第4回新春一水会委員・会員展

2004年1月9日(金)〜1月21日(水) ひろた美術画廊(石川県金沢市)

端名清「サントリーニ」F6 寅若繁「憩い」F4

江守マリ子「芍薬」F6

政木良一「白川郷初春」F6

写実の美を追求する一水会の第一線で活躍する委員、会員による作品展。今回は小品ばかりだが、いずれも近作や新作を集め見応えのある作品が揃った。参加したのは端名清、江守マリ子、寅若繁、大滝由季生、大地統、土田佳代子、長谷川清、政木良一、松下久信、山本勇。

田園風景や雪化粧の山並みを描いた風景画から人物画、静物画と幅広く、正統派の絵画は見る者を安心させる。端名はおなじみの地中海の風景。真っ青な空と白い建物のコントラストが美しい。寅若は休憩する若い女性像。農作業姿が女性の瑞々しさを引き立て心が和む。江守は花を出品。中でも艶やかな芍薬の花は、こぼれんばかりの大輪の花びらが美しく優美な作品に仕上げている。政木は昨年末に描いたばかりの白川郷の風景。新年を迎える里山の情景が瞼に浮かぶようで味わい深い。

やはりベテランの味は格別なもので、レベルの高い作品展となった。

ひろた美術画廊 TEL:(076)240-0007


新鋭作家10人展

22004年1月9日(金)〜1月20日(火) ひろた美術画廊ANNEX(石川県金沢市)

堀一浩「受胎」S50
山下和子「ひとのかたち」F50
原崇浩「A lex clormiend」40変

不思議そうな表情で鑑賞している年配の夫婦がいた。今の芸術は難しいといった感である。人それぞれに捉え方は異なるものだ。好きか嫌いか、まずはそこからスタートすれば良いのではないだろうか。また、作家の思いや作品についての説明などがあればより理解度は高まり、嫌いだった作品が好きになることもある。既成概念を取っ払って鑑賞することが現代の美術には必要なのかもしれない。

新鋭作家10名による作品展である。麻田征弥(国画会)、株田昌彦(二紀会)、京岡英樹(独立美術協会)、指江昌克(独立美術協会)、原崇浩(国画会)、堀一浩(独立美術協会)、本山二郎(光風会)、山下和子(二科会)、山田裕之(独立美術協会)、横江昌人(国画会)と、5つの会派に所属する作家たちなのだが、同じ会派でも実に個性豊かで見る者にとっても新鮮に映る。

表現が多様化する現代社会でどこまでが芸術なのか、その境界線は見えにくい。今後ますます難しくなっていくだろう。そんな中で美術王国・石川を背負っていくのは彼らであることは間違いない。

ひろた美術画廊ANNEX TEL:(076)240-0007


ふるまい展−大きな器・小さな器−

2004年1月9日(金)〜1月18日(日) G-WING'Sギャラリー(石川県金沢市)

めでたい張子 平野明「鯛皿」 もてなしの器たち

新しい年に客人をこんな風にもてなしたい。こんなもてなしを受けたら招かれた側も気持ちいい。このギャラリー恒例のふるまい展である。今年は9人の作家による約320点の器や飾りが会場に溢れている。出品作家は、赤地健(陶器・赤絵)、花岡隆(陶器・粉引)、藤塚光男(陶器・青絵)、角偉三郎(漆)、桐本泰一(漆)、関根正文(錫)、高橋禎彦(ガラス)、平野明(張子)、沢田欣也(箸)。

めでたい縁起物が目を引く平野の張子は、まさに客人を迎えるにふさわしい飾り。鯛や鯉といった縁起物が張子の大皿や角皿の上で泳ぎ、寿ぎの席を彩る。赤地は得意の赤を中心とした器や陶器の重を。花岡は大皿や大鉢を中心としたモダンな作品。藤塚は青が清々しく上品で使いやすそうな器や皿。角と桐本は丁寧に仕上げられた塗物の数々。関根は鈍い光を放つ錫の皿や花器。高橋のガラスはポップで楽しい席を演出する。沢田の箸は使いやすさにこだわった日本の形。

藤塚光男の作品群 ガラスの器のコーディネート

いずれも宴の席を盛りたてる小道具であるが、それぞれに心を込めた小さなおもてなし。ちょっとした心遣いが嬉しいものだ。

G-WING'Sギャラリー TEL:(076)238-0788


日本画作家 版画展

2004年1月4日(日)〜1月18日(日) 美術サロンゆたか(石川県金沢市)

