松尾峰昇 個展

2005年4月1日(金)〜4月12日(火) ひろた美術画廊ANNEX(石川県金沢市)

「合図」
「犬」(手前)と会場の様子
作品の前に立つ松尾峰昇
右から「籤(くじ)」「分岐点」

水彩画の小品が並ぶ中、大きな油絵の作品「合図」が目に付く。金具、鉄のプレート、コンクリートなどの無機物で構成されているのにどこか生々しいロボットが、生き物のように描かれている。スイッチや窓といった身近にあるものを取り入れて、進化してゆく世界を表現したのだという。

この大きな作品を分解し、ひとつひとつのパーツに切り分けたものをモチーフにして、約40点の水彩作品が描かれた。廃車にされようとしている列車、動物園のあざらし、羊や犬、女性のいる風景を描いた作品は、ノスタルジーを思わせる。

個々に分解したモチーフを描く試みは、「相反するものの組み合わせ」に取り組んできたこれまでの区切りとになったかもしれない。作家自身も肩の力を抜き、個展会場の様子はリラックスした雰囲気。ただ会場奥には、意味深長なタイトルを付けたユニークなロボットの水彩画がずらりと並び、次回作のテーマとなるべく待機しているように見えた。

松尾峰昇は、1976年愛知県生まれ。金沢美術工芸大学大学院修了。金沢で制作活動を続けている。

ひろた美術画廊 TEL:(076)240-0007


金田 雅 作品展−ちいさな存在感−

2005年3月31日(木)〜4月5日(火) ギャラリー林檎舎(石川県金沢市)

 
 
 
 

金沢市在住の彫金作家、金田雅の個展。銀や銅で作る小物やアクセサリーは、ぽかぽかとした日だまりの中に置かれ、ふんわりとした温かみのある雰囲気。木目のテーブルとも違和感なく調和し、何気なくそばに置いておきたい気持ちになる。

いくつかある作品の中でも目を引いたのは、中央のテーブルに並んだ銅製の植物。板状の銅版を何度もたたいて半球の器型にした中に、淡い色合いのイタリアンガラスを入れ、水のように透明感のある樹脂で固めた。硬い素材の組み合わせにも関わらず、作品には柔らかさがあり、手触りまで実感したくなる。会場の奥に置いた作品ファイルは、作家自身が撮影したもので、作品ひとつひとつの繊細なイメージがよりはっきりと出ているようだ。

その他、球形のピンクッションやキャンドルスタンド、赤や青の糸を組み合わせた指輪やネックレスなど、個性的な作品が並ぶ。

ギャラリー林檎舎 TEL:(076)268-8022


ローゼンダール展/デザインと機能性の融合を求めて

2005年3月27日(日)〜4月25日(月) コニーズアイ(石川県金沢市)

「Lin Utzon ベース」
1951年から作り続けられてきた「Monkey」
アンデルセンのディナーウェア

1984年、デンマークの貿易商社として設立したローゼンダール社。日常生活に根ざした良質なデザインで定評のある北欧デザインの本場デンマークで、新しいデザインを作り続けてきた。カイ・ボイセン、山田耕民、マリア・バーンセン、フレミング・ボ・ハンセン、エリック・バッガーといったデザイナーを中心にフラワーベース、木製玩具、キッチングッズなど紹介する。

また、アンデルセンの生誕200周年を記念して作られたディナーウェアも合わせて展示。ローゼンダール社のデザイナー、リン・ウッツォンが、アンデルセンの6つの童話から受けたインスピレーションをそれぞれのプレートに描き、独自のモダンなデザインに仕上げた。2004年2月に行われたフランクフルトのアンビエンテ(インテリア・フェア)にて、デザインプラス賞を受賞している。

アンデルセンの誕生日でもある4月2日からは、「アンデルセン生誕200周年記念・ディナーウェア展」を同時開催。公式アンデルセン・ディナーウェアとして作られたリン・ウッツォンの作品全てが並ぶ。

コニーズアイ TEL:(076)239-1818


内山政義 作陶展

2005年3月25日(金)〜3月31日(木) G-WING'Sギャラリー(石川県金沢市)

