
日本画彩友会展2003年7月31日(木)〜8月5日(火) ギャラリー千代堂(石川県松任市)
もともと彩友会は金沢美術工芸大学の日本画の卒業生により、昭和30年に結成された。その後、メンバーが次々と脱会、彩友会の名前のみが残った。その後、昭和52年に辻内利春がその名を受け継ぎ、自由に楽しく日本画を描く会として復活。今回が17回目の展覧会である。 講師である辻内は創造美術会の審査委員。自身も長年日本画を描き続け、中国の風景を描いた大作を多く手がけている。「モチーフを見ながら描くのは写生であり作品ではない。描く人の人格が入って初めて作品というものになるのではないだろうか」と辻内は言う。高田幸子や松村寿美子の作品からはどこか強い意思が働くような凛とした雰囲気を醸し出している。印象的な作品というものはそういうものなのかもしれない。
日本画に携わる者が必ず言うのは、岩絵の具の表現の豊かさ。さまざまな粒子の岩絵の具を効果的に使用することにより味わい深い作品が生まれる。辻内の「天山雪嶺」のように銀箔を効果的に用いたり、絹に描いた作品など会場には会員の思考錯誤が伺える作品が並んだ。 現在メンバーは17名。月に2回の活動のほか、年に2回程度スケッチ旅行へ出かける。年配者が多い中、若い人が入会するとそれだけで作品が若返るという。いい刺激を受けながらこれからも活動を続けていきたいと意気込みをみせた。 ギャラリー千代堂 TEL:(076)275-0305 |
第14回吉野工芸の里フェスタ2003年7月21日(月)〜8月31日(日) 吉野工芸の里(石川県吉野谷村)
夏のアートイベントとして毎年開催される吉野工芸の里フェスタ。幅広い分野で活躍する現代美術作家や現代美術工芸家たちが、金属や陶、和紙、木、石、ガラスなどさまざまな素材を用いた立体作品を出展した。 大賞に輝いた嚴聖道(オムソンド)「進化シリーズ2003」は、半球から触手のようなものが伸びる不思議な物体。球体は全ての物質の根源の姿であり、躍動感溢れる触手は湧き上がる生命のエネルギーだ。これから誕生する未知の生命に対する期待と不安の心理を造形的に表現した。優秀賞の金夏廷(キムハーチョン)「LANDSCAPE」03は金属の固体が2つ。波型の表面から突き出た山らしきものと波形の表面を持つ四角いもの。光・風・土・水など自然の力を形にした。優秀賞の中村桜士の「孵卵」は、これまた不思議なくねくねとした物体。よく見るとその表面には無数の小さな卵のようなものが付着している。単体では弱々しいものも、集合することにより見えなかった力が働き始め、力強い物体へと変わっていく。生命の力強さを感じる作品である。 このほか一般公募の作品に加え、松本佐一ら工芸の里作家5人の作品を含む25点の意欲作が、趣あるふるさと工房内や野外広場に展示されている。夏のひととき、大自然に囲まれた会場でゆっくりと芸術作品に触れ合うのもいいかもしれない。展示は8月末日まで。 吉野谷村情報企画課 TEL:(0761)95-5011 |
石川の美術 絵画・工芸・彫刻展2003年7月22日(火)〜8月2日(土) ギャラリーコンフリー(石川県松任市)
ギャラリーのリニューアルオープンを記念しての特別展であるが、会場には石川を代表する作家が名を連ねている。 参加したのは、絵画の江守マリ子、円地信二、大場吉美、奥田憲三(遺作)、小田根五郎、株田由雄、田井淳、滝川巌、寺井重三、百々俊雅、端名清、村田省蔵。工芸の浅蔵五十吉、大樋長左衛門(十代目)、北出不二雄、高光一生、徳田八十吉、長谷川塑人。彫刻の得能節朗、銭亀賢治。その作品を一堂に鑑賞できる機会は滅多にない。 寺井重三の「薔薇」は、瑞々しい花々と花器のバランスが絶妙な構図で、今にも花が揺らめきそうなほど精緻な描写が印象的。