赤と青展

2005年1月13日(木)〜1月19日(水) G-WING'Sギャラリー(石川県金沢市)

竹内靖「色絵四方鉢」(下)、赤地径「赤絵草文花生」(上)
赤地径「鴨徳利」「千鳥形ぐいのみ」(右)、竹内靖「瓢徳利」「六角ぐい呑」(左)

竹内靖「隅入角皿」「祥瑞湯呑」「筒湯呑」

赤地径「急須」「楓型小皿」「赤絵花文長湯呑」

毎年、年始めに開催し、今回が3回目となる「赤と青」展は、G-WING'Sギャラリーではすっかりお馴染みの企画展。今年も赤絵の赤地径と染付けの竹内靖、2人の九谷焼作家が参加した。展覧会の魅力は、赤と青の対比。それぞれが全く違った表現でみせる、若手作家の独創的な作品を紹介する。

2人は同年代ということもあり、九谷焼の伝統を踏襲しながらも、現代の生活に合った普段使いの器を制作する共通点をもつ。牡丹や桜などが軽やかに描かれたコーヒーカップや小皿、古典的な文様がベースとなった茶碗や箸置きなど様々だが、どれも身近で親しみやすく、すぐに使いたくなるものばかり。趣向を凝らした作品も、使う人のことを考えて飽きのこないものを心掛けているようだ。

赤絵と染付けの作品は、互いの魅力を引き立て合うようにちょうど良く並べられた。2年程前から作るようになったという竹内靖の色絵も加わり、鮮やかな色彩で来廊者を楽しませている。

G-WING'Sギャラリー TEL:(076)238-0788


高橋治希展 風景の感じ方

2004年12月26日(日)〜2005年1月9日(日) 金沢市民芸術村(石川県金沢市)

 
風景が花びらに描かれている

会場の一面に広がる

作品の前に立つ高橋治希

「風景の感じ方」をテーマに創作を続ける現代美術作家、高橋治希の個展。映像作品が中心だったこれまでの活動から離れ、今回“九谷焼”を素材にした作品に取り組んだ。12歳まで住んでいた金沢に美術教諭として戻ってきたのは2年前。県内の美術館をひと通り見て回ろう、と決めたことがきっかけで九谷焼と再会する。子どもの頃は馴染めなかった九谷焼だが、改めて見た時、そこに素材としての魅力を見つけたという。

展示するのは、九谷焼で作った枝や葉、花のパーツを渦巻き状に繋いだ作品で、直径8mほどもある大きなもの。大小さまざまな花や葉には、町並みや山の風景が、九谷の絵具で色とりどりに描かれる。ひとつひとつのパーツを天井から釣り下げ、腰の高さまで宙に浮かせた様子は、モチーフとなった植物の生命感と重なって、ひとつの惑星のようにも見える。

私たちが風景を見る時、これまでの記憶に織り込んで、新しい風景を紡ぎ出している。紡ぎ出される風景に同じものは2つとなく、風景は次々と生み出されていく。作品は、作家自身の中で風景が生み出されていく感覚を、草木の生長になぞらえて表現された。

高橋治希は、1971年金沢市生まれ。東京芸術大学大学院後期博士課程修了。ロンドンや北京での留学を経て、現在は県立金沢錦丘中学校・高校教諭を務める。

金沢市民芸術村 TEL:(076)265-8300


西房浩二 プラハを描く

2004年12月17日(金)〜12月27日(月) ひろた美術画廊ANNEX(石川県金沢市)

「Praha冬」
「冬の朝」

「樹間」

「塔から」

昨年9月から文化庁派遣委員として1年間をプラハで過ごした、画家西房浩二の個展。プラハを選んだのは、世界遺産でもある美しい街で制作したいという思いからだが、それ以上に、チェコ特有のモノクロ写真の表現に惹かれていた理由があるという。

写実を追求すると写真に近づいてしまう。具象画を描いてきた作家は迷いを抱きながらプラハへ向かい、そのアートシーンに触れる。以前から惹かれていた写真作品も含め、数多くの作品と出会った。複雑な歴史的背景を持つ国で生まれた本質に迫る作品群は、作家に答えを導いたのだろうか。「作品は変化していくだろうが、具象表現を続けていくことに迷いはなくなった」と話してくれた。

聖ミクラージュ教会やプラハ城、カレル橋といったプラハの風景、近郊の町を描いた水彩画を中心に、油絵を含め作品30点を展示。来年9月にスロバキアで、また再来年にはチェコでの個展を予定している。

ひろた美術画廊ANNEX TEL:(076)240-0007


国友博絵画作品展

2004年12月10日(金)〜12月15日(水) ギャラリー忙中閑有(石川県金沢市)

