村越久子ふるさと展

2004年3月4日(木)〜3月9日(火) スタジオ・イン、文化サロン石蔵(石川県小松市)

「桜紋大皿」と金彩の蓋物
信楽や磁器の四方花入れ
油滴天目「燈炉」

村越久子は現在83歳。陶芸を始めたのは50歳からというから驚きだ。年齢を感じさせないパワフルな作風に、訪れる人も感心しきりである。

作風は素朴ながらも現代的な要素も兼ね備え、穏やかで優しい印象。草花や魚といった自然のものを絵付けしたものや茶道具などが目に付く。信楽や磁器など表情の違いが楽しめる作品も魅力的だ。面白いのは漆黒の闇の中に広がる星空のような美しさが魅力的な油滴天目の「燈炉」。桜の形に切り抜かれた窓からやさしい光がこぼれる作品。村越は陶芸の魅力についてこう語っている。「火の神にすがって3日3晩焚き続け、10日目の窯出しをどきどきしながら待ち望み、何点かの良い作品と対面する。その瞬間がなんともいえず幸せで、また焚いてしまう」と。

村越久子は大正10年小松市出身。昭和50年に愛知県立窯業高等専門学校を修了後、長野県武石村に雪しろ窯を築窯。平成8年からは高崎芸術短期大学(4月より創造学園大学)の教授として後進の指導にあたる一方、精力的に作品を発表している。

スタジオ・イン TEL:(0761)24-3476
文化サロン石蔵 TEL:(0761)24-1576


平成15年度金沢美術工芸大学油画専攻卒業生有志展

2004年3月4日(木)〜3月7日(日) 石川県立音楽堂交流ホール(石川県金沢市)

吉田千春「直線から逃れて」
榊原正修「家族」
長原まどか「Color Landscape U」

金沢美術工芸大学油画専攻卒業生の有志22名による作品展。卒業制作をはじめ、出品者がそれぞれのテーマで描いた作品が70点以上並び、会場は多種多彩で表情豊かな作品で彩られた。

吉田千春の「直線から逃れて」は、光をテーマに制作した。ゆるやかに歪んだ2つの楕円は、フレスコを使ってざらつかせた表面に、穏やかな明るい色彩を描いている。榊原正修の「家族」は、それぞれの表情をみせる画中の人物たちが印象的な作品。作者は自らの感情に注目し、その時の感情を代弁するイメージを模索したという。

長原まどかは会場でワークショップを催した。黒の線だけで描かれた5パターンある風景画に、参加者がクレヨンや色鉛筆、マーカーを使って色を加え、作品を仕上げていくといったもの。幼少の頃を思い出し懐かしい気持ちになるなど、ぬり絵という作業を通して、参加者がそれぞれもつ感情に気付いてもらえたらとの思いで試みた。

大学の数年間を同じ場所で学んできた22名が、さまざまなテーマや表現方法を模索しつつ取り組んだ成果を発表した。これから活躍していく作家たちの、ひとつの節目となる作品展である。

石川県立音楽堂  TEL:(076)232-8111


萌黄〜芽立ちのころ〜

2004年3月3日(水)〜3月30日(火) 茶房古九谷ギャラリー(石川県加賀市)

このギャラリーでは毎月1つのテーマに沿った企画展を開催している。今年は日本古来の美しい色彩をテーマに、月替わりで地元・加賀の作家の作品を紹介する。春めく3月、作家に与えられたテーマは「萌黄〜芽立ちのころ〜」、形は「向付」。作品の搬入時までどんな作品が届くのか全く分からないため、テーマと形を限定し、あとは作家にお任せといった企画の面白さが実に興味深い。

「向付」は懐石の膳のご飯・汁椀の向こうに付けるところからこの名が付き、一般的には馴染みがない呼び名である。しかし、19名の作家が考える向付は実にバラエティーに富んでおり、平向付、菊形向付、舟形向付、台鉢、小皿、そば猪口などその形は多様化している。また、「萌黄」という色のイメージから創造力を膨らませ、モチーフとなった菜の花や桜といった春の花々、ふきのうとう、竹の子といった春の食材が色絵や染付によって器を彩る。古典柄から現代的なモダンなデザインまで、向付と気張らずに普段使いで活躍してくれそうだ。

いずれも繊細な手仕事の妙が光り、見て楽しめ、使って満足できる優れものばかり。本格的な春の訪れを前に、食卓にいち早く春らしさを運んでくれそうな、そんな器たちである。

茶房古九谷ギャラリー TEL:(0761)72-6366


コーヒーカップ大集合展

2004年2月29日(日)〜3月15日(月) ギャラリーROSE+in(石川県内灘町)