小倉遊亀「赤絵」木版画
片岡球子「めでたき赤富士」リトグラフ
中島千波「樹霊淡墨桜」木版画

なぜかしら新年はちょっと改まった気分になって、日本の伝統に浸ってみたりするものだ。古来より日本人に好まれてきた富士や桜、椿や美人画などを取り上げた作品は、新年のしつらえとも相性がよく、めでたい席には欠かせない。

前衛的な作風で日本画に新風を吹き込む中島千波の「樹霊淡墨桜」は、老いてもなお花を咲かせる巨木の力みなぎる作品。乱舞する桜の花の艶やかさと巨木の力強さが印象的な作品である。現在も多くの愛好者に支持を得ている小倉遊亀の「赤絵」は、鮮やかな色彩の器に投げ込まれた椿の花。 美しい色彩と清潔感溢れる作風が人気の所以であり、見る者の心に強く残る。一方、小倉と対照的なのは片岡球子の「めでたき赤富士」。男性的な力強い色彩と大胆な構図は見る者を圧倒する。赤い富士と赤い太陽、金銀に色づく雲と真っ青な空。実に豪快で粋のいい作品に仕上げている。

このほか上村松園、上村松篁、東山魁夷など日本画画壇を支えてきた重鎮たちの作品も展示されており、新しい年の幕開けに相応しい版画展となった。

美術サロンゆたか TEL:(076)232-1341


穴畑三千昭洋画展

2003年12月20日(木)〜12月29日(月) ひろた美術画廊(石川県金沢市)

「冬」F30
「R249」F6
「街の生活」F100

緻密な描写と完成された構成力。素朴な題材ながら的確にモチーフを捉え、詩情溢れる画風は見る者に安心感を与える。穴畑三千昭の作品は住まいのある輪島を中心とした能登の風景であろう。郷愁を感じさせる田園風景や海の風景に心安らぐ。

以前同じ会場で若手作家5人のグループ展を開催したが、グループ展ということもあり作品は数点であった。今回は様々なモチーフを捉えた幅広い作品を見ることができる。「街の生活」は、洗濯物が揺らめく日常のひとコマを描いたユニークな作品。賑やかな洗濯物たちがそこに生活する人たちの確かな営みがあることを伝えている。「冬」は収穫の終わった蓮根畑の風景。遠くに見える工場の無機質な佇まいと次の春い備えて冬を乗り切ろうとする蓮の生命力が感じられるような力強い作品に仕上がっている。「R249」は奥能登へ通じる国道の風景。過疎化が進む奥能登をつなぐ希望の光のように伸びる。

穴畑三千昭は1977年珠洲市出身。2000年大阪芸術大学卒業。光風会展に出品、入選など実力をつけてきている若手作家である。

ひろた美術画廊 TEL:(076)240-0007


塚田美登里個展 wax and wane

2003年12月18日(木)〜12月24日(水) G-WING'Sギャラリー(石川県金沢市)

光の差し込む窓際がよく似合うかざり板
「wax and wane」
「adapt」

人の体にも細胞があるように、塚田美登里のガラスはいくつもの固体が集まって1つの物体を形成しているようだ。ゆるやかなカーブを描くガラスの塊は優しく温かいイメージを抱かせる。ただ透明で美しいだけのガラスではない。ガラスの内部にこだわり、悠久の時を感じさせるような銅や銀の箔を焼き付けた作品など、奥深い味わいを醸し出す。

細部までこだわった繊細な仕事ぶりが実感できる香合や可愛らしい香立てなど女性に受けそうな作品や、男性が見入っていた存在感のあるオブジェや大皿など、日常に上手く溶け込みそうなお洒落な作品が並ぶ。ありそうでない、見たことのないような新しいガラスを見ることができるだろう。

塚田美登里は国立高岡短期大学産業工芸科金属工芸専攻。能登島ガラス研究所やアメリカのPilchuck Glass School、富山ガラス造形研究所を経て、現在は金沢卯辰山工芸工房で研修活動を行っている。

G-WING'Sギャラリー TEL:(076)238-0788


開光市展

2003年12月12日(金)〜12月21日(日) 美術サロンゆたか(石川県金沢市)

「箱の中」162×97cmキャンバス・油彩
大作「くも」(部分)
「会話」162mm×388mmキャンバス・油彩

国画会所属の画家・開光市の4年ぶりの個展である。今年4月に東京国際フォーラムで開催されたNICAF(国際コンテンポラリーアートフェスティバル)に出展した大作「くも」や、銀座・日動画廊本店などを巡回した「刻」に囲まれた室内は、独特の雰囲気が漂う。壁面を埋め尽くす不気味な物体に囲まれると恐怖感すら覚え、1度見たら忘れられないような強烈なインパクトを与える。