会場の様子

「青白磁滴文瓶」「がまずみ文小鉢」など

「若松文合子」(右2つ)「赤詰草文合子」「りんどう文合子」
「赤詰草文壺」

作陶歴40年、染付けに始まり色絵、青磁を数多く制作してきた陶芸家、内山政義の個展。

内山政義は、近代陶芸に多くの影響を与えた富本憲吉の「模様から模様を作らず」という言葉に共感し、工房周辺に咲く草花のスケッチを繰り返すことで自分の絵付けを生み出してきた。小判草や麦、あざみをモチーフにし、独自のラインを描く。

器の形も独特だ。小鉢、香合、湯呑みの安定感のあるコロンとした形状は、かわいらしく親しみ易さがある。直線的でシャープな印象の作品を作っていた若い頃と比べて、ずいぶん変わったのだという。染付けの他に、作家が最近特に魅力を感じているという赤絵や、ケーキのデコレーションのように絞り出して描いた「いっちん」という手法による青磁など、雰囲気の違う様々な作品が並ぶ。年を経るごとに作品の幅を広げてきた様子。次は白磁に挑戦したい、と意欲を語ってくれた。

内山政義は、1942年大阪府生まれ。1924年、京都で百々窯を開窯。京都嵯峨芸術大学で非常勤講師を務める。

G-WING'Sギャラリー TEL:(076)238-0788


能登線日和 湯浅啓写真展

2005年3月25日(金)〜4月5日(火) ひろた美術画廊ステージN(石川郡野々市町)

「寒陽」

「無題」2005年3月

「小浦小景」
「月影」

四季の風景と鉄道の姿を撮り続けてきた写真家、湯浅啓の個展。今年3月で廃止される、のと鉄道・能登線の風景を撮影し写真集「能登線日和」にまとめた。その発行に合わせての開催となる。

車窓から見る美しい海の風景に心を奪われ、10年程前から、のと鉄道を撮っている。昨年3月に廃線が決定してからは、失われてしまう風景を写真に留めたいと、これまで以上に足繁く通うようになった。素朴でおだやかな地元の人の温かさに触れ、列車に乗り合わせた人々をとらえるまなざしも自然と優しくなる。撮影をしていてなによりも心に残ったのは、そこで出会った人々のことだったという。作品の中には、人との出会いがきっかけで生まれたものも多い。

田園・丘陵地の美しさ、各駅に桜の木が植えられたこと、訪れる度に違って見える海の表情など、撮影をするうちに改めて沢山のことに気付き、その土地にますます惹かれていった。撮り残したものがまだまだあるようだが、列車がつないだ人々の絆を、作品は十分に伝えている。

湯浅啓は、1968年金沢市生まれ。雑誌や広告関係の撮影を中心に活動する。

ひろた美術画廊ステージN TEL:(076)294-0203


第29回 日本海造型展

2005年3月16日(水)〜3月21日(祝) 石川県立美術館(石川県金沢市)

奥田きく子「月あかりの中に」
梶本良衛「山の海月」
斎藤久子「閉じこめられたカップル」
金田和子「采」
角偉三郎「木書」

絵画、彫刻、デザイン、書、漆芸など様々なジャンルで活躍する作家が集まる日本海造型展では、毎年テーマを設け、制作した作品を展示している。29回目の今年のテーマは「結」。石川県内の作家19名の作品が並ぶ。

洋画家、奥田きく子の「月あかりの中に」は、長さ5.6mの布に過去の記憶を描き留めたもの。月あかりの下では、自然と心が解放され、自分自身が浮かび上がるという。そんな状況に身を置いて、思いついた過去の出来事、またはこれからの出来事を自由に描いた。

自然の枝ぶりをそのまま生かし、“くらげ”のイメージで制作した梶本良衛の「山の海月(くらげ)」は、漂う生き物の姿を儚く、そしてユーモラスに伝える。斉藤久子の「閉じこめられたカップル」は、架空の微生物が増殖する現象を表現したもの。作家が生物に対して持つ愛しい気持ちから生まれた作品。

種類の違う墨を使い、その発色の違いや色の持つ深みを表現した金田和子の「采」。使った墨は30年から50年を過ぎたもので、独特の落ち着いた色を見せる。杉の板を割り、加工せずに漆や金箔を施した角偉三郎の「木書」は、木が持つ本来の美しさや天然素材の温もりを伝える。

