今英男個展

2004年5月21日(金)〜5月30日(日) ギャラリー点(石川県金沢市)

「ぎくしゃく」杉

障害者施設の理事長をこの春退任し、気持ちの整理をつけるためにこれまで手掛けた作品を発表した。木彫が盛んな富山県井波町で学んだ職人でもある。普段は精巧なものを手掛けているためか、時には豪快な作品も手掛けたくなるのだろう。木の持ち味を生かした約30点の作品が創造の美を見せてくれる。心象を表現するものもあれば木の自然な反りを活かしたシンプルな作品も見られ、長年木とふれあってきた者が知る木の魅力に溢れている。

「ゆらユラ」楠・桐 「板」栗

「ぎくしゃく」や「ゆらユラ」は自らの気持ちを木に託して表現したものだ。「板」は自然な反りを活かしたユニークな作品。これは床に配置すると絶妙な木の反り具合が新たな表情を見せてくれる。また、漆が塗られた板に「いろはうた」や単位など文字を刻みこんだものや枝と組み合わせたものなど遊び心溢れる作品も出品された。木の温もりを感じながら、我々が日常では気付かない木の魅力を再発見することができるだろう。

今英男は日本海造型会議会員、一陽会会員。平成2年から平成4年まで行われた首里城復元の際、木彫部分を担当した経歴の持ち主でもある。

ギャラリー点 TEL:(076)298-9680


花と緑と物語展

2004年5月20日(木)〜5月26日(水) G-WING'Sギャラリー(石川県金沢市)

小川惠美子「ねこは色々おもいつく」
鴨頭みどり「猿雛」
河原まり子「5月 MAY」
今村由男「儚きものたちの宴」

新緑が眩しい季節を室内でも楽しんでもらおうと企画された展覧会。7名の作家が「花と緑と物語」をテーマにした作品を出品。参加したのは、朝倉晶、鴨頭みどり、河原まり子、小川惠美子、中西真三、今村由男、樋勝朋巳。

陶芸の朝倉晶は花や緑を引き立ててくれる飾り気のない花器。鴨頭みどりは動物や精霊を陶で表現。活き活きと表情豊かなそのユーモラスな姿は、今にも彼らのはなし声が聞こえてきそうだ。小川惠美子はクレヨンなどを使用して、動物を描いた。落書きのようなタッチや粒子の粗い顔料で描いた作品もあり、質感の面白さも楽しめる。河原は花や緑溢れる山々を描き、室内に清々しさを運んでくれる。中西は木々の揺れる音や匂いまで伝わってきそうな賑やかな山々を個性的に表現した。

版画の今村由男は繊細な線で花々を表現。セピア調の背景に浮かぶ極彩色の花々が可憐で美しく、しっとりとした雰囲気を漂わせている。同じく版画の樋口朋巳は優しい色使いで和ませてくれる作品。作品それぞれから小さな物語が生まれてきそうだ。

梅雨を目前に控え、今が見ごろの新緑の季節を充分に楽しみ、ゆっくりと物語の世界に浸る。そんな心のオアシスになる和みの空間がそこにあった。

G-WING'Sギャラリー TEL:(076)238-0788


中西 和 展

2004年5月20日(木)〜5月25日(火) 犀川画廊(石川県金沢市)

中西和
「春容」
「蓮華図」

「絵とは言葉では言い尽くせないものを表現したものだと思うね」と中西和(むつみ)は語る。作品は作者の手を離れてしまえば、あとは見る側に委ねてしまうだけ。作品に対してどう感じるか、それは作者が関与できるものではない。「見る側にも受け入れるものがないと駄目だけどね」とニヤリ。なかなか手強そうな人物である。(実際は豪快で楽しい方でした)

中西の作品にはテーマも、決まったモチーフもない。描きたいものを描くだけである。いったん下地に墨を塗り、洗い流すという行為を繰り返したのち、水彩絵の具で着色。風景や静物、植物など絶妙なトーンでまとめられ、白の表現には白い絵の具を使わず、色を削りとるという手間ひまのかけられた作品。とくに決まった名前は付いていないのだが、水彩に独自の工夫を凝らし描くという中西流の画風は、柔らかでありながら強く、見る者を惹きつける。言葉はなくとも作品が発する力に圧倒されることだろう。

