
能登平則油絵個展2004年4月27日(火)〜5月2日(日) 浅の川画廊(石川県金沢市)
あかねさす 紫野行き 標野行き 野守は見ずや 君が袖振る
全50点という作品の中には三角や四角といった抽象的な形を組み合わせ、明快な色使いで構成した作品など、デザインに携わっていたという名残が見られる。恋しい人を思う女性の強い思いや別離の悲しみが痛いほど伝わってくるのは、見る側が感情移入するためであろう。表情があると固定観念を持ってしまうから、あえて表情は省いていると能登は言う。今後も歴史のロマンを絵で表現していきたいと意気込みを語ってくれた。 |
赤木明登 ぬりもの展2004年4月25日(日)〜5月9日(日) 桃組+晴組(石川県金沢市)
赤木明登は漆芸の世界で人気のある作家の1人であり、伝統ある輪島塗とは異なる独特の世界を作り上げている。作家となって16年。年に約10回の展覧会こなす彼にとって、金沢での個展は今回が初めて。趣のある茶屋街と漆器のコラボレーションとなった。
赤木明登は1962年岡山県出身。世界文化社に入社後、「家庭画報」編集部配属。角偉三郎展を見て感動し、角氏を訪ねる。1988年に世界文化社を退社後、輪島へ移住。輪島塗下地職人・岡本進氏に弟子入り。独立後は和紙を貼った独自の漆器づくりを手掛ける。今回の会場には製作過程で使用する道具たちもあちこちに展示されており、赤木のこだわりのある空間が広がっている。金沢でみせた赤木のカタチに、魅了された人も多いのではないだろうか。 |
ゆめ・たけひさ 子ども絵展前期2004年4月10日(土)〜5月13日(木)・後期2004年5月14日(金)〜6月20日(日) 金沢湯涌夢二館(石川県金沢市)
竹久夢二の生誕120年、没後70年を記念して行われる春季特別展。子どもを描くことを好んだ夢二は、「ゆめ・たけひさ」の名で子ども向け雑誌の挿絵や装丁を数多く手掛け、たくさんの作品を残している。なかでも、婦人之友社を設立した羽仁もと子と親しかったことから同社出版の「子供之友」に創刊号から夢二晩年まで多くの挿絵や表紙を描いた。婦人之友社所蔵の原画23点を含めた約90点を前期、後期に分けて展示する。 「子供之友」のコーナーでは、鮮やかな色彩で子どもの楽しげな様子を伝える「まわれ、はしれ」や、梅の花が咲く春を夢見る少女をメルヘンに描いた「ゆきのよる」などが並ぶ。前期は12点を展示し、後期はそのうちの11点を展示替えして紹介する。
他館や夢二館で所蔵する作品では、最初の妻たまきをモデルにした「SAYONARA」などがある。学校帰りの先生と生徒の姿を描いており、先生と別れたくない子どもの気持ちが微妙な仕草で表現されている。掛け軸の「雪合戦」、「春娘図」では、明るく彩色されたおしゃれな子供の服、パイプをくわえた雪だるまなど、当時の日本の様子とはかけ離れた雰囲気が夢二独特のものといえる。 姉を慕った夢二が思い出を描いた「稚き日の記憶」は、幾つかの状況を組み合わせた画面構成をとったもので、夢二の作品では珍しい。夢二が友人の歯科医のために描いた「歯をみがく子供」や、友人の誕生祝のかけ紙にと描いた「誕生の為に」、夢二の影響を受け芸術の道に進んだ3人の息子の作品など、個人所蔵で滅多に見ることの出来ないものもあり、夢二ファンには見逃せない企画展となっている。 金沢湯涌夢二館 TEL:(076)235-1112 |
人−ひと展2004年4月22日(木)〜5月4日(火) ギャラリーノア(石川県松任市)
大切なものを見失いかけている殺伐とした世の中、あらためて「ひと」を見つめ直そうとするギャラリー企画。11人の作家が思う「ひと」をテーマとした作品36点が会場を彩る。今回は日本画と工芸で活躍する日展系の作家11名。参加したのは、日本画の円地朋子、円地郁尚、加戸ひとみ、上口文治、竹内仁志、戸田博子、中江悦子、古澤洋子。漆芸の西塚龍、陶芸の武腰一憲、木彫の瀧川佐智子。
「ひと」というテーマで作家が手掛けた作品は、擬人化されたものであったり、心象風景であったり、表現方法は様々だ。いずれも近年めざましい活躍の作家たちばかり。旬の作家たちが思う「ひと」に、皆さんはどんな思いを巡らすのだろう。