バラエティーに富んだカップたち
銀箔の細工が美しい山崎忍「なんでもカップ」

1日に何杯もコーヒーを飲む人は多いのではないだろうか。ほっと一息入れる大切な時だからこそ、お気に入りのカップでゆっくりと味わいたい。15人の陶芸家たちがありそうでない個性豊かなコーヒーカップを持ち寄り、楽しいティータイムを提案した。

最近よく見かけるのは持ち手のないタイプ。たっぷりしたものから湯呑サイズのものまで使う人に応じて選ぶことができる。また、コーヒーに限らず、お茶やビールなどなんでも受け入れてくれるのもこのタイプの良さである。持ち手のあるタイプも素材や形により表情が異なる。土の温かさが手に伝わってくる素朴なものや、シンプルながら持ち手に工夫を凝らしたものなど、華美な装飾に頼らない存在感溢れるものが揃う。会場にはカップのほか、ポットや猫型の愛らしいシュガーポット、ミルクやお菓子などを入れても可愛いデミカップなど約250点が並べられ、いくつも求めてしまいそうだ。

参加したのは、高光史也、田端和樹夫、中村博光、羽場文彦、船木大輔、向瀬孝之、村本外茂樹、山崎忍、川崎知美、小西みき、齊藤麻里、高森絢子、中村多喜美、野中彩、橋本世志江、白矢幸司。そして春を告げる美しい日本画で会場に彩りを添えてくれる山本宏幸。

ギャラリーROSE+in TEL:(076)286-2379


金沢卯辰山工芸工房研修者作品展

2004年2月25日(水)〜3月15日(月) 金沢卯辰山工芸工房(石川県金沢市)

加護園「影」
細野仁美「香箱蟹」
角千尋「音の器」
村田佳彦「いきもののかんざし」

金沢卯辰山工芸工房の研修者29名による作品展。陶芸、漆芸、染、金工、ガラスそれぞれの工房の研修者が、1年間に養った造形感覚と技術を発表する場として、開催されている。

ガラス工房2年目の加護園は器を制作。透明なガラスに、影の中に佇んでいるようなしっとりとした雰囲気を映し出したいと語る加護の器は、シンプルな形の中にも穏やかな落ち着きが感じられる。普段気付くことのないガラスが見せる色彩を、ガラスという素材を通して汲み取ったという。

漆芸工房1年目の村田佳彦は、きらびやかに着飾る遊女の姿に惹かれ、かんざしを作った。長さ70〜80cm程もある大きなかんざしは、朴の木の一枚板からできている。角や翼、触角といった人間にはないものをモチーフに作られたかんざしは、きらびやかというよりも凛とした強さがある。女性が実際に身に付けた時の効果を思い描き制作した作者の意図が表れている。

その他、人体や文字を描き華やかな装飾としてみせた細野仁美「香箱蟹」、人との関わりを意識し道具としての器を制作した角千尋「音の器」など、次代を担う工芸家の優れた作品が並ぶ。

金沢卯辰山工芸工房 TEL:(076)251-7286


白井正浩展

2004年2月27日(金)〜3月7日(日) グリーンアーツギャラリー(石川県金沢市)

第48回一陽会展(2002)青麦賞受賞作「仄(儚い者たち)-I」の前に立つ白井正浩
第55回石川県現代美術展(1999)「仄」
第39回一陽会展(1993)初入選作「ある時の風景」

1993年に一陽会展に初入選して10年。会友推挙になったのを機に、これまでの画業を振り返ろうというもの。それにしても一陽会展と石川県現代美術展に出品した10年分の大作20点が揃うと迫力がある。

10年という節目を迎え、今後は東京での個展を中心とした活動を行うという白井正浩。「地元での個展は最初で最後になるでしょう」とあっさり言い切るあたりに、自らの画風への確固たる自信と画家という道を歩み続けようとする真摯な姿勢が伺える。

行き詰まっていた1999年にようやく自分の表現したいものが描けるようになった。それが「仄」シリーズ。人体を借りて、欲望や嫉妬など人間の暗部を描こうとするものだ。白井はそこに人間らしさを見た。滴るような線と人体の組み合わせは決して不気味なものではなく、静かにこちらに訴えてくる強い力を秘めている。

白井正浩は1970年金沢市出身。石川県立辰巳高校芸術コース、金沢美術工芸大学絵画専攻油絵を卒業。現代美術展で賞を重ね、昨年の一陽会展では一般の最高賞である青麦賞を受賞。また、銀座・櫟画廊での初個展を行っている。北陸の若手作家の中でも注目される作家の1人だ。

グリーンアーツギャラリー TEL:(076)245-7222


李 慶熙 染色展

2004年2月25日(水)〜3月2日(火) G-WING'Sギャラリー(石川県金沢市)