いつもとは違う素材を使ったり、ほんの少し遊び心を加わえ、個性的で創造性豊かな作品が並んだ。参加したのは、今英男、栄田満、大場吉美、奥田きく子、折橋正一、梶本良衛、角偉三郎、門脇文雄、金田和子、五寳利男、斎藤久子、鈴木治男、姫野治雄、福田年晃、藤井肇、松本佐一、三上道幸、水野一郎、三井泰子。

石川県立美術館 TEL:(076)231-7580


大泉佳広・中村五月 二人展

2005年3月24日(木)〜3月29日(火) ギャラリーノア(石川県白山市)

大泉佳広「ASITA NO JYUNBI」
大泉佳広「MORI」
中村五月「声」
中村五月「コトダマ」

金沢美大大学院博士課程に在籍する大泉佳広と同大で非常勤講師を務める中村五月の2人展。

大泉佳広のアクリル画には、これまでの記憶をたどって作り上げた空想の世界が広がる。「ASITA NO JYUNBI」は、空をイメージした箱に雲と太陽が収まり、夜明けを待っている様子が描かれている。時間の養分を得た木が育ち造られていく「MORI」、雲を生成する塔「AOIRO NO TOU」など、少し歪ませた自然界の現象を描く。奇抜で面白いものを作りたいという思いから、立体作品に取り組むこともあったが、自分にとって制作の基本となっていた平面に立ち戻った。1973年、三重県生まれ。構想段階のものを点描で仕上げた5点を含む作品18点を展示する。

中村五月は、自身を中心にして回る想像の世界を描く。暗い背景の前で佇む女性は自分自身。口から吐く白い息は、思想、意思、会話、言葉の象徴として、どの作品にも描かれている。自分を通して見た『夢の世界』を表現することで、他者との繋がりを生み出したいと話す。1972年、金沢市生まれ。テンペラ・油絵による作品9点とエスキース5点を展示する。

ギャラリーノア TEL:(076)276-4486


中佐藤滋・安元亮祐 2人展

2005年3月19日(土)〜3月27日(日) 美術サロンゆたか(石川県金沢市)

中佐藤滋「愛しているから下がって欲しいの」2005年
中佐藤滋「ゆっくりと落としてあなたを感じて」2005年
安元亮祐「七月の猿」(手前)2004年
安元亮祐「3人の騎士」2003年

人間の哀愁をユーモアで表現する、中佐藤滋と安元亮祐の2人展。それぞれ作品20点ずつを紹介する。

シルクハットを被ったメガネの男、机の上のコーヒーカップ、家、猫、豆電球。中佐藤滋の作品は、ありふれた日々の悲哀や情感を暗い色調で描き出す一方で、現実とはかけ離れた物語の一場面を思わせる。意味深なタイトルは、息子であり詩人Kanaの詩から取ったもの。詩とのコラボレーション作品「月の欠片」2点も展示。中佐藤滋は、1947年東京都生まれ。一線美術展、安井賞展、安田火災美術展財団奨励賞展など出品。

銅版画、ドローイング、立体作品から、舞台美術まで手掛ける安元亮祐は、アクリル絵の具によるコラージュ作品を展示。人物、風景、草花をモチーフに展開される楽しげな幻想世界や、そこで生きる人々を肖像のように描いた近作が見る人を和ませる。安元亮祐は、1954年姫路市生まれ。光風会展、安井賞展、昭和会展など出品。

美術サロンゆたか TEL:(076)232-1341


宮川布美子個展「ウチガワ」

2005年3月18日(金)〜3月29日(火) ひろた美術画廊ANNEX(石川県金沢市)

会場の様子
「a deep sleep」
「ねむり」
「対話」

宮川布美子は身近にあるものをモチーフにし、人間の思考の深みや自分自身の内面をキャンバスに映し出す。

黒いワンピースの女性を描いたいくつかの作品が今回のメインとなっているようだ。2人の女性は同一人物で、点や線を軸にして対照的に描かれている。人間の中にあるネガティブな部分とポジティブな部分、この相反する感情を表現した。

会場全体を見ると、黒っぽい作品が多い。猫の作品4枚は、黒を使いたくてモチーフを探し、飼っている愛猫の黒い模様に気付いた時に描いたもの。制作は“黒”へのこだわりから始まり、絵の具をナイフで置いてみたり、手でこすったり、周辺の色を変化させてみたりと、黒という色が持つ可能性を探求するものとなった。

