南 景子作陶展

2004年2月19日(木)〜2月24日(火) ギャラリー千代堂(石川県松任市)

「福申」
「陶額」
パワー溢れる作品群

南景子はこの3月に石川県九谷焼技術研修所研究科を卒業する。作品の方向性は定まっていないが、喜怒哀楽を陶で表現したいという彼女のパワーが、大胆で豪快な作品を生み出した。申年にちなんだものを中心に、オブジェや器や飾り額など約140点。色は九谷の伝統色を使い、形は思い切り自由でのびやか。斬新で表情豊かな作品が得意のようだ。

色鮮やかな申の置物や申のイラストが可愛らしい陶額、方言を描いた器など、ちょっとした遊び心が21歳の女の子らしさを思わせる。売れるものよりも楽しめるものを、自分らしさを表現できるものを追求しようと奮闘する姿が浮かび上がる。

南は1982年生まれの21歳。高校の時にアルバイトで知った陶芸に興味を抱きこの世界へ。2000年徳田順子氏に師事。作陶5年目にしての初個展である。若者らしい勢いのある作風がどのように変化していくのか、楽しみな女流陶芸家のたまごである。

ギャラリー千代堂 TEL:(076)275-0305


華ごよみ雛様展

2004年2月12日(木)〜3月2日(火) 犀川画廊(石川県金沢市)

蔦屋巳之吉「明徳雛」
わたぼうし「着物うさぎ」
会場風景

木目込み人形は、桐の粉と糊で土台を作り、刻まれた溝に布(金襴やちりめんなど) の端をはめ込んで、衣装を着けた人形。中にはかなり年代ものの布もあり、同じ土台でも使用する布によって印象が異なる。ふっくらとした優しい表情に、女の子の成長を願う作り手の優しい思いが感じられる。

変わり雛は、ぴょんぴょんと跳ねる様子から飛躍するという意味の兎や、厄が去るという意味から用いられる申など。色鮮やかなちりめんや古布のものは手軽に飾れるとあって人気が高い。 大量生産とは違うオリジナルの雛人形は、手づくりならではの温かさがありいずれも一点もの。この他、陶雛や絵皿なども華を添え、桃の節句に相応しい雰囲気を演出している。

出展したのは、井野佳子(木目込人形)、酒井利子(木目込人形)、蔦屋巳之吉(木目込人形)、高明(陶芸)、打田幸生(陶芸)、越田秀平(陶芸)、大兼政道子(陶芸)、海野加代(陶芸)、わたぼうし(古布人形)、吉村はるみ(ちりめん細工)。

犀川画廊 TEL:(076)241-4188


陶二人展

2004年2月19日(木)〜2月24日(火) ギャラリーノア(石川県松任市)

斎藤一枝(左)と反保静江(右)
反保静江の陶雛「山椿」
主婦の観点から生まれた作品群
斎藤一枝の花器「変玄」

同じ陶芸教室で作陶する仲良し主婦の展覧会。たくさんの人に見てもらいたいと、これまでに手掛けた作品など約200点を持ち寄った。皿や鉢といった器から土鍋やポットなどの日用品、花器やオブジェまで、見て楽しい使って楽しい普段使いの作品が会場を彩る。気心のしれた者同士とあって堅苦しい雰囲気は一切ない。明るく楽しい展覧会となった。

普段の生活で使いたいものを作ったと話すのは斎藤一枝。マットな白や黒の器を中心に、シンプルですっきりとした印象の作品が並ぶ。「変玄」は高坏形のモダンな花器。白と黒のラインが美しい形を際立たせる優美な作品だ。一方の反保静江は毎年手掛けているという陶雛を中心に、遊び心溢れる作品を揃えた。陶雛は絵柄を変えバリエーションも豊富。クールな印象だが、手づくりならではの温かみも伝わってくる。このほかオブジェや可愛らしい灯りなど、反保の人柄を表すような賑やかな作品を出展した。

趣味で始めた陶芸も立派な作品となった。実用性を重視しながら自分らしさを表現する。主婦の観点から作られた作品は、いつもの生活にちょっと加えてみたくなるものばかりだ。

ギャラリーノア TEL:(076)276-4486


竹久夢二風景画展

2003年12月16日(火)〜2004年4月4日(日) 金沢湯涌夢二館(石川県金沢市)

「鐘が鳴る」

美人画が印象に強い竹久夢二は、数多くの風景画も残している。夢二の違った1面を紹介しようと企画された風景画展。夢二館所蔵の約1000点ある作品から、風景画をピックアップし、展示替えをしながら紹介する。

「古歌の思出」

掛け軸、楽譜などをはじめ、夢二肉筆の書簡といった新所蔵品が並ぶ。関東大震災の翌年に楽譜の表紙として描かれた「鐘が鳴る」には、力強い鐘のシルエットに夢二の復興への強い思いが表されている。また肉筆の書簡からは、夢二の表情豊かな筆の運びが想像でき、興味深い。

