
高山和夫の色絵磁器展2003年4月25日(金)〜5月5日(月) ギャラリー萩(石川県加賀市)
「美しいか、美しくないか、それが私の永遠のテーマ」と語る作家の作品には縞模様の美が溢れている。陶芸家高山和夫(加賀市)の初の個展「ニュー・テイスト・オブ・九谷 色絵磁器」は九谷焼に新しい世界を醸し出した。 高山は20歳から東京でサラリーマン生活を送り、36歳の時に故郷の加賀市に帰り石川県九谷焼技術研修所を卒業し独立。10年間は自分の形にならなかったが、土ものと色絵をそれぞれ五年間経験し、辿り着いたのが「縞模様」だった。縞は古典的だが新鮮で、しかも単純なようで面白みがあるという。 器のボディーは薄手で金属的な質感が模様をシャープに見せ、ひと味違った作品に仕上げている。従来の焼き物とは違う色使いと金銀彩の扱いは個性があり、しかも緻密な表現で独自の世界を出した。紫と金、銀色の対比が美しい大鉢は水彩画のようだ。黄色と緑で描いた梅の鉢は温かみがあり日本画のようである。 生地つくりからすべてをひとりでこなす作家精神は「本人がいう根気の積み重ね」から生まれたものであろう。 ギャラリー萩 TEL:(0761)73-2714 |
株田由雄絵画展2003年4月23日(水)〜5月5日(月) 画廊プラザ樹(石川県金沢市)
石川県に位置する白山は富山県の立山とともに北陸を代表する名山である。立山は雄々しく男性的で、白山は優雅で女性的だといわれる。しかし、白山は見る角度でその表情が違う。特に冬の白山は美しく圧倒されるものがある。その白山を描いて第一人者の洋画家株田由雄の個展が開かれている。展示されたのは油彩30点、水彩2点でモチーフは「山と花」。山は白山と御嶽山や穂高、花はツバキやバラ、ボタンなど。いずれも写実的なタッチで山の美の極致を見せつけた。
株田は石川県加賀市大聖寺の出身。現在一水会所属で今年喜寿を迎えた。昭和42年に文化庁選抜展に出品して以来、数々の賞を受賞。平成5年に加賀市教育文化功労者となる。徹底した写実的手法で描き、細かく丁寧に心掛けていく制作態度に感銘する同人も多い。 「存在する美しさ」とは、風景を典型的に描くことにあり、作品の魅力もここから生まれてくる。今回も加賀平野からの白山だが、山を中心に180度展開しながらの写生。どれも澄み切った青空が背景で雪の山が印象的だ。空も雪も動きがあり、山好きには魅力のある絵だ。 画廊プラザ樹 TEL:(076)262-6276 |
熊谷南峯「書」個展2003年4月17日(木)〜4月29日(火) ギャラリー千代堂(石川県松任市)
書道は中国においては4千年の歴史がある。無限大と言っていいほど奥深い。「われわれが10年、20年ぐらい勉強しても、なかなか書道にならない。お習字である。50歳、60歳になってやっと1歩進んだかな、ということです」。個展を開いた書家の熊谷南峯は30年前からこの道に入ったが自分としてはまだ一人前とは思っていない、と控えめに心境を語る。 「書は読めなくては駄目だ。何を書いてあるのか、さっぱり分からない書は書道ではない。難しい字でも書道なら読める」というのが熊谷のポリシーだ。いま極めているのが「遊楽書」である。こころの芸術を伝えたい、という。 作品は温かみがあり、気張らず、楽しめる筆致だ。人生訓や四字熟語で見る側にも分かりやすい字句が多い。小学唱歌にある「ふるさと」を書に表しているが、「かの川」という字句の「川」を一種のオブジェ的に書いている。ここにも面白さが溢れている。 俳人加賀の千代女の句を独自の書体で表現し、自らが手掛けた日本酒のビンのラベルも興味を引いた。従来の書の概念にとらわれない自由な発想の書道、これからの新しい分野として期待がもてる作家だ。 ギャラリー千代堂 TEL:(076)275-0305 |
藤田圭子展―白珠色のテクスチュアー2003年4月16日(水)〜4月28日(月) ギャラリーROSE+in(石川県内灘町)
「存在する美しさ」ということは、こんなことを云うのだろう。ギャラリーに入り目につくのが白珠色で研ぎ澄まされた磁器の世界である。花器もありカップや皿、ぐい呑み、香立てなど華やかな作品群に圧倒される。魅力は外側の純白の色合いだけではない。内側の金色にある。美しいコントラスを醸し出している。 作家は藤田圭子。展覧会名は「CERAMIC WORK-白珠色のテクスチュア」。金沢市出身で陶芸家多田鉄男に師事、石川県立九谷焼技術研修所修了。石川県デザイン展や朝日現代クラフト展などに入選、現代感覚を持つ陶芸作家の一人。現在、石川県クラフト協会員で、今回は2回目の個展。
