CERAMIC WORK 藤田圭子展

2003年12月4日(木)〜12月9日(火) ギャラリーノア(石川県松任市)

賑やかなオブジェたち 美しい白珠色の器も

どこかの地図に見える、NYのマンハッタンを思わせる。藤田圭子の作品は見る者を想像豊かにさせてくれるそんな作品。何かモチーフでも?との問いに、「何にもないの。思いつくまま」と笑う。天性の才能なのだろう。でなければ見る者をこんなに楽しくさせるような作品は作れない。

藤田は陶のキャンバスに思いつくままを色絵で表現する。黄・緑・青といった鮮やかな発色の色を印象的な黒やグレーと組み合わせて幾何学文様を彩り、1度見たら忘れられないインパクトを与える。「何個もいらないけれど、ひとつあれば生活が潤うような、楽しくなるような、そんなものを作りたい」と語る藤田の作品は、彼女自身が実際に欲しいものを形にした。アート性の高いオブジェや飾り皿、使い易い形の賑やかな器たちなど、作り手の楽しさが伝わってくるような作品が並ぶ。

モダンな「三方」

初めて作品を見た人は、色絵の作品を作った人が女性であることを疑うかもしれない。そんな大胆で豪快な作風。また一方では、白珠色と金の組み合わせが美しい繊細で女性らしい作品も作る。どちらが本当の彼女の姿なのか。「どちらも私。二面性を持ってるんでしょうね」。作家としての顔以外に妻であり母の顔を持つ藤田圭子。今最も輝いている女性陶芸家の1人といえるのではないだろうか。

ギャラリーノア TEL:(076)276-4486


篠原敬陶展

2003年12月5日(金)〜12月14日(日) G-WING'Sギャラリー(石川県金沢市)

美しいフォルムの「自然釉扁壷」

珠洲焼は16世紀後半に突如姿を消し、昭和51年に珠洲市や地元有志たちによって再興された。近年珠洲焼に対する評価も高まり、珠洲市では後継者の育成にも力を入れている。珠洲市出身の篠原敬はサラリーマンから転身し、独学で珠洲焼の技法を得た。現在は游戯窯を構え、全国で個展やグループ展を開催しながら年に3回の窯焼を行う。

篠原の作品はなんといっても形の美しさに目を奪われる。まるで土から生まれたような黒灰色がラインをくっきりと浮かび上がらせ、美しい形を引き立てる。美しい形は豪快で力強い質感ながら、温かく柔らかな印象を与えている。薪窯で1週間焼き締め、そのラインを流れる自然釉の痕跡はまさに自然が作り出した美である。自然が作り出すものだから作品を作るたびに新たな発見があるのだという。

篠原敬と「鶴首花入」 「角壷」と「片口擂鉢」

珠洲焼への思いを「はだかとはだかのぶつかり合い」と篠原は表現する。まっさらな気持ちの篠原と素朴な土との出会いは、主役級の存在でありながら決して自己主張しない新しい珠洲焼を生み出した。

G-WING'Sギャラリー TEL:(076)238-0788


鳥羽雅哉展

2003年11月28日(金)〜12月7日(日) グリーンアーツギャラリー(石川県金沢市)

多くの人に使ってほしいと言う鳥羽雅哉
優雅な「漆塗りの杖」
繊細な「蒔絵猪口」
重厚な「布目塗曲物重」

これはまさに「日用の美」である。漆塗りの杖(ステッキ)、優雅で重厚、それでいて使い易い。工程は簡単だが修練の積み重ねが必要となる。タモの木地に漆を塗り、地の粉を蒔きつけ固める。蒔地(まきじ)という手法で下地を数回施したあとに貝を塗り込み上塗りしてから研ぎ金蒔絵として仕上げる。日本人は漆という素材に深い愛着と強い魅力を感じるものだ。だからこの類のものを手にすると親しみが沸いてくる。

作家の鳥羽雅哉は金沢美大卒、金沢卯辰山工芸工房で修行し現在は個展を中心に活動。「漆は縄文時代から使われてきた優れた素材で実用性は抜群です」と言う。金、銀、貝などの異なった素材との組み合わせで、肌触りや色艶を醸し出している。

展示されている80点の多くは木製。猪口やぐい呑みもあれば弁当箱もある。椀などは挽きもの、丸盆は曲もの、重箱は指しもので木地を作り蒔地という地の粉を漆で固めていくのが鳥羽の独特のテクニックである。どの作品も日々の生活の中で一般の食器と同じように使えるのも特徴だ。

グリーンアーツギャラリー TEL:(076)245-7222


坂口國男展

2003年11月28日(金)〜12月9日(火) ひろた美術画廊ANNEX(石川県金沢市)

「ヴェネツィア好日」F100
「ヴェネツィア風景」F80
「赤いバックの花」F3

今年7月に日本橋三越特選画廊にて開催された個展の金沢展として、昨年訪れたヴェネツィアの風景画や色鮮やかな花々を描いた作品が出品されている。色鮮やかな色彩で定評があるだけに、25点の作品が並ぶ会場も明るく華やかだ。