遠くに眺める山並みや一面に広がる田園を題材にした風景画は、人物描写の作品と比べ緻密なデッサンをもとに描かれたという。旅を愛した画家は風景画にどのような思いを込めたのだろうか。美人画からはうかがえない夢二の感性に触れたい。

会場では、夢二が風景画にもった愛着がエピソードを通して紹介され、作品制作の背景が説明として添えられている。昨年12月から始まった企画展は、今年4月4日まで開催される。

金沢湯涌夢二館 TEL:(076)235-1112


スカンジナビアの生活用品展−シンプル&モダンに憧れる−

2004年2月1日(日)〜2月29日(日) ギャラリーショップ&カフェ コニーズアイ(石川県金沢市)

フォルムが美しい食器

フィンランドなど北欧のデザイナーを中心に、家具、照明、テーブルウエア、玩具といった作品を集めた企画展。シンプルという印象の強い北欧のデザインだが、バックや椅子、木製のおもちゃなどには、鮮やかな色と遊び心あるアイデアが盛り込まれ、どれも個性的。シンプルだけど面白い、実用的だけどかわいらしいといった作品は、日常生活でもすんなりと馴染んでくれそうだ。

天井にはいくつものモビールが

コニーズアイは和風の一軒家を利用したギャラリーで、1階2階の各部屋で作品を展示している。床の間のある畳敷の居間や子供部屋を思わせる洋間に、モダンデザイン作品が所狭しと並ぶ様子は、意外だけれど違和感を感じさせない。常時、国内外100人以上のデザイナーの作品を扱い、定期的に企画展やイベントを開催している。今回の企画展は、1階の和室2部屋にて開催。

ギャラリーショップ&カフェ コニーズアイ TEL:(076)239-1818


次世代ワールド VOL.2

2004年2月12日(木)〜2月24日(火) スタジオ・イン、文化サロン石蔵(石川県小松市)

西田洋一郎「刻のしずかに」

異なる分野で活躍している6名の芸術家たちが一堂に集結した展覧会。年齢層は20代から50代と次世代を担う作家ばかり。個性と個性が静かにぶつかりあい、刺激的な展覧会になった。

油彩画の鈴木治男は、天地に対して謙虚に生きる姿勢の大切さを取り入れて作品を製作しているという。今回は鳥をイメージした作品を数点。紙ヒコーキのように舞い踊る鳥たちの姿を抽象的に描いている。デジタル版画の西田洋一郎の作品は、太古の世界や近未来の世界のように感じられる不思議な世界。これは自然の持つ法則と知性をデジタルで絵画化したものだという。彫刻の梶本良衛は、種類によって様々な表現が可能である木を主体とし、着色したり金属と組み合わせて人間を表現した。

梶本良衛「游・遊」 尾田伊生「STOOLS」

尾田伊生は自ら工房を構え、現代の暮らしに調和した作品を手掛けている木工家具作家。木の温もりを感じる優しい印象の椅子やテーブルを製作。マンガの新井浩はドキッとするようなイラストや蛙を主人公にした手作り絵本を発表。様々なことが起こるこの世の中で絶望とユーモアを結びつけたものを提案している。木版画の大下百華は目に見えない希望や光、生命を意識しながら製作したという多色刷りの版画。生きている喜びに満ちたような軽やかさと鮮やかな色彩が魅力的な作品である。

スタジオ・イン TEL:(0761)24-3476
文化サロン石蔵 TEL:(0761)24-1576


立春 美術コレクション展

2004年2月5日(木)〜2月17日(火) ギャラリー千代堂(石川県松任市)

左:明烏敏「無量寿」
右:安島雨晶「新緑」
中川一政「猟を観る」
見附正康「飾り皿/立雛」

暦のうえでは立春を迎え、少しずつ春めいてきた。春らしい作品を集めた展覧会は、あるコレクターのコレクションだという。物故作家から活躍中の作家、人間国宝から若手作家まで揃え、ジャンルも書、絵画、染色、工芸と多岐にわたる。

明烏敏の書は盲目になってから書いたものだが、盲目とは思えない豪快な筆さばきがすがすがしい。石川県出身の安島雨晶は新緑眩しい京都の風景を描いた。どちらもすっきりと空間を彩ってくれそうだ。松任市ゆかりの中川一政は、馬上で猟を見ている武将の姿と漢詩を思わせる書に、鮮やかな色彩を合わせた中川一政らしいユニークな作品。見附正康は赤絵の若手作家。手に取ってみるとその繊細な線に驚く。高度な技術と緻密な作業を要する赤絵専門の作家は数少なく、若い感性で作られる作品は実に新鮮。今後の活躍が期待される作家の1人だ。

このほか、平山郁夫、宮本三郎、高光一也、原峯水、宮岸長司、小田清山、徳田八十吉、吉田美統、高光一生、長谷川塑人などの作品が約100点。美術ファンにはたまらなく、また美術ファンならずとも興味をひかれる展覧会である。