作品は大きくないが創造性が発揮されパワーが漲っている。その生きのよさは、どこから沸いてくるのだろうか。アクチュアルな作家精神といってよい。技法は磁器に上絵具を3回以上繰り返し、内側には水金を流し込んでいく。念入りに上絵作業をすることで輝くような白珠色が出てくる。 作品は華麗なだけではない。優しさ、温かさ、柔らかさが伝わってくる。藤田は独自のテクスチュアを築き身につけた。 ギャラリーROSE+in TEL:(076)286-2379 |
研山会・憩いの器展2003年4月17日(木)〜4月22日(火) ギャラリーノア(石川県松任市)
伝統技法と現代的手法を生かした九谷焼の作品250点が並び工芸王国らしい展覧会となった。主宰は山近剛、門下生10人が出品した。山近は石川県寺井町出身で本場九谷の町で育ち修業した。創造美術会陶芸部運営委員で寺井町九谷焼資料館運営委員長も務めている。昭和54年に上絵研究グループ「研山会」を結成し、以来、毎年研究成果を発表している。 山近の作品は重厚だ。味わい深い陶額は色合いに厚みがあり、やわらかな和様の絵模様で九谷の美を昇華させた。会員の作品も器の「美の気」がさわさわと流れているように感じられる。会員の西山和国は異才だ。防衛大学を卒業し15年間自衛隊生活を経験した。しかし、肉体的にも精神的にも、その生活に行き詰まり生家の自坊に帰り陶芸の道を歩んだ。九谷の絵付けに出会い、以後「生きること、そのこと」を問いながら制作に励んでいる。作品も自然で絵付けの表現も素直だ。山近の甥、山近泰は23歳、若者らしい伸び伸びとしたガラス絵のような絵皿が印象的である。 他に会員は女性が多く、江口幸代、大坂幸子、新川敦子、津田幹子、西谷直美、三輪紀子、橋本公恵、山崎里香らが出品している。 ギャラリ−・ノア TEL:(076)276-4486 |
こどもたちのクラフト展2003年4月10日(木)〜4月29日(火) 石川県地場産業振興センター展示ホ−ル(石川県金沢市)
「食事」ではなく「食時」でなければ、という考え方から生まれた器展。子供の生活のなかで「知育」「体育」「食育」が問われるが、最近では特に「食育」がクロ−ズアップされてきた。食の安全、食のマナ−のほか家族揃って食べよう、というのが「食育」の狙いだ。 「躾」とは身を美しく、ということである。姿勢よく食べることも大切。展示してある器を見てみよう。マグカップは握り手に3本の指が入れるようになっており、もう一方の手で包みながら飲むわけだ。メインプレ−トは犬食いを防ぐような形になっている。 また、異彩を放っているのが「蒔地椀」。木地に塗った漆にケイ藻土の粉をふるいで蒔く技法。制作には手間がかかるが、こどもが少々乱暴に扱っても傷まない利点がある。プラスチック容器が増えているなか、本物をというのが作者の意図のようだ。 こどもたちの器はすべて多機能的にしあげている。食をする楽しさは器もそのひとつだが、やはり家族そろって、というのが理想的のようだ。展覧会を見ていると、使う器の大切さと触れ合いの重要性を感じる。 石川県地場産業振興センタ− TEL:(076)268-2010 |
安宅鉱平・露水の鉄と陶の作品展2003年4月11日(金)〜4月21日(月) 工房SAKAI(石川県金沢市)
鉄と陶という異なる素材を組み合わせ、個性的なフォルムが独特な雰囲気を醸し出している。鉄の作家は安宅鉱平。金属メーカーでこの道の仕事をし、本場のドイツで研修、10年前に奈良県の山村で鉄の工芸品を制作している。陶器は妻の露水。京都の嵯峨美術短期大学美術コース立体造形科を卒業、夫と前後してヨーロッパで修業してきた。 作品は外国で磨かれた技術と日本の風土から生まれた素材をうまく活かしている。猫の顔を陶器で形取ったもの、舌を鉄製のスプーンで表現したものなど、鉄と陶の持ち味を出している。作品は造形的ですべて手作り。ひとつひとつ形が違い個性がある。四角いものや円形もあって楽しさを倍増させるように仕組んである。3本の細い鉄を組んで作った台の上の花器は鉄さびのような渋い色合いで華麗だ。 鉄は生きている、という作家の精神が制作過程でも分かる。焼けた鉄を叩くと火花が飛び、鉄の針が体にいくつも刺さる。熱く激痛が走る。だがしかし、「鉄は優しい、突き刺さった破片もまた自分の体の一部だ」、と、筋金入りの作家である。 工房SAKAI TEL:(076)248-0338 |