1978年、福井県生まれ。金沢美術工芸大学、福井大学大学院を卒業。2001年、2002年と国画展に入選。2002年から北陸国画グループ展に出品している。

ひろた美術画廊ANNEX TEL:(076)240-0007


中島望展 内なる世界−絵画にかこまれた世界−

2005年3月6日(日)〜3月13日(日) 金沢市民芸術村(石川県金沢市)

「花咲き山へ」170×220cm
「再びここへ重なり合い」210×675cm
「つながりあうことは不自然なことからはじめるのかもしれない」175×510cm
「もちもちの木の夜」240×360cm

水を媒体に、他者とのコミュニケーションを問いかけたプロジェクト「テイク・プログラム」を展開する中島望が、自身の内面世界を映した絵画作品を展示する。

大きいものでは8m以上もある作品が、会場の四方に掛けられる。自分自身を見つめることができる場所にしようと、暗幕を張り、静寂の空間を作った。中央に立ち、ぐるりと作品を見渡すと、不安や葛藤がうごめく音、緊張や抑圧から生まれた軋む音が聞こえてくるようだ。作家自身が恥ずかしくなるほど内面をさらけ出したという作品だけに、それを見る人にはダイレクトに伝わる。“自己を介した他者とのコミュニケーションを問う場”と展覧会を説明した入口のパネルに納得する。

モチーフとしたのは、未知なる宇宙を感じさせるものから、身の回りにあるものまで様々。作品は、会場の手前と奥で2つの作品群に分けられる。飛行機やバイク、学校、クジラなどを雑多に描き込み、混沌とした内面を表現した「再びここへ重なり合い」など、手前の作品3点は“感覚”がテーマとなっている。奥には、現実世界とその対岸にある境地を描いた作品など“観念”をテーマにした3点を展示。“感覚”から“観念”へと変化する作品からは、描くことで精神の浄化を得ていると話す作家の心の動きが見て取れる。

1995年、金沢美術工芸大学絵画専攻油絵卒業。1998年、CCA北九州リサーチプログラム修了。現在、金沢で活動する。

※同会場では3月12日(土)、数少ない女性バンドネオン奏者である小川紀美代のライブが2回(第1部16:00〜、第2部18:00〜)行われる。

金沢市民芸術村 TEL:(076)265-8300


李鍾禮 陶磁展−自分の過去を振り返る−

2005年2月25日(金)〜3月2日(水) ひろた美術画廊(石川県金沢市)

「時間と空間W」(奥)「自分の過去を振り返る」(手前)
友人がモチーフ「自分の過去を振り返る」

「時間と空間U」

親戚がモチーフ「自分の過去を振り返る」

金沢美大修士課程2年の李鍾禮の個展。李鍾禮は、1971年韓国生まれ。4年前に来日し、東京を経て金沢で3年間学んだ。韓国にはなかったという色土を使い、個性的な作品を作っている。

展示する作品は5点。ひも状に伸ばした粘土を筒のように積み上げて焼成した、大小様々な陶磁作品が並ぶ。黒土と陶土を組み合わせた「時間と空間U」は、日本に来て制作を始めた初期の頃のもの。太さの違うひも状の粘土を使い、土にひびが入るように成形。土の柔らかさを表現したいと考えた。2色のうち白い土が表すのは“水”。作品のテーマである“時間”の流れを水に例えて表現している。

高さ10〜30cmの小ぶりなやきものが数十個群生する作品「自分の過去を振り返る」は、友人や知人をモデルにしている。一つ一つのオブジェが、曲がりくねって、自由に色々な方向を向き、倒れて地面を這っていたりする様子は、モデルとなった人の個性を映している。同タイトルの真っ白で細長い作品は、親戚をモデルにした。4人の家族を描いた「時間と空間W」は、陶土、赤土、黄土を組み合わせ、両親と2人の妹弟の性格を土の色や形で表す。いびつな瓶の形を思わせる陶磁作品は、どこか柔らかさと温かみがあり、生き物のようにも感じられる。

作品は全て、金沢での3年間に制作したもの。今年卒業する李鍾禮の作品は、3/5(土)〜3/10(木)、金沢21世紀美術館で開催する修了制作展でも見ることができる。

ひろた美術画廊 TEL:(076)240-0007



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