「River of Dream 夢の川2005」
「石蹴り」

「駄菓子屋」

来廊者と話す、国友博

画家であり、ギャラリー忙中閑有(ぼうちゅうかんあり)のプロデューサー、国友博の2年振りの個展。

「次の世代の作品発表のお手伝い」をする目的でギャラリーを運営する。ただ作品を見るだけのギャラリーではなく、職業を問わず老若男女が集う場所にしたいという思いから、10人程が座れる椅子とテーブルを置いている。ヨーロッパの街中で見る“広場”のような空間を思い描いたという。

作品にも“広場”をよく取り入れている。100号の大作「River of Dream 夢の川2005」の中の大きな街にも、沢山の“広場”があり、そこでは様々な会話が飛び交う。この街の小さな路地や人々をモチーフに、「石蹴り」や「駄菓子屋」といった小品が描かれたという。これらの作品は、広場の活気ある様子を伝えている。来廊者は思い思いの場所で腰を掛け、地中海の国々を思わせる明るい色調の作品を眺めながら会話を楽しんでいた。

国友博は、1957年、大阪市生まれ。金沢美大油画科を卒業し、一創会、現代美術展への出品を重ねながら、金沢で活動する。近年では、友禅染のデザインを手掛けるなど、活動は多岐に渡っている。


山瀬晋吾文房四宝展

2004年12月9日(木)〜12月14日(火) ギャラリー千代堂(石川県松任市)

 
干支シリーズ「辰」

「柏」

「藪柑子」

日展会員、日彫会会員の山瀬晋吾の個展。ブロンズやテラコッタの彫刻で知られる作家が今回発表するのは、陶器や陶磁器による文房具。大きな作品の制作の合間に手掛けたものだというが、干支でシリーズ化した文房具セットがあったり、水彩で描いた掛け軸を壁に飾るなど、来廊者を楽しませる心掛けを忘れない。

“文房四宝”とは、本来なら筆、紙、硯、墨のことを指すが、ここで展示するのは筆架、陶印、陶硯、墨床の4点セット。もともと粘土製文具の制作は教材研究として始めた。古くから使われてきた文房具の文化を教材開発として取り上げ子どもたちに伝えたいという想いがあったという。

掛け軸なども含めると、単品で数えて150点の作品が並ぶ。このほとんどが今年1年間で制作したもの。メールが多く使われる今の時代に、「自作の陶硯で墨を擦る」「毛筆で手紙を書く」「封筒に入れて封をする」「自作の封緘印を押す」、そんなゆとりを提案する。

ギャラリー千代堂 TEL:(076)275-0305 


FELT WORK '04/部屋にフェルトを飾りましょう

2004年12月4日(土)〜12月26日(日) コニーズアイ(石川県金沢市)

「feltイラストレーション」
「みの虫ハウス」

ブローチやコースターなど

ハンドメイドフェルトによるイラストレーションやインテリアエレメントなどを制作するヒロネアヤコ。金沢美大商業デザイン科を卒業後、パッケージデザイナーを経て、現在は専門学校の講師などを務める。ハンドメイドフェルトに出会ったのは3年前で、個展は3回目となる。

草花や昆虫、貝など自然の生きものをモチーフに、フェルトの温かみのある素材感を生かした「てんとう虫のブローチ」や「お花のコースター」などを制作。壁に掛ける「みの虫ハウス」はフラワーベースとしても活用できそう。切り絵風のカラフルなプレート「feltイラストレーション」は、植物を増殖するようなイメージで制作したという。今回は「feltイラストレーション」に、コニーズアイで扱う有名デザイナーの椅子をモチーフにした作品を加えて展示している。フェルトの性質上、形の細部まで表現することは難しいが、単純化していく作業は楽しいと話してくれた。

コニーズアイ TEL:(076)239-1818 
■「土、うがつ。李將勲展/器と灯りを楽しむ」同時開催


土、うがつ。李將勲展/器と灯りを楽しむ

2004年12月4日(土)〜12月26日(日) コニーズアイ(石川県金沢市)

大鉢、醤油指しなど
「せんべいまめ皿」

「四つ足」

「人が見て楽しいと思う作品を作りたい」と話す李將勲の作品は、豆皿や大鉢といったものをはじめ、四つ足の不思議な生き物をかたどったランプなど。作家自身も楽しみながら制作している様子が伺える。

学生時代に西アフリカの人形のプリミティブな造形に出会い、惹かれるようになった。その時に受けた印象は、首を振る“張り子”のトラが持つユーモラスなイメージとなって成形されたという。小皿にしても、限られた面積の中で釉薬を絵具のように扱い、様々な模様で描き出した「せんべいまめ皿」など、遊びごころがある。