村田省蔵の「能登関の鼻」は、大胆で鮮やかな色彩でありながら、落ち着いた雰囲気を醸し出している。北出不二雄の「色絵更紗四君子香炉」は、伝統的な色絵の中に斬新なデザインを取り入れ、堂々とした風格をたたえている。 ギャラリーには常設コーナーも設けられており、3ヶ月に1度のペースで作品を入れ替えるという。地元作家はもちろんのこと、東京の作家などを紹介していきたいと意欲的なオーナー。これからどんな展覧会が開催されるのか楽しみなところである。 ギャラリーコンフリー TEL:(076)294-2299 |
白のうつわ展2003年7月24日(木)〜7月31日(木) G-WING'Sギャラリー(石川県金沢市)
白い服を着た日は、なぜか清々しい気分になり背筋が伸びる。それだけで1日が楽しく過ごせるような気分になる。汚れやシミなどは大敵で、いつでも真っ白なものを身に着けたい。だから扱いも丁寧になる。白は大切にしたくなる色であり、どんな色も吸収する性質から自分色に染め上げたい色でもある。 今回は4人の作家がそれぞれの白を持ち寄った。黒田泰蔵はかっこいい白。確かな技と洗練されたシャープな形、余分なものを一切削ぎ落としたシンプルな形に息をのむ。柔らかな陰影をつくるフォルムといい、もはや芸術品の域に達しているといってよいだろう。梶なゝ子はやわらかい白。色もさることながら器はゆるやかにうねりを見せ、母性を感じさせる。しかしオブジェは一変して大胆。無造作に切り取りくっつけ、乱雑にくりぬいたかのよう。優美で力強く包み込んでくれる。長谷川潤子は涼やかな白。青みがかった爽やかな白。ざくっとした質感と釉薬の加減により様々な表情を見せる。松永泰樹は温かい白。自由な形と色彩を加えた白磁は日常使いには調度よい。その造形センスは独特で大らかな作風が魅力的だ。 白のうつわは料理や花が映えるが、汁ものが染み込んだりして使い手泣かせな一面も持つ。しかし真っ白なうつわが使い手独自の色に変化していくのもまた楽しみのひとつなのではないだろうか。 G-WING'Sギャラリー TEL:(076)238-0788 |
流(loon)雲 展2003年7月19日(土)〜7月27日(日) 美術サロンゆたか(石川県金沢市)
九谷焼技術研究所で日本画を教える佐藤俊介が、将来性のある陶芸家の卵に2人とともに展覧会を開くようになって今年で5回目。それぞれの近作を持ち寄った。佐藤の日本画は絵の具を塗り重ねて削っていく。今回は墨を塗り重ねその濃淡で表現する墨絵という全く正反対の作品も披露した。 小野内俊夫は科学的なもの、最先端のものを意識したオブジェや器などを出展。金属との組み合わせは新鮮に映る。この4月に独立したばかりで、まだまだベクトルはいろんなところを向いている。自分らしさを表現できる作品、自分の作品がいいと思ってもらえるような作品を手掛けていきたいと意欲を見せた。 香田昌恵のテーマは鳥。現在制作活動を行っている工房で燕が巣立っていくのを見たことから今回のテーマとなった。もともとこの展覧会を行うにあたって、佐藤から器ではなくオブジェを出品するように、と言われていた。どんなものを作ればいいのかさえ分からなかったが、ようやく自分のスタイルが見えてきたような気がすると話す。女性らしい優しい色使いと遊び心溢れる作品に心が和む。
「5年目ともなるとちょっとこなれてきて、新鮮味にかけるかもしれない」と佐藤。小野内も香田も、自分の個性を発揮できるようになり、方向性は見えてきた。もしかしたらそろそろ巣立ちの時を迎えつつあるのかもしれない。 美術サロンゆたか TEL:(076)232-1341 |
朱夏展2003年7月18日(金)〜7月25日(金) ギャラリー新神田(石川県金沢市)