ヴェネツィアの趣ある建物や寺院、運河などの風景を赤や黄色、青や緑、ピンクといった色調でまとめているが、塗り重ねられた色味に重厚感あり、旅情を誘う幻想的な空間は東洋的な印象も受ける。花を描いた作品では、赤・青・黄・緑とインパクトのある背景色にそれぞれ上手く調和した鮮やかな花々が描かれ、心を和ます。

1938年東京都出身。東京芸術大学油絵科卒業。1970年にフランス政府給費生として渡仏。1988年より金沢美術工芸大学にて後進の指導にあたっている。無所属。

ひろた美術画廊ANNEX TEL:(076)240-4440


山岸大成個展

2003年11月28日(金)〜12月10日(水) ひろた美術画廊(石川県金沢市)

香炉「寒牡丹」

潔いまでの白磁に色鮮やかに描かれる鳥や魚、草花や昆虫が実に精緻な描写で活き活きと描かれている。その仕事は陶板や陶箱、香炉などの蓋の裏や内側までおよび、繊細な手仕事ならでは美しさを改めて実感できる作品約60点が並ぶ。寺井町在住の陶芸家・山岸大成の世界は優美で新しい。

「律」 「斑鳩」

そんな美しい色絵の作品の中で白磁のオブジェ5点が目を引く。中はどうなっているのだろうか。側面や裏面の凹凸部分が気になって想像力を掻き立てる。不思議なそのオブジェは古代日本の文化の中心であった飛鳥をイメージして作ったという。山岸自身も日展などにはこのような造形作品を出品しており、伝統色が強い陶芸にも新しい感覚が取り入れられているようだ。自らの感性で表現し、我々を刺激するような作品が出てくることを期待させる。

山岸大成は1956年寺井町出身。日展会員・審査員、現代工芸美術家協会評議員・審査員、石川県美術文化協会常任評議員、石川県陶芸協会理事、金沢美術工芸大学非常勤講師。

ひろた美術画廊 TEL:(076)240-0007


前田安孝個展

2003年11月28日(金)〜12月9日(火) ひろた美術画廊(石川県金沢市)

第35回日展出品作「海からの旋律」

屏風「海 記憶の中に」

沈金とは絵柄をのみで彫ってから漆を流し入れ、その上から金や銀、朱や色粉を入れ、余分な漆を落として仕上げる技法で、石川県でも輪島塗に欠かせない装飾としてその技術は磨かれてきた。

輪島市在住の前田安孝は鳥や魚、木々といった自然界のものを沈金で表現。「海からの旋律」では漆黒の海を泳ぐ魚の姿を繊細な線と淡い色調でまとめた。悠々と泳ぐその姿はまさに軽やかな海のメロディである。「里の山−紅葉」では暮れゆく里山の風景。すっかり色づいた鮮やかな木々に2羽の鳥という構図が美しい。海をイメージして作られた屏風や繊細な手仕事が光る平面作品が並び、雅な空間を演出している。

「里の山−紅葉」F8

昭和33年輪島市出身。昭和51年に日本芸術院会員・日展顧問の三谷吾一に師事し、沈金を学んだ。現在は日展会友、日本現代工芸本会員、輪島市美術展審査員、重要無形文化財輪島塗技術保存会沈金伝承者、輪島市文化協会常任理事。伝統工芸にとらわれない大胆な構図と繊細な技術があいまいって、新しい沈金の世界を展開している。

ひろた美術画廊 TEL:(076)240-0007


柳原良平作品展

2003年11月30日(日)〜12月28日(日) アートギャラリーミューゼいずみ(石川県金沢市)

アンクルバー

南十字星
たこフェリー

昭和30年代、「トリスを飲んでハワイへ行こう」のキャッチフレーズで一世を風靡したサントリーのトリスウイスキー。そのコマーシャルキャラクターとして人気だったのが、定年間近の酒好き、女好きの中年男性をユーモラスに表現したアンクルトリス。憎めないキャラクターと的確に時代を捉えたコピーで世間に受けた。

北陸で初めてとなる今回は原画を含む39点を出品。アンクルトリスの船旅の様子や「QUEEN MARY」や「飛鳥」をはじめとする豪華客船や運搬船、国内外の港町を描いた作品など、船好きにはたまらない作品である。船首を捉えた作品や松の間から見える船の姿など構図の面白さも魅力的で、色鮮やかに表現される柳原の世界は、50年経った今でも新鮮な印象を与える。

柳原良平は昭和6年東京都出身。幼い頃から船が大好きで船会社への就職を希望したが、かなわず壽屋(現サントリー)の宣伝部に入社。そこで開高健、山口瞳氏らとともにトリスウイスキーのCMを手掛けた。サントリーを退社後は、船や港をテーマにした作品を制作するかたわら、海事・港湾関係の委員会・審議会の委員を務めている。