1970年、大阪府生まれ。大阪芸大で油絵を学んだ後、韓国慶州南道三千浦にて李桂安氏に師事。日本に戻り、陶芸研究所等を経て、2001年石川県小松市で築窯した。

コニーズアイ TEL:(076)239-1818 
■「FELT WORK '04/部屋にフェルトを飾りましょう」同時開催


橋本美智子展

2004年12月4日(土)〜12月12日(日) 美術サロンゆたか(石川県金沢市)

「無題」
 

「時軸」

 

昨年4月から1年間、パリに渡り活動した橋本美智子の個展。パリ滞在中に制作した作品と帰国してからの新作、約70点を展示する。

画面に走らせたラインの組み合わせからアウトラインを模索し、形を完成させる手順で制作する。黒く塗り込められた部分には、始め沢山のモチーフが存在していたという。もともと抽象画を描いていたが、パリで制作した作品には、さらに自由でシンプルになった印象がある。石畳のパリの町は、意外と緑が少なく、シックでシンプルだったと話す。そこで受けたイメージが影響したのかもしれない。

素材への関心も渡欧前後で変わった。それまでパネルに油絵が中心だったが、フランスへ行ってからは、自然にキャンバスや布を手に取るようになったという。滞在中は、日本の文化を考えることが多くなり、刺し子による表現を試みた。パリでの布を使った表現の後、日本に戻って木や紙を使うことが多くなる。それぞれの国に住み、その国を知ったことで、素材選びにも様々な意味が加わるようになったのだろう。

帰国して千葉県にある実家で制作を続けているが、この後は金沢にアトリエを見つけて活動したいと話してくれた。

美術サロンゆたか TEL:(076)232-1341


安井寿磨子展

2004年12月4日(土)〜12月10日(金) G-WING'Sギャラリー(石川県金沢市)

植物を手に、安井寿磨子
「密度」(左)、ハスを描いた「夏を包む」(右)
桜の作品「待つこころ」

トケイソウの作品「飛ぶ鳥」

大阪芸大などで非常勤講師を務める、安井寿磨子の個展。金沢では4回目となる。桜やハスといった植物をモチーフに、銅版画による幻想的で夢見ごこちな世界を描く。

ハスの花がモチーフの「夏を包む」は、太陽が照りつける夏、静けさが支配する真昼のひとときを描いた作品。気怠い暑さの中で凛と咲く花の様子は、切り離された別世界も表現する。

植物を育てるようになってから、モチーフの細部まで丁寧に描くようになったという。植物に触れることで、作品に写実の傾向が強くなるという変化はあったが、絵の中に漂う独特の時間や作品の雰囲気は変わらない。作家は、自身の内面で感じる時間と外の世界の時間との間にあったズレを表現したと話す。かみ合わなかった時間の歪みは、ぼんやりと流れる独特の時空間として作品の中で表現される。やさしいタッチの作品は、独自の空間を作り出し、見る人にゆったりとしたひとときを提供する。

G-WING'Sギャラリー TEL:(076)238-0788


指江昌克個展

2004年12月3日(金)〜12月8日(水) ひろた美術画廊(石川県金沢市)

「world in the pocket」
「ターミナル」

「EARTH」

「パラダイス」

独立美術協会に所属する金沢市在住の画家、指江昌克の個展。

宙に浮かぶ球体に町を閉じこめ、ひとつの惑星を作る−−そんな構想から作品を描く。かつて“廃墟”の印象が強かった作品は、近年、より生命を感じさせるものへと変化している。「world in the pocket」は、少年の頃に見た近所の懐かしい光景を組み合わせてひとつの惑星にしたもの。住む人たちの話し声が聞こえてきそうな、その町の様子は、“廃墟”から離れ、リアルに人々の生活を感じさせている。

近作「ターミナル」は、さらに温かみのある作品となった。ここでも昔街角にあった自動販売機や木造の建物を描き、ノスタルジックな雰囲気を作り出している。球体の名残はあるものの、人の出入りが想像できるバスターミナルの様子は、より身近で具体的な印象が残る。

そのほか、これまでの大作から細部のモチーフを取り出して描いた小品など、十数点を展示。たくさんの思い出が詰まっているという“ガチャガチャ”は、色とりどりに描いた3点の連作「パラダイス」として制作された。

「近所の風景が好き」な作家は、これまで自分が住んできた町を描くことが多かったが、まだ知らない町も訪れて描いていきたいと話してくれた。

ひろた美術画廊 TEL:(076)240-0007


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