三田村和男展

2004年1月29日(木)〜2月3日(火) ギャラリーノア(石川県松任市)

「紳士の散歩道」と三田村和男

外はまだ冬景色だというのに、会場はひと足早く春がやってきたかのような明るさと暖かさに満ちている。

「テーマは全くありません。抽象画はみんなそうだと思いますが、見る人に自由に感じとってもらえればいいのです」と、画家・三田村和男は話す。シンプルな形とシンプルな色という条件の中で作品を構成するのは難しいが、三田村は形と色の足し算引き算を楽しみながら制作しているようだ。「形や色のバランスは難しいです。小さな点や線1本があるのとないのとでは印象も変わってしまいますから」。今後はもっと形をシンプルに、色数を少なくして作品を作りたいと意気込みを見せた。

「もうすぐ祭」55×46cm 「音の順番」55×46cm

会場ではひときわ大きな声で挨拶しながら客の意見に耳を傾ける。元気になる、楽しいと言われると、とても嬉しそう。 陽気で明るい作家の人柄が反映された作品からは、パワーをもらう人も多いはずだ。

三田村和男は1943年福井県武生市出身。帯デザイナーを経て画家の道へ。冊子の表紙原画やポスターの原画を手掛けながら、毎年、銀座で個展を行う。石川での個展は10年ぶり2回目。福井県立歴史博物館には11mという巨大な壁画が収められている。

ギャラリーノア TEL:(076)276-4486


赤と青展

2004年1月28日(水)〜2月3日(火) G-WING'Sギャラリー(石川県金沢市)

赤地径「赤絵幾可文皿」
竹内靖「唐草文食籠」
水元一良の作品群
清水なお子の作品群

昨年出展した赤地径(石川)と竹内靖(石川)の2人に加え、今年は水元一良(石川)と清水なお子(京都)が加わって、いっそう華やかに、豊かな色彩と作風が楽しめる。

赤を基調とするのは、赤地と水元。 赤地は、上品な赤をベースに黄や緑、青を効果的に使った、ほっこりと暖かい印象の作品。遊び心溢れる線や円、幾何学模様で彩った器に、何を盛り付けようかと考えるのが楽しくなる。水元の作品は、鮮やかな赤と金彩が目を引く豪快で大胆な色使い。存在感のある器は、祝いの席はもちろん、日常でも華を添えてくれそうだ。

対する青では、竹内と清水。竹内は瑞々しい青で彩る。竹内が土を焼き、その妻が染付けを行う。夫婦の息の合ったコンビネーションで作り上げられる作品は繊細でお洒落。現代風にアレンジした菊や山水、唐草といった文様が鮮やかな青によって描かれ、食卓を爽やかに飾る。清水は2000年に京都府亀岡市で独立した若手作家。日常使いの器にしっとりと落着いた青が映え、控えめな花々の器からは女性らしい感性がみられる。

赤と青のそれぞれで揃えたり、または組み合わせてみたりと、楽しみ方が幾通りもありそう。思わず、いくつか購入したくなる展覧会。

G-WING'Sギャラリー TEL:(076)238-0788


ルパート・スパイラ 陶芸展

2004年1月21日(水)〜2月18日(水) 石川県立音楽堂交流ホール(石川県金沢市)

大鉢 白釉押型詩文

どこか東洋的な香りを漂わせ、ゆるやかなカーブを描くシンプルな形が印象的なルパート・スパイラの作品。1mはあるであろう大きな壷をはじめ大型の作品が大半を占めるが、重みや厚みを感じさせない清々しい雰囲気だ。作品を眺めるうちに、作品の内側や外側に刻まれた詩文に視線が移る。これは自作の詩であったり気に入った詩人のものであったりするのだが、文様のようにびっしりと刻まれた文字は、白や黒を基調とした器と見事にあいまって、 作品を彩る。

深大皿 白釉黒彩刻詩文
大鉢 透明釉刻詩文辰砂縁

ルパート・スパイラは1960年ロンドン出身。16歳の時にマイケル・カーデュウの作品に強い感銘を受ける。ウエスト・サリー美術デザイン学校でヘンリー・ハモンドに学び、学士号を取得。1980年〜82年にかけてウェンフォード・ブリッジ・ポッテリーでマイケル・カーデュウに師事。1996年シュロップシャー州、チャーチ・ファームに開窯。洗練された作風はイギリスでも好評を博している。

工芸が盛んな石川ではルパート・スパイラの現代的な作品がどう映るのだろうか。本展はイギリスに先駆けての個展であり、金沢の後は福岡、仙台を巡回する。

石川県立音楽堂交流ホール TEL:(076)232-8111


釣谷幸輝個展

2004年1月24日(土)〜2月1日(日) 美術サロンゆたか(石川県金沢市)

