遊具連関vol.3 土田俊介個展

2004年11月20日(土)〜12月5日(日) 金沢市民芸術村(石川県金沢市)

「筆談のための黒板」
「筆談のための黒板」

「59の贈与」「88の贈与」

シリコンと羊毛で作った「03-04」

《なにをもって作品を完成とするか》
金沢美大非常勤講師を務める彫刻家土田俊介は、 このテーマの下で制作を続けてきた。

黒板を利用して伝達を試みる「筆談のための黒板」は、2年前から発表している作品。黒板とそれを映すカメラ、モニターの一式を2カ所に設置し、壁を挟んだ2人が筆談をするというもので、自分の黒板は相手のモニターに映される。言葉を使わずモニターを通して筆談をすることで、相手に伝えることの曖昧さや危うさを実感する。

以前に台湾で発表している「59の贈与」「88の贈与」は、男女が紙を燃やし続ける様子を、2つの大きなスクリーンに映した作品。紙を燃やす行為は、紙でつくったお金を燃やす台湾の習慣を模倣したもの。同じ習慣を持たない人間が行うことで、この習慣が持っている意味は変わってしまう。台湾の人には、映像の中で行われる行為が自分たちの習慣とは全く別のものと映り、その一方で自分たちとつながる何かでもあると感じる。

見る人が作品と関わることで、作品の意味は変化する。展覧会では、作品から何かを感じるだけではなく、作品と関わることで新しい意味を見出す鑑賞のあり方を提案する。

「遊具連関」は、今年8月に土田俊介、廣瀬陽子、石崎誠和、喜多村徹雄の4人で結成したグループ。各地で『遊具連関vol.1〜5』を展開している。

金沢市民芸術村 TEL:(076)265-8300


西山彰展

2004年11月30日(火)〜12月13日(月) ギャラリー点(石川県金沢市)

「天空の扉(3)」
「天空の扉(5)」

「窓」

「指標」

石川県美術文化協会会員、西山彰による2年ぶりの個展。約10年前から二紀展、現代美術展に出品を続けている。

抽象的な背景の前に、翳りのある女性を大きく描いた作品が印象的。「女性」は現代人の象徴であり、作品が表現するのは、現代社会の閉塞感で、それは作家自身の行き詰まった心境でもあるという。なお、モチーフの“窓”は、希望や救いを求める気持ちから加わった。

表現のイメージを日常的なものや社会の世俗性に求める姿勢は、ポップアートの影響があるようだ。「好きな作家からの影響は否めないが、もちろんそこから自分の表現を確立したい。」と話す。キャンパスの切り張りをコラージュした従来の作品に加え、今回はアルミやプラスチックの板を組み合わせた試みも見られる。

女性画のほかに風景画も数多く展示する。より直接的で素直な色彩表現ができるという点で、風景画は作家にとって重要な位置を占めているようだ。女性画とは違う柔らかな感触が特徴といえる。

ギャラリー点 TEL:(076)241-2649


久保恵美子個展

2004年11月19日(金)〜11月28日(日) ギャラリー点(石川県金沢市)

「翼の中で」の連作
「イタリアの思い出」

「翼の中で」

二紀会同人、女流画家協会会員の久保恵美子による、金沢では2回目の個展。3年前の個展から書き貯めた大作9点に約40点の小品を加えて展示する。

大きな鳥と赤い服を着る少女のモチーフは、これまで何度も描いてきた。自分自身が守られてきた環境を、大きな存在として鳥の姿で描き出している。少女は作家自身の姿でもあり、また近しい人の姿を映したものでもある。温かな色彩で童話の中の一場面を思わせる、これら一連の作品全てに「翼の中で」というタイトルを付けているが、今年に入って作風に少し変化があったようだ。少女の姿が消え、色調にも温かみを失った作品は、社会の風潮が反映されている。

