小野忠弘展−アンチプロトン−

2004年10月9日(土)〜10月31日(日) ガレリア(石川県石川郡)

「アンチプロトン」1959年(左)
会場2F
「おんな」1976年

1913年に青森県に生まれた小野忠弘は、88歳で他界するまで、およそ70年間制作を続けた。東京美術学校彫刻科を卒業後、徳島県の中学校を経て、福井県立三国中学校に美術教諭として赴任し、福井大学では非常勤講師を務めている。

彫刻から出発し、立体や平面を既成の枠やジャンルに当てはめることなく精力的な活動を続けた。絵画作品においても絵具の塊のひとつひとつで空間を造形的に捉えた作品を発表し、その独特な造形意識は、サンパウロやヴェニスビエンナーレなどの国際的な舞台で高い評価を受ける。

ピンポン球やガラス、流木などの廃棄物を用いた作品「アンチプロトン」は、1959年にアメリカのライフ誌でも紹介され、このときジャンクアーティストとして、マルセル・デュシャンらと並び「現代美術分野の世界の7人」に選ばれている。同タイトルの作品は未完の1点を除いた3点が残されており、今回はそのうちの1点を、未完の作品と合わせて紹介する。

その他、車輪や瓶、チューブといった廃材をはめ込んだものや、針金やひもで跡を付けたもの、女性の体をデフォルメし厚い油絵具で表現したものなど、各年代で作風が激しく変化した作家のさまざまな作品を見ていくことができる。

ガレリア TEL:(0761)93-0403


絵画・版画・彫刻 秀作展

2004年10月1日(金)〜10月15日(金) アートギャラリーコンフリー(石川県石川郡)

 
宮本三郎「舞妓」
 

収集した作品を中心に展示を行うアートギャラリーコンフリーでは、宮本三郎の作品をメインに、高光一也「モンマルトル」「バラ」、上村松園「序の舞」、中川一政の小品を紹介する絵画や版画などの秀作展を開催している。宮本三郎では、舞妓を描いた「折鶴舞妓」「トランプ舞妓」「松の内舞妓」「かがみ舞妓」「おこしらえ舞妓」といった、見応えのある作品5点を展示した。

同ギャラリーは、別小部屋にて北陸日彫会会員27名の作品を常設し、3ヶ月に一度展示替えしながら紹介している。また今年7月、日彫会会員による彫刻小品展を開催するなど、意欲的に展示を行う。

アートギャラリーコンフリー TEL:(076)294-2299


松下久信洋画展

2004年9月10日(金)〜9月20日(月) ひろた美術画廊ANNEX(石川県金沢市)

「北の大地」2003年
「水門のある風景」1985年
「浅春の安曇野」1992年
「早春譜」

金沢市在住の画家松下久信は、北海道美瑛の雄大な自然に惹かれ、多くの山々を描く。雪がまだ残る早春の美瑛の大地を描いた「北の大地」は、昨年春の作品で、日展特選に選ばれている。

山を愛する人には色々なタイプがあるという。登山をする人や山に住む人、そして山を描く人と様々。作家は描くことで山を表現し、その時々で変化する北海道の美しさを伝えたいという。晴れた日の空の青さや曇った日のどんよりとした黒さが、北陸と比べ、北海道ではよりはっきりと表れる。春と秋は、そういった空の変化を楽しみながらスケッチ旅行に出掛けている。

今回、美瑛で描いた作品を中心に、安曇野の山々、白山を描いた作品を展示。芽吹く季節の静かな喜びや水面に映る水門が揺れる様子などを伝え、自然に対する敬意を感じさせる。

松下久信は、1941年金沢市生まれ。一水会会員、日展会友。

ひろた美術画廊ANNEX TEL:(076)240-0007


中島望展「テイク・プログラム」

2004年8月27日(金)〜9月12日(日) 金沢市民芸術村アート工房PIT5(石川県金沢市)

市民芸術村で行う、リアルタイムな映像も
 
テーブル板のドローイング

金沢美術工芸大学出身のアーティスト、中島望が6年間続けてきたインスタレーション作品「テイク・プログラム」。その様子を、記録ビデオで紹介する展覧会。

「テイク・プログラム」は、水と関わりのある場所で行われる。説明書と白いテーブル、水の入ったペットボトルをひとつ設置し、道行く人がテーブルにメッセージを書き残して、ペットボトルを持ち帰るというもの。香林坊や長町といった金沢市内各地、東京、富山などの県外で行われ、大勢の人々の興味を引きつけると共に、たくさんの書き込みがあった。書き込まれたテーブル板はドローイングとして収集し、アレンジしたものを公開している。水についての内容や「ありがとう」といったコメントなど、人々が足を止めて残したメッセージからは、その時のリアルな感情が伝わってきて面白い。