中西は1947年奈良県出身。金沢美術工芸大学在学中は非常に不真面目な生徒だったらしく、油画よりも美術史の方を熱心に勉強した。卒業後は油絵の技法が肌に合わないと独自の手法で画風を模索してきた。今回の個展は、大学の恩師に作品を見てもらいたいという思いから開催された金沢での初個展となった。

犀川画廊 TEL:(076)241-4188


風景画を描く・見る・楽しむ

2004年4月27日(火)〜6月27日(日) 小松市立宮本三郎美術館(石川県小松市)

会場の様子
「箱根」1962年頃

小松市出身の画家、宮本三郎が執筆した『少年の画室』は、初学者に向け絵画の技法を丁寧に説明したものだ。描き方から始まり、技法の効果、作品から読み取れることについて、画家の心構えなど、内容は広範囲にわたっている。この本の内容をもとに、段階を通して風景画の多角的な楽しみ方を学びつつ、絵画作品を観賞しようと企画されたのが今回の展覧会。

「トレドの道」1952-53年頃
「渓流」1959年

絵を描くことによって画家は物事の別の一面を発見すると、『少年の画室』で宮本は言っている。普段何気なく眺める景色には様々な色があり、明暗があり、複雑な形がある。画家は平面のキャンバスに奥行きを描き、風を描き、その雰囲気を取り込もうとする。そうして考え出された技法を駆使し風景画は描かれるのであるが、作品を見て感じるのは技法ではなく、画家が作品に込めた思いやその印象である。絵画の手法だけにとどまらず、作品の多様な見方を『少年の画室』は提案している。

会場では、「遠近感を表す方法を知ろう」「構造的に見た自然」「地平線がポイント」などといったテーマとともに、本から抜き出した一節をパネルとして展示し、技法が読み取れる作品と合わせて分かりやすく説明している。

小松市立宮本三郎美術館 TEL:(0761)20-3600


大原裕行・西房浩二 2人展

2004年5月15日(土)〜5月23日(日) 美術サロンゆたか(石川県金沢市)

大原裕行「冬日の水がめ(白い花)」F3
西房浩二「風の強い日」F8

水彩連盟会員、日本美術家連盟会員の大原裕行と、昨年9月から文化庁美術家在外研修員として現在プラハで研修中の西房浩二。抽象と具象、水彩と油彩、対照的な作風を見せる実力派の2人が新作を含む40点を発表している。

大原の作品は抽象的ではあるが、難解な作品ではない。物の個性やイメージを的確に捉えては独自の表現で作品にするため、ところどころに具象的な表現も見られる。色の重ね具合、筆の運び方といった全ての作業が痕跡となって残ってしまう水彩だが、大原はその特色であるにじみやぼかしを効果的に活かしている。大原は油彩の作品も出展しており、水彩との比較も楽しめそうだ。

西房は徹底した写実絵画であるが、単にモチーフを写し取るのではなく、そこに流れる空気や時間まで捉えているようだ。澄み切った空気さえも感じられるようなプラハの朝の眺望や卓上に置かれた果物を描いた作品など、どこか懐かしさを覚えるような作品を発表している。プラハでの研修が今後の作品にどんな影響を与えていくのか注目したい。

大原裕行は1967年千葉県出身。三橋兄弟治に師事。第1回水彩展OHARA・大賞受賞、 第2回千葉市文化新人賞受賞など水彩を中心に躍進中の若手作家。西房浩二は1960年石川県出身。日本大学芸術学部卒業。昭和会展日動火災賞受賞、安田火災美術財団奨励賞展秀作賞受賞、前田寛治大賞展大賞受賞と、ますますの活躍が期待される。

美術サロンゆたか TEL:(076)232-1341

「原っぱ」

2004年5月13日(木)〜5月23日(日) インフォーム・ギャラリー(石川県金沢市)

