
鈴木治男展−共生の森シリーズ−2003年10月8日(水)〜10月18日(土) G-WING'Sギャラリー(石川県金沢市)
共生の森は、自宅のある小松市の自然、自身の幼い頃の自然の記憶やイメージなどをキャンバスに重ねていくうちに完成する森である。色を重ね、イメージを重ね、そこでは人間も動物も植物もあらゆる生命が共生している。不思議なことに、鈴木の絵を前にすると豊かな森の様子が浮かんでくるし、耳を澄ませば鳥のさえずりや動物の鳴き声、木々が葉を揺らす音、通り抜ける風の音が聞こえてくるようだ。五感を刺激するような絵といってもよいだろう。 鈴木治男は1947年茨城県出身。1974年金沢美術工芸大学美術学科油画を卒業し、1981・82年メキシコ、ベラクルス州立大学美術学部及びアメリカ各地で研修。現在は金城大学短期大学部美術学科教授、風土会会員。今回はアクリル画8点、ガラス絵2点、油彩25点を出品。共生の森シリーズ以外ではゲレンデの風景や夜空、静物などを描いた作品など、刺激的な作品が展示されている。
G-WING'Sギャラリー TEL:(076)238-0788 |
土田佳代子水彩画展2003年10月3日(金)〜10月15日(水) ひろた美術画廊(石川県金沢市)
東京・銀座での個展が好評だったようだ。今回は得意の花や風景画など21点を出品。下地に紙や植物を埋め込み、重厚感のある下地を作る土田独特の手法だ。厚みのある下地で表現された質感ある水彩画は、他では目にすることがないだろう。綺麗な花の絵では物足りない、そんな人をうならす作品だ。 |
グループ展 気 in Kanazawa2003年10月4日(土)〜10月13日(月) ギャラリー那珂(石川県金沢市)
平面作品と立体作品の作家7人が集まって結成されたグループ「気」。「気」を辞書で調べると、生気・精神の動き・呼吸・力・根気などなど様々な意味合いを持つインパクトのある言葉である。言葉通り、7人の作家たちは気合を入れて新作を持ち寄った。今回は東京での展覧会の後、巡回展と題しての金沢入りである。
大沼達男はふくよかな女性像。腹部が強調されており、生命が宿る神秘的なものとして捉えている。加賀谷武は展示する空間を含めた作品作りを行ってきた。解釈は見る方に委ねて。上條泰彦は荒々しいタッチながら生き生きとした演奏風景を描く。斉藤の作品は何かが存在したことを、その痕跡を感じ取ることができる作品。出井は平面でありながら立体的な一面をもつ。人間の視覚に対する挑戦のようだ。中村はカーゼのような素材に描かれたマス目に見られる微妙な色彩の変化。平面を強調した作品だ。飛田は顔のない女性たち。女の体はベールに包まれており、目も鼻も口もない顔が表れている。見る者が己を投影させ、オリジナルの女たちの表情が作り上げられていく。 いずれも見る者に静かに語りかけてくる力強い作品ばかり。自分を表現できる力を持った作家たちの挑戦を受け止めて欲しい。 |
山本宏幸日本画展2003年10月7日(火)〜10月12日(日) 浅の川画廊(石川県金沢市)
このコーナーでは4回目の登場。「展」とは縁があるようだ。山本宏幸は毎年行うこの画廊での個展を大切にしてきた。1年の集大成ではないが、毎年行う個展のためできるだけ新しいことに挑戦しようと試みている。飽きさせないこと、見る者を惹きつける魅力を山本は持っているらしい。 山本の作品は気負いがなく気軽に見ることができる。分かりやすい線、日本画らしからぬはっきりした色彩、誰もが知っているモチーフ、見る人に実に優しい日本画である。また、作品のサイズは従来の日本画では考えられにくい縦長や横長、正方形といった変形サイズだ。これは現代の住宅事情に合う日本画を考えた時、吹き抜けの玄関のような空間なら、絶対縦長の方がしっくりくる。 |
グラハム・クラーク来日展〜あふれる愛とユーモアの世界〜2003年10月5日(日)〜10月26日(日) アートギャラリーミューゼいずみ(石川県金沢市)