また、「翼の中で」の連作にはさんで製作した「イタリアの思い出」では、作家がイタリア旅行で見た建造物や絵画、彫刻をコラージュで取り入れるといった試みも見ていくことができる。

ギャラリー点 TEL:(076)292-2140


山本宏幸日本画展−游−

2004年11月19日(金)〜11月24日(水) グリーンアーツギャラリー(石川県金沢市)

「游」
「斑」
「游」

金沢市在住の日本画家、山本宏幸の個展。今年に入って3回目となる展覧会は、金魚をモチーフにした作品を中心に、風景画、静物画を展示する。

日本画では珍しく、作品サイズはタテヨコの長さを自由に設定したもの。現代の住宅に合わせ、飾りやすい大きさにしたいという強い思いがあった。金魚を真上から、または真横から描いた作品では、変形サイズの画面を上手く利用し、泳ぐ様子や水の流れが活き活きと表現されている。

作品には一貫して箔を使用している。普通ではなかなか見ることができない珍しい箔の中には、多色使いのカラフルなものもあり、作家自身楽しみながら色々な箔を試している様子。また今回は展示でも、“金魚”と“箔”で統一性を出し、その上でどのように変化を付けて見せていくかなど試みた。

昨年、大阪で開いた個展を皮切りに、神戸、名古屋など、県外での発表を積極的に行っている。来年は金沢を含め、全国4カ所で開催する予定。

グリーンアーツギャラリー TEL:(076)245-7222


奥村真美絵画展

2004年11月18日(木)〜11月23日(火) ギャラリーノア(石川県松任市)

「遊」S50
「夢見」S20
金沢を描いた風景画など
「余情」F100

今秋、一水会新人賞を受賞した奥村真美の個展。ギャラリーノアでは2回目となる展覧会では、油絵の大作からスケッチまで21点を出品した。

赤い着物姿の女性を切り絵のよう配置した「遊」は、複数の女性を正方形の画面周囲に巡らせて描いた迫力のある作品。女性を太い輪郭線で切り分けた作風は「夢見」でも見られ、どちらの作品もやさしい女性の表情が印象に残る。作家自身が日常着として着物を身に付けるほど、着物に愛着を持っている。着物とその絵柄は作品の背景にも取り入れ、額装でも着物生地を貼ったりと、艶やかな雰囲気の作品が多い。その他、白山を遠景に桜を描いた作品や浅の川を描いた作品など金沢の風景画や、牡丹のスケッチといった小品が並ぶ。

ギャラリーノア TEL:(076)276-4486


沢野井幸石水墨画個展

2004年11月5日(金)〜11月8日(月) 文真堂ギャラリー(石川県金沢市)

「冬木立」
「杜の住人」
「椿寿」

幸墨会を主催し、北國文化センターをはじめ県内12の教室で水墨画を教える沢野井幸石の展覧会。水墨画を始めて30年の節目として開催した。

今回のために1年前から準備し描きためておいた約30点の作品が並ぶ。モチーフを限定せず、その時の気持ちに合った制作を続けてきた。奥入瀬でのスケッチをもとに描いた「水響」のような滝をモチーフにした水墨画らしい作品をはじめ、紙作りから手掛けたというカブト虫と葡萄の葉を描いた「杜の住人」といった作品まで、作家の興味の広がりを伺える展示となった。

10年ぶりに開く3回目の個展は、詩情あふれる内容で、会場に爽やかな風を吹き込んだ。

文真堂ギャラリー TEL:(076)264-1836


出口順治展

2004年10月21日(木)〜10月26日(火) 石川県こまつ芸術劇場うらら/小松大和6階アートサロン(石川県小松市)

