪府生まれ)、中井喜美子(1944年石川県生まれ。二紀会会員)、中西真三(1953年石川県生まれ。二紀会同人)、長谷川塑人(1935年金沢市生まれ)、古川道泰(1940年富山県生まれ。新制作協会会員)、安井寿磨子(1959年大阪府生まれ)、六反田英一(1959年石川県小松市生まれ)の12人。

牡丹と妖精  長谷川塑人 MAY ROSE  寺尾ユリ子 春  鈴木治男

それぞれ5点前後、小品0〜3号、こころ洗われる展示会だ。

G-WING'Sギャラリー
TEL:(076)238-0788

 

 


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