会場の様子

昨年、金沢美術工芸大学日本画専攻を卒業した牛島孝(うしじま こう)の金沢では8回目となる個展。在学中から精力的に活動を続け、感情的な線が印象に残る作品を発表してきた。「原っぱ」と題された今回の個展では、それまでによく描いた人の顔であったり、鳥などの小動物の姿が消えている。取って変わりモチーフとなったのは、山や木、家といった風景だ。描く対象が変わっても、作家が見つめるのは自分自身と、自らが身を置く環境やそこにある空間である。

制作活動は、自分の本質、魂や核となるものの探求であるという。そして今は「からっぽ」に行き着いた。「からっぽ」といっても、行き着いたのはただ何も無い空間ではなく、「からっぽ」が形成するひとつの世界である。自分の核にそんな世界を見つけた。今を見つめる行為を通して、自分と周囲とをつなぐ空間や、そこにある空虚な感覚を作品に表現している。余白が生み出した空間は、密度が濃く、そこでは宇宙が広がっているように感じるという。見る人に、「からっぽ」の世界を通して、「自分が立っている今」を感じとってもらえればと話す。

「群馬青年ビエンナーレ’03」、「第21回一坪展」に入選。「HB FILE COMPETITION 2004」で大賞(副田高行賞)を受賞する。今年8月に、HBギャラリー(東京・表参道)にて個展を開催することになっている。

インフォーム・ギャラリー TEL:(076)221-1722


shimoo design exhibition

2004年5月10日(月)〜5月16日(日) G-WING'Sギャラリー(石川県金沢市)

X TABLE

生活が豊かになり、家具にも個性を求める人が多くなった。それと同時に豊かな感性を活かし、デザイン性の高い家具を手掛ける若い世代の作家も増えている。富山県に工房「shimons」を構える下尾和彦と下尾さおりは、高岡短期大学産業工芸学科木材工芸を専攻していた同級生であり、互いの感性が似ているという家具作家夫婦だ。

彼らが手掛ける家具は、温かみのある木目を活かし、和洋を問わずどんな生活空間にも馴染んでしまうモダンでシンプルな造り。そして個性が光るデザインが魅力である。例えば、通常1人で座るスツールを2つくっつけてしまったり、木をくりぬいたかのように見える棚など遊び心に溢れている。個性的ではあるけれども、生活空間や用途に応じて自由に使って貰いたいというのが作家の願いだ。そして、いつかミラノで開催される家具の見本市に作品を出展できればと、海外進出の野望を語ってくれた。

CONSOL TABLE

MODERN CHAIR シンプルな飾台たち

家具だけでなく、木目を活かしたシンプルな飾台やだまし絵のようなデザインでスタッキングできるトレーなどインテリア小物も興味深い。毎年開催されている高岡クラフトコンペでは、下尾和彦の作品が2度グランプリに選ばれており、下尾和彦のトレーとグラス、下尾さおりの飾台は、デザイン性の優れたものに与えられる「富山プロダクツ」に認定されている。


G-WING'Sギャラリー TEL:(076)238-0788


金錫中展

2004年5月7日(金)〜5月18日(火) ひろた美術画廊ANNEX石川県金沢市)

「日常−生成」 F100

「日常−生成」 F50
「日常−生成」 P10

韓国の芸園芸術大学校で教授を勤める洋画家・金錫中(キム ソック ジュング)の金沢初個展。京畿大学校一般大学院西洋画専攻を卒業。大韓民国美術大展では特選を重ねている。馴染みのない韓国の作家の個展とあって来場者も興味深げだ。

大作から小品まで約30点。淡い色調でまとめられた作品は絵本の挿絵のような印象を与える。「日常−生成」をテーマに、貼り絵のようにいくつもの層を重ねた画面に描かれているのは、鳥や蝶、魚や動物、植物など、この世界に存在する様々な生命体だ。

