風景の感じ方−九谷焼の色とかたちに記憶を重ねて−2005年5月20日(金)〜6月24日(金) 金沢21世紀美術館デザインギャラリー(石川県金沢市)
九谷焼で作られた“やきもの”の植物が、自由に枝葉を伸ばす。現代美術作家、高橋治希がイメージするのは、つぼみから花が開き、生長していく植物の様子。植物の生命力やエネルギーを表現したいと話す。 ほぼ正円に渦を巻いて広がる植物の中心部分に、小さな芽やつぼみがある。外側に向かい大きく開いた花や葉には、九谷の釉薬で色とりどりの風景が描かれている。ひとつひとつのつぼみに物語が内包され、生長した花や葉によって語られるというもの。車やビル、連なる屋根など、作家の心象風景がモチーフとなって、物語が展開される。 「風景の感じ方」の展示は2回目。作品は精度を上げ、より繊細に作られた枝やつぼみ、より緻密に描かれた風景に前回との違いが見られる。九谷の釉薬の“透明感と瑞々しさ”を生かした作品は、カラフルになった印象で、外からの光を反射してきらきらと波打つ様子がとてもきれい。 ガラス張りの部屋での展示。視線を移すと外の緑の世界へと繋がり、空間の連続性が視界を広げる。天気によって作品の見え方が変わり、立つ位置によって部屋の大きさが変わって見えるなど、空間との関係が丁寧に考えられている。 高橋治希は、1971年金沢市生まれ。東京芸術大学大学院後期博士課程修了。ロンドンや北京での留学を経て、現在は県立金沢錦丘中学校・高校教諭を務める。 金沢21世紀美術館デザインギャラリー TEL:(076)220-2800 |
テーマ展「希望」:浅の川画廊20周年記念展PART12005年6月1日(水)〜6月11日(土) 浅の川画廊(石川県金沢市)
画廊20周年記念展PART1として企画された展覧会。県内外で活躍する23人の作家が「希望」をテーマに制作した作品を展示する。 白井正浩の「仄(儚い者たち)」は、小さな3つのキャンバスに不気味な人物が描かれた。目や口を大きく開き、何かを訴えかけるような表情で人間の暗部を表現する。高野寛は、ピアノやチェロなど楽器を演奏する動物をユーモアたっぷりに描いた「JAZZ」。躍動的なジャズのリズムを伝える。透明なフレームに入った松永敏秀の「桜鏡T」は、もやに霞んだ桜の姿を優しく描き出した。若手からベテランまでが出品し、それぞれの視点から表現する「希望」が集まった。 出品作家は、石崎誠和、宇野のり子、大泉佳広、小田根五郎、京岡英樹、小林利幸、五味祥子、坂野祐子、白井正浩、鈴木治男、田井 淳、高野 實、中西真三、西房浩二、野村秀久、堀 一浩、前田昌彦、松永敏秀、三浦賢治、安田 淳、山本 勇、横江昌人、六反田英一。 また、20周年記念展PART2では、東京銀座のすどう美術館4回目となる出前美術館の企画展。テーマ「マドリッドからの贈りもの」に合わせ、現在マドリッドを拠点に美術活動を続けている8人の作家から作品約50点を紹介する。 浅の川画廊 TEL:(076)222-5043 |
山本勇作品展2005年6月2日(木)〜6月7日(火) ギャラリーノア(石川県白山市)
「大地のぬくもり、自然との共生」をテーマに制作している画家、山本勇の個展。春の北インドを旅し、取材する中で気付いたインドの厳しい現実とそこで見た光景を、およそ20点の油絵作品で紹介する。 今年2月、初めてインドに渡り、“神々と信仰の国、喧噪と貧困の国”に強烈な印象を受けたという。川面に眩しく反射する鮮やかな夕焼けや、うっすらと色付いた空を背景に、歴史的建造物がシルエットとなって浮かび上がる様子は、インドでのゆったりとした時間の流れを感じさせる。「瞑想」で描かれたのは、ガンジス川に浮かぶ一艘の舟。舟の上にひしめき合う人の姿は、貧困にあえぐ人々を象徴していたり、また、外国から流れ込む武器を暗示している。穏やかな雰囲気で描かれる作品には、平和を願う画家の強い気持ちが込められた。 山本勇は一水会会員、石川県美術文化協会会員。今年の一水会、現代美術展受賞作品も展示する。 ギャラリーノア TEL:(076)276-4486 |