かねてから水の存在を特別なものと感じ、万物の源とされる水の無限性を考え始めた。それが、水を媒体にコミュニケーションを試みるきっかけになったという。

8月29日(日)に、小学生(3年生以上)を対象にしたワークショップを開催。日常で経験しない水との関わり方を提案し、参加者が新しい感覚で水に触れるプログラムとなっている。

1971年、岐阜県生まれ。大学卒業後、他県のアーティストプログラムを修了し、4年前から金沢での活動を再開した。中島望HP→http://www.interq.or.jp/earth/nozo/

金沢市民芸術村 TEL:(076)265-8300


城宝篤史洋画展

2004年8月20日(金)〜9月7日(火) ひろた美術画廊ANNEX(石川県金沢市)

富山を描いた「橋」
金沢を描いた「橋」
「電車」

ノスタルジックな作風に、いつか見た風景の一場面に引き戻されるような感覚に包まれる。富山県出身で、金沢で学んだ城宝篤史は、やわらかなタッチで馴染み深い地元の景色を描く。作品の中には必ず少女が描かれる。少女が川をのぞき込んだり、歩いたり、絵の中の世界を走り抜けようとする姿は、幼少時代に経験した夕暮れ時の記憶をぼんやりと思い出させる。暖かな風が吹き抜ける作品に引き込まれ、その風景に入り込むような錯覚も起こす。優しい色彩は、訪れる人にゆったりとした時間与えてくれる。

ボナールのような色彩に憧れる城宝篤史は、金城大学短期大学部の研究生を今年修了し、活動を始めたばかりの若手作家。絵画以外のことに興味を向けず、一途に描き続けてきた姿は、自身が描く絵と重なり純真無垢な印象を周囲の人々に与えてきた。今回は、そうした周囲の人々に支えられての初個展。

ひろた美術画廊ANNEX TEL:(076)240-0007


日本画小品3人展−風立つ日に−

2004年8月26日(木)〜8月31日(火) ギャラリーノア(石川県松任市)

水越八寿子「アジサイ」
山本宏幸「游」
新家康代「カメのたまご」

金沢美術工芸大学出身の新家康代、水越八寿子、山本宏幸による3人展。「小さな作品で展覧会を」と企画し、それぞれ10点近くの小品を持ち寄った。

新家康代は、友人宅にいたカメや、動物園でたまたま見つけたカピバラという世界最大のげっ歯類を描いた。そののんびりとした様子に惹かれたという。水越八寿子は、アジサイやコスモスといった花々を描く。小さく描かれてはいるが、花が持つ可憐な生命力が感じられる。山本宏幸は、鯉や秋刀魚、けん玉、風車、酒のボトルや置物など、モチーフは様々。たくさんの箔を配し色とりどりに描いた作品は、鮮明な色彩が印象に残る。

ちょっと部屋に飾りたくなる、手頃なサイズの作品が並ぶ。訪れる人々も気軽に立ち寄ったという様子。

ギャラリーノア TEL:(076)276-4486


今井美智ガラス展

2004年7月16日(金)〜8月8日(日) 高澤ろうそく店(石川県七尾市)

窓際が似合うガラス達
「氷上灯」
「薄氷の皿」と「Mellow vessel」

冬の朝に小さな水溜りで見られる薄くて脆い氷。そんな薄氷がテーブルの上に現われたかのように「薄氷の皿」が並んでいる。また、あちこちに並べられたガラスには、「波紋の器」「空気の器」「雫の小皿」「透明な刺繍の器」といった、詩的タイトルが付けられ、その色や形は甘いお菓子を連想させる。グラスや小鉢、片口といった器たちは、形は不揃いだけれどもしっかりと手に馴染み、使いやすそう。独創的な形ながら、今井美智の作品は自然と調和し、優しさを感じさせる。

会場となったのは、七尾市にある和ろうそく店の2階。暮らしの中にろうそくの優しいともしびを灯して欲しいというオーナー側の願いもあり、展示作品にはろうそく立てや燭台を取り入れている。今井のろうそく立ては、雫を思わせるぽてっとした形。指先でちょんっと触ってできたような突起部分にろうそくをさして使用する。また、すりガラスの鉢に水を張り、ろうそくを浮かべて使用するのも涼を感じさせるしつらえだ。ろうそくが幻想的な光を放ち、その影さえも美しい。光と影という相対するものを上手く取り込み、ガラスは人々を魅了してやまない。