何気ない日常の中にも、一生懸命生きている生命が存在すること、どんな小さな生命にも輝きがあることを、作家は優しい眼差しで捉えている。また、自然と人間や建物を描いた作品もあり、自然との共生も訴えかけているようだ。生きていることが当たり前のように傲慢な顔をして生きている我々こそ、自然によって生かされているという謙虚な気持ちに戻って作品を鑑賞してみると、また違った見方ができるかもしれない。

ひろた美術画廊ANNEX TEL:(076)240-0007


第三世代の漆器展/基本概念を覆す機能美

2004年4月25日(日)〜5月25日(火) ギャラリーショップ&カフェ コニーズアイ(石川県金沢市)

「nero/ネロ」
「tea for one」

山中漆器独特の技法を生かしながら、機能的でメッセージ性のあるデザインを提案する、『たに屋』を紹介している。これまでに6回のグッドデザイン賞を受賞した山中漆器の老舗店は、自然からの恩恵を忘れてはいけないという強い信念から、国産の原木、化学塗料の入っていない本漆にこだわり、長く使える漆器の良さを作品の理念として打ち出している。

グッドデザイン賞を受賞した「ひとりぶん」は、山中漆器が誇る木地を挽く高い技術によって実現した形状で、ひとりぶんの食事を過不足なく摂れるよう工夫されている。

「応量器」
「脚つき椀」と「羽根つき椀」

今年、イタリアデザインの殿堂・ミラノサローネに出品を予定する「nero/ネロ」は、ちょっと見たところ漆器とはわからない四角い器。積み木のように重なったブロックはそれぞれが皿や箸置きとなっていて、木目を残した部分と下地を施した部分で切り落とした御影石をイメージさせる独特な素材感を出す。

茶道具の棗(なつめ)を模した「tea for one」は、カップ、茶托、茶漉し、茶漉し受けがセットになって、シンプルな形でまとめられている。茶漉しは京都の金網職人、辻和の手作りというこだわりの品でもある。変わったところでは、曹洞宗の僧が古くから使用している器を再現した「応量器と禅宗三点揃」。托鉢で見かけるのは外側の一番大きな器で、黒は修行中、赤は修行を終えた僧が本来使うものだが、節目の記念品として購入する人も多い。持ちやすさを追求した「脚つき椀」と「羽根つき椀」は、人差し指と親指で軽くはさみ、力をかけずに持ち上げることができる優れもの。

代々受け継いだ漆器の技法を守り、時代に対応したデザインを提案することで、漆器を使うことの楽しさや日本人が古来より培った感性を伝える、『たに屋』はそんな数少ない老舗のひとつだ。

ギャラリーショップ&カフェ コニーズアイ TEL:(076)239-1818


現代書 山本大廣展 −花ヲ尋ネ水ヲ尋ヌ−

2004年4月24日(土)〜5月3日(月) 小堀酒造萬歳楽本店(石川郡鶴来町)

「詩人たちの言葉や詩歌、花や水に関わる文字にふれ、イメージを大きくふくらませた花や水へのオマージュである」と書家・山本大廣はこの展覧会について述べている。その言葉通り、作品には花、水聲、月華、日月山川 、花行、水行、野花、水魚、芍薬、 櫻、蘭といった花や水、自然に関した言葉が独特の書体で表現されている。

文字として読み取ることができるものは少なく、むしろ見る側の創造力を掻き立てるような記号のように映る。山本は文字を書くのではなく、文字を描いているようだ。普段なにげなく使っている言葉ひとつひとつの意味を考えさせられるほど、山本の作品は力強く、優しい。

HA・(芭) HEI・(萍)

山本大廣は1939年福井県鯖江市出身。現在、毎日書道展審査会員。奎星会同人会員。 個展や美術館での企画展出品のほか、新聞広告や包装紙、ロゴなど書とのコラボレーションを展開しており、その魅力を伝えている。今展では様々なサイズの和紙に書かれた作品が78点が出展されており、書の魅力を存分に味わうことができる。

小堀酒造萬歳楽本店 TEL:(0761)93-1180


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