ギャラリー千代堂 TEL:(076)275-0305


11人のクリエイターによる灯り展

2004年2月5日(木)〜2月17日(火) ギャラリーノア(石川県松任市)

北岡哲「KANI A」(ブリキ)

灯り作りを本業としない作家たちが灯りを手掛けたらどんなものになるだろうか、ということで企画された展覧会。会場には優しい灯りからオブジェ的なものまで、11名の作家による個性豊かな灯りが揃う。

北岡は蟹。ブリキという一見冷たい素材をユーモラスな形に仕上げ、甲羅の間から光を覗かせた。反射する光の眩しさに惹かれる作品。沢田健勝は緑のための灯りを提案。筒の中に入った植物を下から照らし、心地いい爽やかな印象を与える。千綾真由美は和紙でほっこりとした温かさを提案。温かみのある粗めの和紙に映し出される優しい光が和みの空間を演出する。タペストリーは下から照らし、円形の窓が月のように浮かぶ情緒溢れる作品。藤井靖子は植物をイメージしているのだろう。まさに開こうとする植物の瑞々しさを 可憐な姿で表現。柔らかい光が生命力の象徴のように感じられる小さな灯りだ。

沢田健勝「FOR GREEN」(鉄、ガラス) 千綾真由美「杉のあかり」と「タペストリー」(和紙) 藤井靖子「I.plant V」(ガラス)

参加したのは北岡哲(ブリキ)、沢田健勝(鉄)、嶋田ハルエ(染布)、杉浦貴美子(布)、田部健次(銅)、千綾真由美(和紙)、中村繁和(漆)、藤井靖子(ガラス)、藤田圭子(陶)、矢野志郎(ガラス)、横田紫雲(書)のクリエイターたち。作家の大胆な発想に驚かされ、創造力の豊かさに感心してしまう。

ギャラリーノア TEL:(076)276-4486


新世紀の顔・貌・KAO展 −30人の自画像−

2004年月2月7日(土)〜2月15日(日) 美術サロンゆたか(石川県金沢市)

金井訓志「黒い帽子とズボン吊り」6F
野田利常「還る」6F

自画像は1番手近にあるモチーフ。鏡さえあれば簡単に描くことができるのに、自画像を好んで描く画家はそういない。それはありのままの自分を見つめるという辛い作業があるからだ。そんな課題に29名の作家が取り組んだ。

藤浪理恵子「Blur-sp」6S
友永詔三「歩く魚−四万十幻想」
H37×W19×D40cm

金井訓志は30年以上自画像を描いたことがなく、久しぶりに自己との対面を果たした。顔に刻んだ皺に年月を語らせ、 老いを実感しながら描いた。野田利常は、自分にとっての絵の原点であるという自画像を素直に表現。子供の頃に遊んだものだろうか、汽車のおもちゃやビー玉が郷愁を誘う。藤浪理恵子は久々に鏡を覗き、憂鬱な気分になったという。しかし平淡で腫れぼったい顔を描くのも悪くないと現在の自分の姿を受け入れた。友永詔三は夢の中で見た自分の姿。故郷に流れる四万十川を泳ぐ鯉。水の中が住みにくくなり陸に上がろうとする、足を持った鯉は作家の姿だ。奇妙で憎めない作品から作家の個性が見え隠れする。

美術評論家の中野中が企画し、作家の選定を行った展覧会は今回で4回目。画家や彫刻家、工芸家など様々な分野の作家が表現した自画像は、具象から抽象まで幅広く、年々面白さを増している。作家がどう自己と向き合ったのか、非常に興味深い展覧会である。

美術サロンゆたか:(076)232-1341


ジョン・レノン アート展

2004年2月1日(日)〜2月29日(日) アートギャラリーミューゼいずみ(石川県金沢市)

「TWO IS ONE」1969年
©Yoko Ono lennon
「HE TRIED TO FACE REALITY」
©Yoko Ono lennon

1980年12月8日、40歳という若さでこの世を去った20世紀を代表するアーティスト・ジョン・レノン。その類稀なる才能はビートルズとしての活動だけでなく、オノ・ヨーコとの出会いにより、美術や文学のジャンルでも素晴らしい作品を数多く残した。

ジョン・レノンは1957年から英国リブァプール美術大学に在学し、1960年にビートルズを結成。1969年にアーティストとして活躍していたオノ・ヨーコと結婚。1970年にロンドンで個展を行っている。ジョンとヨーコ、息子ショーンとの日常生活を一風変わった独特の詩情溢れるタッチで描き続けた。度々来日しており、日本文化の影響を受けた作品も見られる。

今回はリトグラフが30点。いずれも何気ない日常の風景を描いたものである。ヨーコと息子・ショーンの姿を墨で描いた作品やショーンの絵本代わりにと描いた明るく可愛らしい作品など、家族を温かく見守る父親の愛情に満ちたものが多い。飾り気のない作品には「愛と平和」というメッセージが込められ、人々を惹きつける。

アートギャラリミューゼいずみ TEL:(076)232-8070

 


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