遊具連関vol.6 石崎誠和個展2005年5月25日(水)〜6月31日(金) G-WING'Sギャラリー(石川県金沢市)
人と作品との関わりから、新しい鑑賞のあり方を提案する「遊具連関」。土田俊介、廣瀬陽子、石崎誠和、喜多村徹雄の4人のアーティストで展開するプロジェクト、その6回目となる日本画家、石崎誠和の個展。 風景や水、植物をモチーフに、移りゆく自然の姿を捉えた作品が並ぶ。入口を塞ぐ大きな作品「cognition curtain」は、ビニールを何枚も分厚く重ねたもので、そこをくぐって入る人の想像をかき立てる。透明なビニールの一面に、ペンキと方解未(岩絵具)で“松”が描かれている。同様の作品が、自然光の差し込む会場奥にも置かれており、そこでは反射した光がそよそよと水の流れのように揺らめき、ペイントされた松も瑞々しく映る。ビニールには沢山のスナップボタンが取り付けられ、ボタンを付けかえることで様々に形を変える。 平面の作品は、板に和紙を貼り、本来下絵に使う泥絵具に岩絵具を混ぜて描いており、なかでも、11枚の連作「第二期連鎖集散する絵画」が目を引く。一見普通に見える平面作品は、それぞれのパネルが独立しており、その並びも固定されていない。決まりきった概念に疑問を投げかける作家は、パネルの並べ方を変えることによって鑑賞者との距離を縮めようと試みる。 石崎誠和は、1976年石川県生まれ。金沢美術工芸大学博士後期課程修了。 G-WING'Sギャラリー TEL:(076)238-0788 |
かるべめぐみ絵画展「ヤホホホホ」2005年5月17日(火)〜6月5日(日) メロメロポッチ(石川県金沢市)
子供や動物、空想上の生き物を描き、夢見ごこちな優しい作品を制作する、かるべめぐみの個展。所々にコラージュを施し、細部まで丁寧に描いた水彩作品は、独特の印象がある。 子どもたちのありふれた日常の一場面に、空を飛ぶスーパー犬(けん)や夢を食べるバクにも似た生き物、路面電車のように走るトナカイといった空想上の生き物が入り込み、ユーモラスな夢の世界を作り出す。小さく切り取った写真をコラージュとして使いながらも、ノスタルジックな色合いにまとめられた作品は、ホッとする雰囲気。 玉乗りするクマが少女を肩車し、手をつないだ子どもたちがコミカルな動きで跳ねて踊るなど、楽しそうな様子が描かれる。地面の下にカラフルな花の写真をコラージュした作品は、子どもたちの足下にたくさんの夢と可能性が内包されている、そんな想像さえできる。 かるべめぐみは、金沢美術工芸大学油画科卒業。2003年イタリア・ボローニャ国際絵本原画展入選。著書に、絵本「たんじょうびのまえのひに」がある。水彩画約30点のほか、デザインを手掛けたテーブルウェアを紹介する。 メロメロポッチ TEL:(076)234-5556 |
早崎和代個展2005年5月20日(金)〜6月1日(水) ひろた美術画廊(石川県金沢市)
光風会に所属する、早崎和代の個展。バイオリンの音色や存在感に惹かれ、モチーフとして長年取り入れている。主に静物の作品が多く並ぶ。静かな部屋の佇まいや植物の様子を丁寧に描き、空間の魅力を伝える。細部にまで気を配った筆の運びから、女性らしい細やかな感性が伺えるようだ。 白を使った空間表現は個性的に映る。注意を引き付ける独自の白は、見る者に強い印象を残す。真っ白な背景の中にポツンとザクロが置かれた「紅い実」やテーブルの上のオレンジ「orange」は、白の強さを全面に出しながらも、ザクロやオレンジの存在が際立つように描かれた。 早崎和代は、金沢美術工芸大学油画科卒業。光風会、日展、現代美術展などへ出品、受賞を重ねる。 ひろた美術画廊 TEL:(076)240-0007 |
Duet Diet 小谷真輔展2005年5月7日(土)〜5月14日(土) 葡萄夜(石川県金沢市)