北地 正ジオラマ写真展2003年4月12日(土)〜4月22日(火) ギャラリー小堀(石川県鶴来町)
思い起こしたい「懐かしい事柄」は誰でも持っているだろう。それはふるさとの景色であったり、時には外国の思い出であったり、あるいは友人や恩師ら人物であるかも知れない。そんな思い出にある光景をラジオマ(立体模型)で再現し、撮影した写真展が興味を誘う。このユニークな試みをした作家は石川県鶴来町のカメラマン北地正。「ノスタルジーは人間として誰もが体験し共通するもの」と語る。 ことし3月に取り壊された北地の母校、石川県富来町熊野小中校校舎で学んだ思い出をいつまでも残そうと、3年前に木造2階建ての校舎や教室などをジオラマで取り組んだ。その教室を約50cm四方の大きさで組み立て昭和の学校を再現した。ジオラマ教室の中は児童のミニチュアの椅子と机、ランドセルや習字もあり、手の込んだ模型を作製して当時を甦らせた。それらをいろいろな角度からデジタルカメラで撮影した。展覧会では1年間の教育風景を写真で再現した。 ギャラリー小堀 TEL:(0761)93-1180 |
||||||
中出那智子油絵展2003年4月11日(金)〜4月20日(日) ギャラリー萩(石川県加賀市)
石川県加賀市にある萩寺の前にギャラリー萩がある。何百年前の蔵を改造した2階建ての画廊だ。近年、土蔵での展覧会が増えてきて、漆や陶器の分野では作家たちに好評である。鮮烈な赤と黄色で描かれた中出那智子の作品がこの会場に合うのか危惧されたが、それが絵も冴えて、かえって落ち着きを醸し出している。土蔵では洋画の展覧会は不向きだといわれているが、作品によっては素晴らしい効果を挙げるものだ。 中出は東京都伊豆大島の出身。23歳の時、写生で島を訪れた洋画家宮本三郎に10歳の時に描いた絵日記を見せたところ、「才能がある。油絵を2紀展に出したら」といわれた。以来、島に来る宮本画伯に指導を受け、その後はブラジルやイタリア、スペインなどで活躍、日本では東京・新宿伊勢丹デパートで毎年個展を開いている。 昨年、ロシア連邦国立展示場で開催された国際殿堂展に出展した「フラメンコ」(20号)は人間が持つ希望と力強さを東洋の色彩感覚で描いた、との評価を受けロシア芸術アカデミー賞を受賞した。「イスタンブール暮色」(20号)など見ると、豊かな色彩が生き生きとしており、「自然と人の心は一体」だという作家の精神が読み取れる。 ギャラリー萩 TEL:(0761)73-2714 |
長谷川塑人 彩陶展 −色絵のミリョク−2003年4月15日(火)〜4月25日(金) ギャラリー点(石川県金沢市)
長谷川塑人は1935年、金沢市に生まれた。子どものころから絵ばかりかいていた。しかし「お袋に、三文絵描きはメシが食えない」とさんざん吹きこまれ、妥協した。で、九谷の陶芸家となり色絵を描いた。1964年に金沢市で築窯。 だから、というわけではないが、独自の世界を、長谷川は展開している。従来の九谷の作家という範疇から十分にはみ出し、いわゆる絵描きの世界からも立派に逸脱している。考え方の規範はこうだ。人間の持っている両面性、凹と凸、強さと優しさ、対極するモチーフ・図案からすべてが生まれる。例えば長谷川の絵によく出てくる妖精には、妖のエネルギーと陽のエネルギーを、艶やかに清楚に具備させた。「作品は私自身。遊び、と自分ではいうけれど、けっこう真面目に作っているのだよ(笑)。雑念がある時はダメ。頭が冴えていないとダメ」。点と線と面は、思索の中では同じ枠の中でとらえている。「作る奴が、ものすごく面白いと思わないとダメなのです」。いかに集中できるか、ということだ。
ここ数ヶ月で、「直感で一気に仕上げた」30数点の彩陶と軸絵5点ばかりの展示。セッコウで形をつくり、紐でついでいき、削り、穴をあけ、仕上げる。筆は自分で作ったものを使い、ときに指が筆になる。「線は丸いもの、中味のあるもの」が信条。「以前はバッハが好きだったけど、近ごろはモーツアルト」。 ギャラリー点 TEL:(076)292-2140 |