「サカナの街」アクリル S4
「告知」515×364mm
「女II」515×364mm

詩人なのかロマンチストなのか、釣谷幸輝の版画は幻想的で不思議な世界だ。黒く深い色に浮かび上がる秘密めいた世界、作家自身の夢か現実か。非現実的な世界に戸惑ったり、魅入ったりと、釣谷の版画は見る者を巻き込む力を持っているようだ。また、作品には詩的なタイトルが添えられ、不思議な世界をさらに盛り上げる。

釣谷は大学時代、油絵を専攻していた。油絵から版画の世界への転身は珍しくない。ただ、版画は絵画と違って最後まで仕上がりの良し悪しがつかみにくい。よくなることもあればだめな時もある。限られた世界の中でいかに自分を表現できるか、そこが版画の魅力だ。今回は新作の銅板画とアクリル画約40点。11枚がセットになった詩集様式の作品もあり、詩に対して強い興味を抱く作家の新たな挑戦ともいえる。

釣谷幸輝は1967年富山県出身。金沢美術工芸大学大学院卒業。現在は富山県八尾の山間部に建つ古民家に住居と工房を構え、製作活動を行う。

美術サロンゆたか TEL:(076)232-1341


山本容子版画展

2004年1月22日(木)〜2月3日(火) ギャラリー千代堂(石川県松任市)

「母なるマリアよ」(Mariam Matrem)1988年 「東方の三人の王」(Three Kings of Orient)1998年
アニバーサリープレート イヤーズプレート

このコーナーで何度か紹介してきた山本容子の版画であるが、今回は食器に使用されている版画を紹介している。山本がデザインした食器を手掛けている硬質陶磁のトップメーカー、ニッコー株式会社が版権を持つ作品なので、展覧会で見る機会は滅多にないという貴重な作品だ。

食器のために手掛けた作品は、クリスチャンである山本らしくマリアや天使、聖書の一説などから取られた慈愛に満ちたもの。聖書となると少し重めの印象を与えるが、山本の手にかかると明るく楽しいものに変化する。

会場には原画に合わせて作られた食器も展示され、大切な記念日をいつまでも素敵な思い出として残しておきたいという山本容子の思いを感じられるような版画が白い食器をリズミカルに彩っている。イヤーズプレートをコレクョンするのもよし、大切な記念日を刻んでプレゼントするもよし、贈る方も贈られた方も幸せな気持ちにしてくれるのが、山本容子の人気の秘密であろう。

ギャラリー千代堂 TEL:(076)275-0305


中江悦子 白山を描く

2004年1月22日(木)〜1月27日(火) ギャラリーノア(石川県松任市)

日本画家・中江悦子
白山連峰が映える横長額
布や和紙に描いた墨彩

女性的で美しく、姫山とも称される白山をモチーフに、京都市在住の日本画家中江悦子が筆をとった。もともと松任市出身の中江にとって白山は馴れ親しんだ山である。実家の前から見える白山や、木場潟から加賀温泉にかけての平野から望む白山を描いた作品35点を発表した。

春の作品は残雪の白山と緑や花が美しい色のコントラスト見せ、夏は空の青さにくっきりと映える山並みが清々しい。秋は鮮やかな紅葉や夕日に色づく姿、冬は雪に包まれた白く美しい姿を描く。白山とはこれほどまでに様々な表情を持つ山なのか、とあらためて思う。中江はそんな美しい白山を見た時の感動を、繊細ながら力強い作品に仕上げた。日本画はもちろん雄大なパノラマが広がる横長額の作品や、墨と顔料を使って描いた白山の掛軸も風情があり、絵から白山を楽しむことができる。

今回は白山とテーマを絞ったため、同じ絵にならないよう作家自身もいろいろな試みができたという。中江悦子は1955年松任市出身。金沢美術工芸大学日本画科卒業。西山英雄氏に師事。 2001年日展特選受賞と活躍中の女流画家である。

ギャラリーノア TEL:(076)276-4486


山瀬晋吾陶彫展

2004年1月8日(木)〜1月20日(火) ギャラリーノア(石川県松任市)

「剣崎なんば」の前に立つ山瀬晋吾
来年の干支は酉なので「ちゃぼ」
ユーモラスな今年の主役「さる」

平成13年に富山大学退職を機に導入した電気窯によってますますその世界は広がった。制作意欲にあふれ、楽しみながら焼きものを手がけるのは、日展会員、日彫会会員である山瀬晋吾。

今回は2種類の干支を出展した。テコラッタに極彩色を施して素焼きした干支は、毎年手がけてきたもの。12年の歳月をかけすべてが揃ったところで、一堂に展示してみたいという夢が実現した。動物や玩具、郷土行事などを捉え、活き活きと躍動感溢れる作品となっている。 一方、「足さない・引かない十二支造形」と題された干支は、角柱や円柱から想像力を膨らませ、曲げたり切ったりしただけのシンプルでユニークな作品。「まったく自由ではいけない。限られた条件を与えることによって、不自由な条件を克服しようとアイデアが生まれる」。教育者としての立場から生まれた現代っ子への楽しい提案である。