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ピカソ、マティスと20世紀の画家たちーフォーヴィズムとキュビズムー2004年4月16日(金)〜5月16日(日) 福井県立美術館(福井県福井市)
マティスとピカソによって代表されるフォーヴィズムとキュビズム。20世紀初頭にフランスで起こった2つの美術運動は、いずれも当時確立していた絵画の秩序を離脱し、独自の画面構成によって新しい表現を開拓するものであった。企画展では、それぞれを代表するマティス、ピカソと同時代の画家たちの作品約100点を展示し、この2大美術運動を紹介している。 マティスの作品では、フォーヴィズムがその全盛を迎えた1909年の「腰掛ける少女」、その後暮らした南仏での穏やかな生活が表れる「待つ」、そして晩年に独自の世界を繰り広げた「切り紙」の連作などを展示している。他に、筆による大きなうねりと純色の多用が印象的なルイ・ヴァルタ。アルベール・マルケは、フォーヴィズムの特徴が色濃い1899年の「裸婦〈通称フォーヴ裸婦〉」、画風を変え中間色を使用して柔らかく描いた1924年の「ボルドーの港」が並ぶ。画家がフォーヴィズムに傾倒した時代のものに限らず、その後の「絵画の秩序への回帰」が見て取れる中期、後期の作品も同時に展示しており、それぞれの画家がフォーヴィズムから始まり到達した表現を、丁寧に追って見ていくことができる。
キュビズムを代表するピカソは、教科書などで馴染みのある「ドラ・マールの肖像」、「剣を持つ男」や「肘掛椅子にすわる女」といった、よく知られる作品が並ぶ。ピカソと同時期に同じように新しい試みを進めたジョルジュ・ブラックは、キュビズム初期の頃の「ヴァイオリンと楽譜」、コラージュ等を試みた総合的キュビズムの時代、その後の独自性が強く表れた静物画などがある。ピカソ、ブラックに続いたファン・グリスでは、コラージュを取り入れた「サイフォン、グラスと新聞紙」を展示している。 いずれも十数年と短い期間で終わった美術運動だが、その時代に与えたインパクト、またその後に及ぼした影響は大きなものであった。20世紀美術の新境地を切り開いた2つの運動を通して見ることで、各々の作品がまた違って見えてくる。 福井県立美術館 TEL:(0776)25-0452 |
今日の作家展2004ー人間のこころをめぐる表現ー2004年4月17日(土)〜5月23日(日) 金津創作の森(福井県あわら市)
「今日の作家展」は昨年に引き続き、横浜市民ギャラリー、文化フォーラム春日井・文芸館との3館共同で開催されている。前回は、人間と密接な関係にある“自然”がテーマであった。今回も人間の存在についてクローズアップし、人の内面に迫りその表出に独自の作風をもつ4人の作家を紹介している。 智内兄助は、装飾に富んだ美しい着物をまとう童女を描く。自身の娘をモデルにした作品は、艶やかともいえる少女の姿やまなざし、無防備な仕草が印象的だ。人間が本質的にもつ生き物としての側面を見るような居心地の悪さも感じられる。作品に描かれた幼い子供が見つめる先は鑑賞者のこころの内側なのかもしれない。 森脇正人が描くのは、暗く沈んだ背景の中にポツンと浮かび上がる人物。落ち着いた様子で立つのは、中国の少数民族・苗族である。古来の風習を守りながら自然と共存する苗族の姿は、絵画的な演出を省き、ただ静かにたたずむ姿を描くことで、その内面を写し出した。
ヤン・シャオミンはモノトーンの色調で、現代社会に生きる若者の姿を描く。細長く引き伸ばされた身体は、背を丸め、だらりと腕を垂らした、無気力で緊張感のない若者の様子を強調し、閉塞した若者の内面がリアルに表現されている。 橋口譲二は1980年前半、新宿や原宿にいた「不良」と呼ばれる若者にカメラを向けた。真っ直ぐにカメラを見つめる若者のまなざしは、どこか純粋で暗いものを感じさせない。1997年に橋口は次のような文章を記している。「今、何事もないように街を歩いている少年、少女たちと比べても、顔に〈険〉がないことに気付かされる」。20年の間で若者が失ってしまったものを、作家は懸念するのだろう。 金津創作の森 TEL:(0776)73-7800 |