「くも」は開の目から見た現代社会の歪んだ姿。頭部や両腕に無数の目が散らばり、こちらを見据えている。大作に関わらず、小品などにも共通するのであるが、美しいものを美しく表現するのはつまらない。開は人間のもっと根底にある醜いもの、汚いもの、人間らしいものを塗りこめているのかもしれない。

開光市は県立桜丘高等学校の教諭。学生時代はスポーツに打ち込み、芸術肌というより体育会系に見える。「戦う絵画とでもいうのでしょうか」と画廊の女性が語ったように、作品は開のほとばしるエネルギーに溢れ見る者を惹きつける。ここ数年で勢いを増し、個展の開催を熱望されていただけに見応えのある作品が展示され、ますます今後が楽しみな作家の1人である。

美術サロンゆたか TEL:(076)232-1341


五十津玉光展

2003年12月13日(土)〜12月23日(火) ギャラリーK2(石川県金沢市)

色彩も豊かな「七福神」 縁起ものの「フクロウ」

幸運を呼ぶと言い伝えられる日本古来の墨画の手法で描く大倭絵(おおやまとえ)が見る側に癒しを与えている。作家は五十津玉光こと伊藤華明。大倭絵で活躍したが、3年前に他界した。五十津は金沢市内の広告デザイン事務所に勤め、後は自分のアトリエを設け大倭絵を研究した。「作家として味わいがでるのは60歳から。いまはまだ修行の時代」と語っていただけに惜しまれる。

温かい色合いで彩色された七福神回文歌をしたためた作品には独特の宇宙感があり、力強く無駄のない線からは五十津のプロとしての力が感じられる。またウサギと戯れる童の微笑ましい様子、福を呼ぶフクロウの絵もユーモラスだ。

迫力ある「大鯛」

面白いのは鯛を画面(30号)いっぱいに描いた作品だ。中央に引っかき傷があるが、これは猫が鯛めがけて飛びついた時の跡だそうだ。猫にすればそれほど本物らしく見えたのであろう。作品もそこまで存在感を出せれば立派なものである。

ギャラリーK2 TEL:(076)243-0017


中村博光展

2003年12月10日(水)〜12月22日(月) ギャラリーROSE+in(石川県内灘町)

用の美「魚の絵皿」

陶芸の世界における「用の器」にこだわった作品が目を引いた。どれも個性があり、しかも「やきものの美」の理想も充分に発揮されていて好感が持てる作品展となっている。

作家の存在感を表現したのは特大の「土鍋セット」である。厚手でどっしりとしていて、こげ茶や色つやも申し分ない。ふたの持ち手がこれまたいい。5本の指にしっかりと入りその感触が安心感を与えてくれる。「陶のサイフォン」はガラスでは味わうことが出来ない優美なものだ。

大胆な「土鍋セット」 珍しい「陶のサイフォン」

穏やかな陶器の空間を醸し出している作家は中村博光。地元の石川県内灘町でしっかりと腰を落ちつけて要の器づくりに励んでいる。この世界ではどこにも属さず独自の世界を歩んでいる。備前のほか志野、織部、黄瀬戸もある。バラエティに富んだ作品で「用の陶人」として活躍しており、弟子も多い。

ギャラリーROSE+in TEL:(076)286-2379

 


山崎忍作陶展

2003年11月26日(水)〜12月8日(月) ギャラリーROSE+in(石川県内灘町)

優雅な「羽子板」(皿)
創造性豊かな「マグカップ」

日用の美を求める若い作家が多いなかで、伝統を踏まえた独自の世界を歩んでいる人もよく見かけるようになった。山崎忍もそのひとり。原型は九谷だが形にはまらない陶芸を目指している。九谷焼の場合、普通は生地づくりから絵付け、デザインまでの工程はそれぞれ担当者がいるが、山崎はひとりでこなす。

今回のテーマは「銀の雫」。黒の生地に銀の渋い優雅さを出した逸品。羽子板の形をした皿、幻想的モチーフで造形美を醸し出している。釉薬銀彩、銀を透明な釉薬に入れていく独自の技法で美しい色がそのまま表面に浮かんでくる。「ロクロは嫌いだ。丸いものしか出来ない。これでは創造性がない。この手で形を作っていきたい」とはっきり言う。作品は繊細で明快、陶芸家自らの力を教えてくれる。例えば作品のひとつ「羽子板」(皿)はまさに作家の感性が充分に発揮されたものであろう。

この道の出発点は遠州七窯のひとつ朝日窯(京都)。その後、石川県立九谷焼技術研修所で修行、朝日現代クラフト展など数々の展覧会で受賞した。現在は石川県小松市八幡で自窯を持ち活躍している。

ギャラリーROSE+in TEL:(076)286-2379


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