絵を描くのは孤独な作業である。黙々とキャンバスに向かい作品と語り合う。だからこそグループ展や合同展などで会派の異なる作家と集まるのはいい刺激になるのだという。今回は9人の女流画家が大作小品合わせて17点を披露した。 参加したのは、示現会の阿戸猛子、新制作協会の越野あき子、一陽会の柴山桂子、二科会の西眞紀子、一水会の辻原久美子、新田緑、松田寧子、松本和子、宮城静子。 宮城は小樽の港。階段上から見下ろした収まりのよい構図に仕上がっている。松田は北海道のとある岬。春を待つ景観が丁寧に描かれ、春の訪れを心待ちにする情感たっぷりの構図だ。松本はずっとモチーフにしている鎧がテーマ。鎧に込められた武士の無念さ、もの悲しさを表現した。西はうたた寝する女性が2人。心地良い夢でも見るのだろうか。なにか楽しい予感を感じさせる。越野あき子は独特の画風をもつ新制作所属とあって、不思議な世界ではあるが、少女の清らかさが感じられる作品だ。柴山は女性の姿だろうか、大胆な構図とアクリル板を用いる手法と色彩の鮮やかさで目を引く。新田は物思いふける女性の姿。何気ないしぐさに女性の美を感じるという作者の情感が感じられる。阿戸のモチーフはマネキン。夏の終わりのひとコマを描いている。なんとも言えない静寂感が空間を包みこむ。辻原は着物を選ぶ若い女性。画面を引き締める赤い着物と女性の初々しさに心躍るような作品だ。 どの作品もそれぞれが現在取り組んでいるテーマを持ち寄り、見応えのある作品展となった。 ギャラリー新神田 TEL:(076)292-0862 |
指江昌克 個展2003年7月18日(金)〜7月30日(水) ひろた美術画廊(石川県金沢市)
この1年の間に作品に変化が出てきた。それまでは環境問題をテーマに抽象的なものを描いてきた。「環境問題と限定すると重すぎる。そういうテーマは作家と絵の間にあればいい。見る人と絵の間に距離感を感じさせないような、親近感が沸くような作品に取り組みたかった」と話すのは指江昌克。会場には大作と小品あわせて18点が並んだ。 円形にまとめられた建物の中、よく見れば懐かしい風景が広がる。舞台は昭和50年代、指江の遊び場であった自宅近所。円形ポストや看板、理容室やたばこ屋といった今ではなかなかお目にかかれないものばかりを記録した。よく見れば電話ボックスの電話は黄色だったりと、遊び心も忘れない。
大学時代に訪れた北海道・函館のセメント工場の風景が指江の画風の原点。現実離れした風景に惹かれた。これまでの作品に人物が描かれていないのは、人物抜きで人の気配が感じられるものにしたいから。ビルや家屋の灯り、煙突の煙から人の存在、生活の匂いが伝わってくる。 今後は身近なものをもっとよく見て、よりリアリティーのあるものを描いていきたいと、指江の緻密な記録はまだまだ続いていきそうだ。 ひろた美術画廊 TEL:(076)240-0007 |
秋友伸隆 Glass Exhibition2003年7月17日(木)〜7月29日(火) ギャラリー千代堂(石川県松任市)
ガラスは夏のものと限定する概念は無くなっているようだ。器にしても年中使用し、オブジェとして生活を彩る。古い歴史を持ちながら陶芸のように伝統工芸として扱われることのないガラスに新風を吹き込むのは秋友伸隆。ガラス工芸作家・浅原千代治を伯父とし、迷うことなく自然にこの世界に進んだ。現在は小松市にあるThe glass studio in 加賀の代表として創作活動を行っている。 透明で涼感を感じさせてくれるガラスも作品になるまでは柔らかく熱いもの。その物体を作り手が自由自在に変化させることができるのがガラスの魅力だと言う。秋友の作品は様々な試みが見られ興味を引く。