金沢を拠点に活動する現代美術作家、小谷真輔の映像作品を展示する。時間をずらして同じ映像を流す2台のテレビ。短いハミングを切り張りして繋げた音は、輪唱しているようにも聞こえ、どこか現実離れした雰囲気がある。 映像は、粘土とプラスチック人形の足を使った1つのオブジェから生まれた。白い紙に描かれたイラストはパラパラマンガのような動画を作る。モコモコとした雲のような物体から足が生え、膨らんだり縮んだりと、奇妙に変化を続ける作品。 こぼれ落ちていく記憶から何かをすくい取ろうとする作業の中で、作家は浮かんできた光景をモチーフにする。プラスチック人形もそのひとつ。記憶や体験を他者が共有することは難しい。記憶のイメージを映像にした作品は、共有しない他者に入口を用意する。 小谷真輔は、1980年兵庫県生まれ。2005年、金沢美術工芸大学油画専攻卒業。 葡萄夜 TEL:(076)263-0826 |
海の向こうのふる〜い絵本展2005年4月29日(金)〜5月31日(火) コニーズアイ(石川県金沢市)
1950年代のヴィンテージ絵本を約200冊展示する。今は絶版となり、なかなか見る機会がない絵本や有名作家の作品など。子どもたちのために工夫を凝らし、カラフルに描かれた絵本は当時のグラフィック作品としても楽しむことができる。 国際的な絵本作家、アントニオ・フラスコーニの作品も並ぶ。大胆な構図と色鮮やかな木版画で作る作品は、当時では画期的な多言語表記がされ、子どもたちに大きな影響を与えた。フラスコーニが初めて作った絵本「SEE AND SAY」や、その続編「SEE AGAIN SAY AGAIN」は、身のまわりにあるものの名前を、英語、イタリア語、フランス語、スペイン語でそれぞれ色を変えて表記する。子供から大人まで誰もが楽しめる絵本として高い評価を得た。 本棚に絵本をずらりと並べた展示スペースは、独特な本のにおいがして昔懐かしい雰囲気がある。荒っぽい紙とボテッとしたインキ、発色など、現代の絵本では見られない違いも、その時代を伝える面白味となった。 コニーズアイ TEL:(076)239-1818 |
装飾提案 布モダニズム2005年5月6日(金)〜5月17日(火) ひろた美術画廊(石川県金沢市)
新潟県にある工房で本麻を使って作られるタペストリーやのれん、クッションカバーなどを紹介する。落ち着いた色合いで日本家屋を彩る作品が並ぶ。ちょっとした小さな作品でも、一つ置くことで部屋の雰囲気をずいぶんと変えてしまう。ギャラリーの主人が、そんな作品の存在感に惚れ込んでの展示となった。 蒸し暑い日本の夏を麻素材のインテリアアイテムで爽やかに過ごそうという、ひとつの提案。風さえも感じさせる、さらりとした質感は上質の麻ならではのもの。ひと味違う“涼”がここにある。 ひろた美術画廊 TEL:(076)240-0007 |
太田喜代司展−LAND OF PARADOX−2005年4月28日(木)〜5月10日(火) ギャラリーノア(石川県白山市)
白山市在住の画家太田喜代司は、破壊の後から始まる新しい創造を意識し、そこで生まれる一連のサイクルをテーマに描く。 弾丸など破壊の跡が残るコンクリートや鉄の壁、無機質な建物が暗い画面の中で浮かび上がる。砂を吹き付けた画面に、絵の具を重ね、独特のマチエールで表現。人の気配の無い廃墟の中でぽつんと描かれた卵や梨など、生命の断片がわずかに描かれ再生を象徴している。これまでの作品にも確認できる黄色と黒の縞模様の物体は、近年になって、少しずつ人の姿になってきたという。画面に浮かんで見えてきたものを逃さずに捉えようとする、作家の姿勢がうかがえる。 太田喜代司は、1952年白山市生まれ。二紀会同人、石川県美術文化協会会員。NPO法人アーチストネットワーク石川では副理事長を務め、さまざまなイベントを開催するなど精力的に活動する。 ギャラリーノア TEL:(076)276-4486 |
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