アートギャラリーミューゼいずみ TEL:(076)232-8070


錦木眞葉 水彩・素描展

2003年11月20日(木)〜12月2日(火) ギャラリーノア(石川県松任市)

「少し哀しい天使」と二科会会友・錦木眞葉

「an'e mone(アネモネ)」水彩
「粧順人形」水彩

いいポーズに出会うことはいい絵を描くことにおいてとても重要であると錦木眞葉は話す。だから何枚も素描を描き、その中から気に入ったポーズにイメージを足して錦木の作品は作られていく。「少し哀しい天使」の独特のポーズもそうやって誕生した。

錦木の描く女性は天使と表現されている。これは、天使は神からの授かり物、羽が生えていて、大人になるとその羽は消えてしまう、人はだれでも純真無垢で、誰にも媚びずちょっと気が強い、そんな時期があるはず、そんな時期を天使と例えて表現した。現代の優し過ぎる子供たちに不安を抱く錦木の願いでもあるのだ。

今回は水彩と素描を出展したのだが、油彩とは違った表情で見応えのある作品が揃う。目を引いた「粧順人形」は、まるで魂が宿っているかのようでドキリとさせられる。「人形も日によって違う表情をするんです。愛らしい顔や憎らしい顔、妖しい顔や哀しい顔、見たくない時は布をかぶせてしまいます」。素描は画家にとって見せたくないものの一つ。素描で感動を与えるのは難しいから・・・と言うが、錦木の絵の土台となるさまざまなポーズを描いた素描は興味深い。

女性らしい感性で描かれた淡い色調の天使たちや繊細な描写で描かれた瑞々しい草花。おとぎの世界ではないけれど、会場にもそんな空気が流れている。錦木眞葉だからこそ表現できる不思議な世界が確かに存在している。

ギャラリーノア TEL:(076)276-4486


蔡國華 個展

2003月11月22日(土)〜11月30日(日) 美術サロンゆたか(石川県金沢市) )

「何来何去〜夜明けの時」(部分)キャンバス・混合技法

「女性像」S10 油彩

「管理人」30×30 油彩

壁を埋め尽くすほどの大作「何来何去〜夜明けの時」はそのサイズの大きさはもちろんのこと、その存在感も圧巻だ。描かれている10人の裸の男女。苦悩の表情、もがき、悩み、希望などリアルな人間像を映し出しており、スケールの大きな作品となっている。「何来何去」は蔡國華のテーマであり、連作作品として追求し続けている。

「バレリーナ」や楽器を演奏する「PLAYER」、女性など深みのある人物像や静物、風景など重厚な色調に包まれた絵が魅力的だ。「女性像」では、ゆったりとティータイムを楽しむ女性の姿。なまめかしく足を組み、穏やかな表情を浮かべる女の視線の先には恋人でもいるのだろうか。何気ない日常のひとコマを閉じ込めた作品だ。「管理人」は小品ながら目を引いた作品。男性の耳にピアスのようにぶら下がっているのは実は鍵。深く皺の刻まれた男は長年この仕事に従事しているのだろうか。男の人生を表すようなユーモアを交えた作品に仕上がっている。

蔡國華は1964年中国上海市生まれ。石川での個展は昨年に引き続いて2回目。小品から大作まで、油彩からデッサン、ドローイングと幅広く蔡國華の仕事ぶりを堪能することができる。

美術サロンゆたか TEL:(076)232-1341


金洙之(キム スーチー)展

2003年11月21日(金)〜12月2日(火) ステージN(石川県野々市町)

金洙之(キム スーチー)と椿の花

光り輝くひまわり
瑞々しい薔薇の花

外国人はとにかく勤勉だと思う。金洙之(キム スーチー)もそうだ。好きな絵を描きながら、日本語の勉強も忘れない。ちらっと見せてくれたノートには日本語で聖書の言葉がぎっしりと書かれてあった。漢字には読み仮名がふられ、空白が見当たらないほどぎっしりと文字で埋め尽くされている。海外で生活しながら、しかも絵描きとなるとその苦労は並大抵ではないだろう。

もともと墨絵を描いていた金洙之は、色使いの美しさに惹かれ油絵の世界に入った。絵を描く基礎はできていたためか、めきめきと力を付けてきた。今回は大好きな草花を描いた作品34点を出品。切り花は命が宿っていないから、あくまでも自然の姿の植物を描きたい。と語るように、実に活き活きと生命力溢れる花を描く。「心想&自然」というテーマで描かれた絵は、晴れやかだったりどこか愁いを帯びたような表情であったり、それぞれに顔を持つ。会場には様々な表情を持つ花が展示されているが、どれも作者の絵に対する強い思いが感じられて見入ってしまう。

金洙之は野々市町在住。まだまだ勉強したいことや挑戦したいことはたくさんある。もちろんそのための努力は惜しまない。今後どんな大輪の花を咲かせるか、期待したい。

ステージN TEL:(076)294-0203


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