加藤泰一陶展2004年4月15日(木)〜4月20日(火) 犀川画廊(石川県金沢市)
形はいたってシンプルで美しく、中国陶器のもつ上品な雰囲気を残しながら、普段の生活に取り入れやすいものを提案するのは京都の陶芸家・加藤泰一。金沢での個展は2年ぶり4回目。 加藤の実家では青磁をやっていた。当たり前のようにこの道に進んだ。青磁や白磁というと、高尚で近寄りがたい雰囲気を持つが、加藤の作品は大切に使いたい日用品といった感じ。緑の青磁、白の白磁、赤の辰砂(しんしゃ)が会場を彩り、上品で心地よい雰囲気を醸し出している。作陶するにあたって心掛けているのは「美しいもの」より「佳きもの」。関西の言葉で「いいもんやねぇ」といってもらえるものだとか。
加藤泰一は1964年京都市出身。同志社大学卒業後、京都府立陶工訓練校、京都市工業試験場、イタリア国立ファエンツァ陶芸専修校に学ぶ。現在は京都にて作陶し、
京都、東京、大阪、神戸、金沢、茅ヶ崎などで個展を開催している。 |
長嶋貴子・松崎隆 色・色硝子展2004年4月14日(水)〜4月26日(月) ギャラリーROSE+in(石川県内灘町)
長嶋貴子は、ガラスをキャンバスに見立てたかのように自由にイラストを描く。動物や人物をインパクトのあるユニークなキャラクターに仕立て、鮮やかな色彩でベタ塗りするのが特徴。壁に掛けられている歪んだ絵皿には独特の世界が広がり、作家の豊かな感性が光る。長嶋は1969年神奈川県出身。多摩美術大学を卒業後、佐々木硝子に勤務、富山ガラス造形研究所、金沢卯辰山工芸工房を修了。 一方の松崎隆は、カラフルでユニークな形のガラスが目をひく。タコの足やカニのはさみをイメージした足を持つ器など、ちょっとしたところに見られる遊び心がテーブルを楽しいものしてくれそうだ。松崎は千葉大学大学院工学研究科工業意匠学専攻修了。富山ガラス造形研究所、金沢卯辰山工芸工房修了。 |
奥田憲三展2004年4月15日(木)〜4月25日(日) ギャラリーアルトラ(石川県金沢市)
昨年3月に逝去した洋画家の奥田憲三氏は、日展会員、一水会常任委員を務め、石川県美術文化協会副理事長として石川の美術界を支えてきた1人である。今展では柔らかで優しいタッチが印象的な風景画や人物像など小品を中心に20点。氏が好んで描いた地元の風景画やイタリア、パリといった異国情緒漂う風景画、内面まで浮かび上がってくるような人物像など、写実の美を堪能することができる。「丘」は、のどかな風景が広がる丘からの眺めを描いた作品。のびやかで鮮やかな色彩が広がりのある空間を演出している。「トレド遠望」は、優れた構図と精緻な描写が味わい深く、旅情を誘う。郷土を愛した画家の想いが伝わってくるような作品展となった。
また、松任市立博物館では奥田氏の遺族から寄贈された作品を含む34点を紹介する「奥田憲三回顧展」が5月5日(祝)まで開催されている。こちらは日展や一水会展に出品されたものが主で、50号から100号を超える大作が揃い、見応えのある内容となっている。 |
春から初夏のガラスの器2004年4月9日(金)〜4月18日(日) ギャラリー萩(石川県加賀市)
実用的なものからオブジェ的な作品まで、幅広い用途に対応してくれそうなガラス作品が所狭しと並んでいる。明るい日差しはガラスを貫き、時には光りを閉じ込めて輝き、ガラスに相応しい季節がやってきたことを実感させてくれる。
ガラスとは液体であり固体であるという。1200度以上の高温で溶かし、液体状になったガラスを自由自在に固体に仕上げていく。そこがガラスの面白さなのだろう。オブジェ的な作品は内藤広宣。その作品はガラスでできているとは考えにくいほどずっしりと重量があり、存在感のある作品となっている。家族の集合体や顔を表現したユニークな作品なども見られ、ガラスの可能性は広がるばかりだ。もちろん職人肌のため、日常的使いの器にも手は抜かずきっちりとした仕事をこなす。一方の内藤紀子は女性らしさを打ち出した作品が印象的。ミルキィな色合いを出した春らしいガラスの器やちょっとした遊び心が嬉しい可愛い花器や器など、豊かな感性が光る。 |