会場には干し柿やいちじく、道祖神や仏塔など素朴なモチーフを表現した温かみあるレリーフや、人や動物が文字を形作る身振りいろは藝のレリーフなど遊び心あふれる作品48点が紹介され、心和む空間を作り出している。

ギャラリーノア TEL:(076)276-4486


大空へ 凧展

2004年1月11日(日)〜1月19日(月) ギャラリーROSE+in(石川県内灘町)

様々な凧に圧倒される会場

近年、全国で凧揚げ大会が開催され、大空での美の競演が行われている。内灘町では毎年5月に「世界の凧の祭典」が開催され、国内外から愛好者が集って自慢の凧を披露する。その祭典で数々の賞を受賞し、全国レベルの実力を発揮しているのが、内灘凧倶楽部「浜風」。今回は会長の浜本長春と副会長の中村寿が、大空でその模様や絵柄の美しさを競う江戸凧の数々を披露した。

浜本長春「滝修行」 中村寿「六角凧」

江戸凧は江戸時代から伝わる伝統的な手描きの凧で、手漉き和紙に染料で絵柄を描く粋な凧。絵柄は浮世絵の美人画や武者姿、金太郎や七福神、龍など日本古来のヒーローや神々を取り上げたものが多い。今回は競技用の大型なものではなく、飾っておいても見栄えのよい小型の凧が中心。なかには円形や鯉の形といった変りだねもあり、見ているだけでも楽しい。

この展覧会の終了後、5月の大会に向けて凧作りが始まる。どんな凧になるかは語ってもらえなかったが、浜風は毎回変わった凧を出品するとのことで当日までのお楽しみ。晴れ渡った青い空に舞い上がる色鮮やかな江戸凧に、男たちの夢やロマンを感じずにはいられない。

ギャラリーROSE+in TEL:(076)286-2379


和傘(からかさ)−末広がりの世界−

2004年1月6日(火)〜1月31日(土) INAXスペース金沢(石川県金沢市)

間島円
愛らしい和傘たち
桔梗模様が艶やかな和傘

ビニール傘や布の傘が普及するまで当たり前のように和傘は使用されていた。現在金沢で和傘職人はただ1人。そんな和傘職人の作る和傘に興味を抱いた間島円。自分の代で店をたたもうと思っていた和傘職人・松田弘。運命のめぐり合わせか、不思議な縁で2人は繋がり、間島は和傘の世界に飛び込んだ。正式な弟子ではないが、共同制作というかたちでその技術を学びながら間島は新しい傘を模索中である。

今回展示したのは松田と共同制作した処女作含む6点の作品。初個展という初々しさと女性らしい感性で作られた和傘は実に繊細で柔らかな印象だ。花模様や龍、柿渋で染めたものなど6点と少々寂しいが、すべてが手作業のため作れる数に限りがある。独特の油の匂いが鼻をつき、透き通る色とりどりの和紙が懐かしさを感じさせ、 改めて先人の技と日本の伝統美に感心する。

間島円は1979年神奈川県出身。厳しい職人の世界で4年というのはまだまだこれから。素晴らしい日本の伝統文化を守っていきたいと、職人技を習得しようとする若き後継者。末広がりの傘のように素晴らしい未来が広がっていくことを期待したい。

INAXスペース金沢(INAXショールーム内) TEL:(076)262-1701


吉田精一写真展 失われた刻

2004年1月10日(土)〜1月18日(日) 浅の川画廊(石川県金沢市)

「かつては栄えた街道の近くの店や 宴のあとの路地 その後にビルがそびえ立ち 今その場にたつと 時が刻まれた跡が心をゆさぶる」。この展覧会に寄せた吉田精一の言葉である。

被写体は過ぎし良き日を刻んだ建物や時代の遺物。かつて時代の栄光を支えたビルや遺物たちは当時の面影を残し、静かに佇む。もの悲しい反面、移りゆく時の早さに驚かされる。人間というものはわがままなもので、時代が過ぎれば見向きもしなくなるものだ。そうやって残された過去の栄光たちはいくつあるのだろうか。そんな時代の痕跡に吉田はレンズを向けてきた。

オーナーが吉田の作品に惚れ込んで実現した個展も今回で3回目。昨年4月に東京・新宿にあるコニカプラザ ギャラリーAで同展を開催している。吉田精一は1952年東京都生まれ。17歳頃から写真を始め、個展やグループ展を開催。1991年国画会展新人賞。2000年に会員推挙。国画会所属。

浅の川画廊 TEL:(076)222-5043


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