アーチ型の銅板画が印象的なグラハム・クラークの作品。エリザベス女王はじめ世界中に多くのファンを持ち、日本で開かれる数々の展覧会はいずれも好評を博している。画面いっぱいに表現されているのは懐かしいヨーロッパの街並みや田園風景、飾らない日常生活の様子。緻密に描かれたあちこちにユーモアがあり、グラハム・クラークの人柄が伺える。
例えば「クラブリタニアン大使館」は、クラバース(蟹漁船)を使い海産物を捕るある漁村のひとコマ。クラブ(蟹)とブリタニアン(英国南部の人々)が交じりあうグラハム・クラークの好きな漁村をテーマに描きこんだ。陽気な人柄のせいなのか、作品はどれも楽しく明るい。今回はアーチ型の銅板画を手掛けて30年の記念展であり、グラハム・クラーク自身が書いた物語「ミリーの冒険物語シリーズ」のために描いた新作4点や、日本では馴染み深い「干支」を描いた作品、趣のある水彩画など約60点が展示されている。 アートギャラリーミューゼいずみ TEL:(076)232-8070 |
大下百華木版画展2003年10月3日(金)〜10月8日(水) グリーンアーツギャラリー(石川県金沢市)
浮遊するような男女、朝を知らせる鳥、木々や動物、1点1点に意味があるようでないようにも見える不思議な版画。しかし全ての作品を見終わった後に浮かんでくる「生きる喜び」。生きている喜びを謳歌しよう。全てのものに感謝して。生きているってなんて素晴らしいことか。そんな生命への喜びや感謝を色彩豊かに生命感溢れる作品に仕上げている。 版画は絵画と違って、使う色の数だけ木を彫らねばならない大変な作業だ。描けば簡単な線でも彫るとなると倍の時間はかかる。また、色の組み合わせ、重ね方によってその表情は変化する。版画は同じ作品を何枚も作ることが可能でありながら、刷り方で微妙に変化する。同じ作品を何枚も作ることが可能でありながら、微妙に雰囲気の違う作品が生まれるのも版画の魅力だろう。 また日本の版画にあまり見られない明るい色使いも特徴である。メキシコの個展でも好評だったらしく、原色に近い鮮やかな色彩が真っ先に目に入る。中でも青は印象的で、画面を引き締めたり心象表現となったり効果的に使用されている。
大下百華は山中町在住。1998年に創形美術学校研究科版画課程を修了。第66回日本版画協会展「山口源新人賞」を受賞し、華々しいデビューを飾った。現在は関西圏での個展を中心に、海外での出品も多く、今後の活躍がますます期待されている。 グリーンアーツギャラリー TEL:(076)245-7222 |
||||||
般若芳行 個展2003年9月26日(金)〜10月5日(日) ギャラリーアルトラ(石川県金沢市)
般若芳行にとって恒例となっている個展。今回は5回目という節目とあって、自身の持っている様々な技術を活かした作品が並ぶ。般若自身は今月初めに金沢でグループ展を行ったばかり(詳しくは同頁にて紹介)。それからわずか数週間しかたっていないというのに、数点の新作家具や小品を手掛けた。 それにしても製作意欲の旺盛なこと。その原動力の秘密を探ると、「モノづくりには覚悟が必要。その覚悟がない者には素晴らしい作品は生まれない」ときっぱり。家具作りを一生やっていこうと覚悟を決めたから、生半可な気持ちでいられない。しかも誰かの下で修行したわけではないから、必要なことは自分で勉強するしかないのだ。「才能ではなく経験の積み重ね」が般若の家具作りの根底にある。 また、人とのつながりも大切にしてきた。大学時代の山小屋でのアルバイト、飲食店でのアルバイトなど、そこでの経験や出会った人とのつながりが上手く活かされて今がある。だからこれまでの経験が無駄になっていることはない、と断言する。 般若の好きなスウェーデンの作家が椅子についてこう述べている。「座り心地がいいのも芸術」だと。そんな座り心地のよい椅子に最近の作品が近づきつつあるかな、と自信もちらり。実際に座ってみれば納得である。 ギャラリーアルトラ TEL:(076)231-6698 |
小野内俊夫陶展2003年9月25日(木)〜9月30日(火) ギャラリーノア(石川県松任市)