「パインエプルセイジ」

会場にゆらゆらと揺らめいている2枚あわせの不思議な布。中に可愛らしい洋服が見える。布の中に閉じ込められたそれらは、幼い頃に好きだったもの。表面に描かれた植物は近所に咲いていた植物であり、これも記憶に残る懐かしいものの1つだ。そして、「私の作品では光は重要なものです」と語るように、布が陽に透けると閉じ込めた記憶が浮かび上がってくるという仕組みであり、「光による時空への招待」というテーマの意味が分かる。

会場風景(奥に見えるのは「時空への回帰」) 「Nastertium」と李 慶熙

李慶熙(LEE GYUNG HEE)は、韓国でも染色を学んでいたが、韓国にはない糊染めの技法に惹かれて日本へやってきた。金沢で染色を学んで3年。3月には卒業だ。「金沢は自然がたくさんあって、友達も優しい。とてもいい所」と、少し寂しそう。いつか金沢での思い出が閉じ込められた作品ができるかもしれない。

李は1975年韓国釜山市出身。2001年から金沢美術工芸大学に入学し、現在は大学院美術工芸研究科染色コース修士課程の2年生。個展とほぼ同時期に大学では卒業・修了制作展が行われている。今後は韓国に戻り、制作活動を行いながら染色を教える立場になりたいという。

G-WING'Sギャラリー TEL:(076)238-0788


藤原文子個展 〜雪中花〜

2004年2月24日(火)〜2月29日(日) 金沢市民芸術村「里山の家」(石川県金沢市)

柔らかい日差しが差し込む会場
藤原文子
個展4日前に仕上げた最新作

いつかこの会場で個展をしたいと思っていた。古い農家を移築した会場と香り高い水仙の匂い。温かな日差しと会話を楽しみながらゆっくりと鑑賞できる雰囲気の中で、これまで制作した作品15点を展示した。趣のある会場と2月の花である水仙、そして作品という3つの要素をまとめて楽しんで欲しいというのがこの個展のコンセプトだ。

藤原文子は金沢美術工芸大学美術科油画専攻の4回生。3月に卒業を控えている。学生時代を振り返ると、バイトばかりの「幽霊学生」だったという。四国へのひとり旅やサバイバルのようだった屋久島でのキャンプなど、学生時代の体験は全て作品に反映されてきた。その作品はまず色や線を自由に配置することから始め、外部から受けた刺激や経験、自らの熱い思いをぶつけることにより、藤原の世界が誕生する。「自由な目で見て欲しいから、タイトルはつけてません。見る人によって感じ方が変わってもいいんです」と、きっぱり言い放つところが潔い。

今後は京都に住まいを移し、制作活動を続けていく。コミュニケーション能力が低下してきているという現代社会で、人とのふれあいを大切にしたいという彼女の夢は広がるばかりだ。「そんな場に自分の作品があれば幸せです」と笑顔で語ってくれた。

金沢市民芸術村 TEL:(076)265-8300


平成15年度 金沢大学教育学部美術教室 卒業・修了制作展

2004年2月21日(土)〜2月24日(火) 石川県立美術館(石川県金沢市)

若林香奈子「わらって」

金沢大学教育学部美術教室の8名による卒業・修了制作展。絵画、彫刻、デザイン、美術史それぞれの研究分野の学生が、大学生活の集大成を発表した。

デザイン専攻のものでは、色彩による錯覚についての研究を発表。一つのモチーフを様々な素材で作り、その材質感による違いを研究した彫刻作品や、フランス・ルネサンスのタピスリーの技法と寓意性について研究した論文など、様々な分野の作品が一同に並び、会場は賑やかなものとなった。

最終日には、各分野の教官より一人ひとりの作品について丁寧に講評が加えられ、卒業生、修了生は新たな課題を確認し、大切な節目とした。

大坊佳代「Olive」 萩原至道「Air」 松平寛子「立山ー剣岳を望むー」

第2回 50人の写真展

2004年2月18日(水)〜2月29日(日) 浅の川画廊(石川県金沢市)

会場風景

プロアマを問わず、発表未発表作は関係なし。出展料は無料、ただし先着50名というユニークな展覧会。純粋に写真を愛する人たちがお気に入りの1枚を持ち寄って展示するというこの企画、定員50名のはずがどうしても断りきれず66名の出展となった。

愛好家にとっては、技術的なものを研究したり意見を交わしたりする貴重な場。会場は互いに批評し合い、被写体の面白さや捉え方にじっくり見入る人で賑わう。写真は一瞬のシャッターチャンスが勝負の世界。時を留めた作品からは躍動感や臨場感が伝わり、レンズ越しに映る被写体への思いをうかがいしることができる。

大橋京子「艶」 石川碩「飛動」 瀬戸登「樹」

風景、人物、動物、スナップなどジャンルは様々。作家お気に入りの作品ばかりだから、見る側は芸術的なものを追求する必要はなく気軽に鑑賞することができる。 66枚の作品から好みの1枚を見つけることができそうだ。

浅の川画廊 TEL:(076)222-5043


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