例えば、石川の土地柄にあわせ金銀箔をちりばめた作品や、最近のテーマである「風」を表現した作品、あるいは強いメッセージ性を持った独創的な作品など鑑賞する者を楽しませてくれるのだ。 近年ガラス工芸に従事する者が増える中、あくまでも職人としての姿勢を忘れず、抽象的なものより具象的なもの、生活の中で癒しを与えられるものを目指したいと静かに語る。自然から学び、豊かな感性と確かな技をもって次はどんなガラス工芸を生み出すのか、期待したい。 今回は秋友の作品のほか、工房のスタッフである垣内誠司の作品も並び、爽やかな涼を呼んでいる。 ギャラリー千代堂 TEL:(076)275-0305 |
関 菜穂子展2003年7月12日(土)〜7月21日(月) ギャラリーアルトラ(石川県金沢市)
関菜穂子の作品を見ると日本画だとは気付かないかもしれない。しかも実際触れてみるとこれが絵の具なのかと疑ってしまう。日本画で使用する岩絵の具はその粒子の粗さが何段階にも分かれており、使う岩絵の具によって画面の表情が変わる。粗いものであればかなりザラついてラメのように見えるし、細かければ釉薬のような質感にもなる。雲肌麻紙と呼ばれる大変丈夫な和紙に金箔を貼ったり、手で揉んだり、ちぎったりとそのテクスチャーを楽しみながら、実験的な作品も制作する。関は型破りな日本画家といってもよいだろう。 現在取り組んでいるテーマは時間の断片。時間といっても記憶のようなもの。時間と心象風景を描く。アマリリスや芥子、蓮など関にとって擬人化しやすい花を描いた作品やどこか気だるくエロティックな雰囲気が漂う女性像を描いた作品36点。いずれも色調の美しさはいうまでもなく、的確にモチーフを捉えるデッサン力に優れ、女性らしさの中に凛とした力強さを感じさせる作品ばかりだ。 神奈川県鎌倉市生まれ。加山又造の作品を見て日本画に興味を抱いた。そしてどうせやるなら京都でと、京都精華大学に入学し日本画を基礎からみっちり学んだ。とにかく精力的に作品を発表している。今年に入って6回目の個展が金沢。この後も年内に3回の個展が予定されている。またその活躍ぶりは本の装丁という新たな分野にも及び、今後が期待される女流画家の1人といえよう。 ギャラリーアルトラ TEL:(076)231-6698 |
空夢展〜心に創りあげた夢〜2003年7月11日(金)〜7月15日(火) deux egg gallery(石川県金沢市)
個展の初日から夏季休暇に入り、大学生活の中で最も楽しい時期を迎えた金沢美術工芸大学油画専攻3年の二人、石川県出身の脇谷内里絵と香川県出身の佐伯知香が初めての個展を開いた。 テーマは「空夢(そらゆめ)」。見もしないのに、見たようにつくり上げた夢。うその夢という意味を持ち、「正夢」の反対語として使われている。半年前にテーマを決め、それぞれの心の中に創りあげた現実からかけ離れた世界を表現した。脇谷内は人物の内面が表れるような、現実の中で違和感を感じるような世界を表現した作品6点。佐伯は線で表現した空間を感じられる世界を描いた4点を出品した。
全くタイプの違う絵を描く二人だが、実際飾ってみると統一テーマのせいか違和感なくまとまった。互いの作品について「自分にはできない細かい作風。新しい発見ができた」と脇谷内。「独特の世界を持つ人。絵に空気を感じられる」と佐伯の感想。初めての個展ながら、満足のいくようなものになったようだ。将来は画家になりたい脇谷内とまだやりたいことが決まっていないという佐伯。若い二人がいろんなものを吸収してこの先どのように開花していくのか。思い切って個展を開いたことがいい刺激になったのではないだろうか。 deux egg gallery TEL:(076)222-3315 |