工芸と美術の境界線を明確にすることは難しい。近年、実用的で可愛い器を作りたいと陶芸の道に進む若者が増えている中、用途にこだわらず、絵画のように眺めているだけでも気持ちを豊かにしてくれるような作品を目指している作家がいる。 小野内俊夫の作品は、一見何気ない雰囲気を醸し出しながら、個性を主張する。例えば四角い黒い箱は、お菓子入れにしてみようか、プランターカバーにしてもよさそう、と想像力を掻き立てる。本人は、用途にこだわると狭い枠にはまってしまい、形がきれいなもので終わってしまうため、できるだけイメージしたものがそのまま形になるように心掛けているのだという。もちろんこの道で生計を立てているのだから、実用的で売れるようなものも作る。使い手が自由に使ってくれればいい、でもいつかはそこに存在するだけで美しい・かっこいいと思えるものを作りたいと熱く語る言葉の一言一言から、作家の真面目な人柄と陶芸への思いを汲み取ることができた。 小野内俊夫は1973年愛知県出身。大学卒業後、九谷焼技術研修所で修行。その後陶芸家・松本佐一に師事。2001年から九谷焼技術者自立支援工房に入所し、2003年に辰口町にて独立。県内での個展はこれが初めて。10月には富山県でも個展が予定されており、多忙な日々を送ることになりそうだ。 ギャラリーノア TEL:(076)276-4486 |
回転体の三人展2003年9月5日(金)〜9月15日(月) ギャラリー萩(石川県加賀市)
轆轤を回転体と表現したユニークな展覧会。山中漆器の土台を支える轆轤師3人が力作を持ち寄った。3人とも父親が轆轤挽きの名工で、幼い頃から父の後ろ姿を見てきた。作業場が遊び場であった。宮本は迷うことなくこの道へ進み、中嶋と佐竹も回り道はしたが家業を継いだ。 山中漆器は伝統工芸に属し、後継者不足も深刻だ。石川県では挽物轆轤技術研修所が設立され、後継者の育成に力を注いでいる。その研修所の一期生が中嶋武仁、三期生が佐竹巧成である。以前2人展を行った中嶋と佐竹に宮本優が加わり、今回の3人展となった。昼は仕事をこなし、夜は作品作りのために轆轤を挽く。かなりハードな毎日。しかし同じ轆轤師同士ということもあってか、互いをかなり意識して作品作りに臨んだ。宮本は色漆や螺鈿などを使用し、女性受けしそうな優しい作風。中嶋の仕事は挽きが丁寧で、いかにも正統派といった作風。シンプルながら美を追求しようとする作り手の強い思いが表れている。佐竹は金沢美大を卒業後、家具メーカーで設計をしていたこともあり、斬新なデザインが多く見られ、伝統工芸という枠にはまらない作風を持つ。 景気の先行きは見えないが、いいものを求める人たちが増えている。そして伝統工芸職人という堅苦しいイメージも払拭されつつあり、職人自体のイメージも良くなっているという。まだまだ可能性を秘めている次世代を担う若き職人たちに期待したい。 ギャラリー萩 TEL:(0761)73-2714 |
百々雅美展 ―日本画・アクリル画―2003年9月4日(木)〜9月10日(水) G-WING'Sギャラリー(石川県金沢市)
アントニオ・ロペスやマンテーニャの平面的な作品に魅せられ、ガラスの器を置いたり、レースの敷物を引いたりと、試行錯誤を重ねている。青りんごやカリンといった果実も置いてみた。百々の描くアクリル画は繊細でいて、どこか荘厳な雰囲気さえ漂う。 百々はピアニストになりたかった。しかし、絵画の道に進むように運命付けられていたようだ。2回目となる今回の個展では、日本画4点、アクリル画15点を出品。最近こだわっている背景に力をいれた作品やマンテーニャの模写、鳥の作品などが並ぶ。 1970年大阪府出身。小学校1年生の時に父(百々俊雅:金沢美術工芸大学日本画教授)の転勤で金沢へ。金沢美術工芸大学に在学中から日春展や全関西展に出展し、1999年に渡西。
2000年の2月に帰国後、結婚、出産。今後は夫である原崇宏(国画会)の留学に同行し、スペインに渡る予定だ。 G-WING'Sギャラリー TEL:(076)238-0788 |