「残照」2004年
「北陸’98」1998年
「晩秋」1998年

示現会会員、日展で7回入選実績のある、小松市出身の画家出口順治の個展。

小松の海で育ったためか作品に登場するのは、壊れかかった漁師小屋、荒れる冬の海、雪で白くなった浜辺、北陸のどんよりとした空といったものが多い。写実を追究して描くモチーフは、作家が一番安堵できる、思い出深い場所ばかりだ。力強く筆致で描かれた荒々しい風景には、作家の繊細で優しい視線が注がれ、独自の世界を作り出している。

「稚拙」という言葉が今の自分のためにあるような気がする、と作家は話す。それは、描き続けてきた作家がまだ納得できず、これからもキャンバスに向かうことを決意する言葉とも受け取れる。

1943年、小松市生まれ。東京銀座文藝春秋画廊、香林坊大和、ひろた美術等でたびたび個展を開催。


法邑利博展−描くこと・染めること−

2004年10月29日(金)〜11月3日(水) グリーンアーツギャラリー(石川県金沢市)

 
 
 

二紀会同人、法邑利博の個展。二紀会に出品するようになって30年目を迎え、その節目にと開催した。

今年制作した作品を含めた大作4点を中心に紹介する。作品のテーマとなっている「空想の世界」は、作家が制作を始めた頃から変わっていないが、二紀展に出品し始めた当時と比べて、環境や自然を意識した作品が多くなっているという。画面半分ほどに大きく描かれた女性の顔や大きな手では、目に見えないものの存在が表現されている。地上をかざす手、世の中を俯瞰しあらゆる生物の営みを見つめる女性は、それぞれが万物を支配する大きな力を示す。

友禅作家としても活躍し、今回の展覧会では絵画で描いたモチーフとのつながりを感じさせる友禅の作品も紹介する。

1948年、金沢市生まれ。安田火災美術奨励賞、現代美術展最高賞などの受賞歴を持つ。

グリーンアーツギャラリー TEL:(076)245-7222


寺田栄次郎ドローイング展

2004年10月21日(木)〜11月2日(火) ギャラリーノア(石川県松任市)

 
「果実」
「EVA」

箔を背景にテンペラと油彩の混合技法で描く寺田栄次郎の個展。洋画、日本画といった作品を手掛ける一方で、ここ数年ドローイングへの関心が高まり、その占める割合が多くなったという。

4年前に百合の花を描いたドローイング作品がきっかけで、黒箔と白い下地から生まれるコントラストに惹かれるようになった。女性の肌を生かす技法としても好んで使うようになり、今回も女性が描かれた作品を多く目にすることができる。

20数年から箔を扱い、7〜8年前からは金箔を研究していることもあり、作品にはさまざまな手法で箔を取り入れている。背景をテンペラで描き、中心のモチーフは白く抜いた状態で完結する小品では、金箔を効果的に置くことで、小さな作品にも存在感を持たせた。

1950年、名古屋市生まれ。国画会会員、金沢美術工芸大学教授。

ギャラリーノア TEL:(076)276-4486


四ツ井健友禅作品展

2004年10月20日(水)〜10月25日(月) 金沢・あーとふく(石川県金沢市)

額装の和紙作品など
珈琲タンブラー
古帛紗など

金沢市出身の友禅作家四ツ井健による個展。友禅工房で25年間勤めた後、2年前に独立し、昨年「茶会」をテーマに初めての個展を開催した。2回目の今回はテーマを設けず、この1年間で試み、様々な形で実現した友禅作品を展示する。

普段から着物を身に付けない人にも友禅の良さを知ってもらい、身近に置いて欲しい、という思いから、和紙を利用し、額装した色紙大の作品や珈琲タンブラーなど着物からかけ離れたアイテムを制作。友禅と同じ工程で「和紙」に描いた作品が、使い勝手を広げている。

四ツ井健は1962年生まれ。着物や帯、懐紙入れといった従来通りの友禅を制作することはもちろん続けるが、独立を機会に、屏風や襖などこれまで手掛けるきっかけがなかったものも作っていきたいと話す。

金沢・あーとふく TEL:(076)292-2969


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