今井美智は1971年京都府出身。東京ガラス工芸研究所卒業後、能登島ガラス工房勤務を経て、現在は金沢で制作しながら、個展やグループ展を開催している。全国でもレベルが高いとされる石川のガラス工芸。作家活動も楽ではない時代だが、自分のスタイルを崩さずに制作を続ける若手作家たちは増えている。確かな技術と個性を武器に、新しいガラスを創造してもらいたい。

高澤ろうそく店 TEL:(0767)53-0406


寅若 繁 ―旅によせて―展

2004年7月22日(木)〜7月27日(火) ギャラリーノア(石川県松任市)

寅若繁と「蓮華(白山)」

スケッチブックと共に全国各地を訪れて描いた風景画を一堂に展示した。「旅によせて」という旅情を誘うタイトルに期待は高まる。北は北海道・函館から南は対馬まで豊かな自然や名所旧跡、繁華街の裏通りなど、画家の眼を通して描かれた風景にちょっとした小旅行を楽しんだ気分になる。外国の風景画があってもよさそうだが、今回は国内のみ。「どうしても外国だと実際に見たままを描くだけになってしまう。日本に住み、肌で感じた風景を表現したい。」と話すのは一水会委員の寅若繁。

「函館の協会」 「愛し子」

描きながら、その土地の画家や詩人たちに思いを馳せるという。その時の思いなど取り入れ、土の匂いを感じられるような作品に様々な思いがよぎる人も少なくないだろう。

寅若といえば農婦の絵のイメージが強いが、今回も油彩やスケッチで様々な農婦を表現。「愛し子」は乳を吸うわが子を抱いた若い母親の姿。年配の方には懐かしい日本の風景のように映る、温かい作品だ。このほか、美しい姿を見せる白山や椿など油彩画も含めた43点が郷愁を誘う展覧会となっている。

ギャラリーノア TEL:(076)276-4486


松栄清彦 木遊展

2004年7月15日(木)〜7月20日(火) ギャラリーノア(石川県松任市)

「祭壇」
「燠(おき)」
「カーマスートラ」

「作品を抱きしめてください」と言われ、ずっしりとした重みのある作品を抱えてみる。目を閉じてその形を確かめながら触ってみると、木の温もりや感触を感じることができ、不思議と心が和んでくる。彫刻でも木彫でも、オブジェでもない。それが松永清彦の人の心を癒す立体作品なのだ。

「燠」は、女性を抽象的に表現した作品。加賀の女性は内に燃えるようなものを秘めた人が多いという。そんな姿を形にし、赤と黒の漆で塗り固めた作品は、どこかエロティックな雰囲気を感じさせる。「カーマスートラ」に対しては、いやらしさを感じる人もいれば、人類の根源だと褒める人もいる。硬い欅の木を中心に、丸みを帯びた柔らかいフォルムが美しい作品や鋭く削られた鋭角を持つ作品など様々で、形は独創的で創造性に富んでいる。タイトルの先入観にとらわれず、その形や感触から自由に感じてもらいたい。

「木に遊ばれてるんだよ」とにこやかに話す松永清彦は、金沢美術工芸大学在学中に長谷川八十氏に彫刻を師事。長く二紀会で活躍し、現在は会派に属さず自由な作風で木々との対話を楽しんでいる。木と遊び、木に遊ばれ、創造する楽しみが作品から滲み出ている展覧会である。

ギャラリーノア TEL:(076)276-4486


ピンポンアンドパダライス

2004年7月14日(水)〜7月22日(木) 金沢市民芸術村アート工房PIT5(石川県金沢市)

「TINT AND DYE」
「Outside-Inside」
「puppet's dance」

金沢美術工芸大学油画専攻4年、小谷真輔による個展。

会場に入って、まず目に止まるのはピンポン台と赤いエプロンを付けたパンダの写真。そばに置かれたTVには、ラケットを振るパンダの姿が延々映されている。自身の過去をパロディ化したという作品は、実際に体験してみることでその面白さに気付く。小型マイクを付けた小さな鍋をラケット代わりに、ピンポンボールを打ってみる。スピーカーから浮遊感のある音が響き、ピンポンをする時の愉快な感覚とは違う、別の感覚を体験することができる。

展示された作品は全て作家の個人的な体験、記憶、感覚がベースになっている。他人と共有することのない自身の内面的な経験を、作品として発表する。作品を見る人がそこから何かを感じて楽しんでもらえたら、と話してくれた。

金沢市民芸術村 TEL:(076)265-8300


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