
酒造りで最も重要な麹造りに、
杜氏の研ぎ澄まされた5感と技がものをいう |

近代化と伝統を融合させる一本義久保本店 |
「一」にすべてを込めて
一本義、なんとピシリと筋の通った語感をもつ名だろう。由来を尋ねてみると、最高の真理、優れた悟りの智慧を究めた境地の意の禅語によるものという。ラベルにデザイン化されている「一」は、最高であることの「一」、神髄を極める「一」、そして物事のはじまりの「一」。「一本義」100年の歴史の原点を常に見つめ、さらに酒造りを究めてゆこうとする蔵の思いと姿勢をまさに集約している。念ずれば通ずというが、金沢国税局や南部杜氏協会の品評会において、20年以上に渡ってほぼ毎年金賞を受賞しているほか、モンドセレクションをはじめ数々の栄誉に輝く。2000年には、国際線の機内食で期間限定の地酒として、純米吟醸酒「伝心」が採用されている。決して念じているだけではできない、やはりそこには「一」にこだわる蔵の努力があっての結果といえよう。
神の山から流れくる水の恵み
「一本義」のふるさとは、福井県の北東に位置する奥越の城下町、勝山市。この街には坂と水路が多い。一本義久保本店のある沢町の町名も水に由来し、その名の通り店のすぐ横を、町なかというのに水量豊富な清流が走る。街の随所で、普段より一段とかさを増した水が水路を勢いよく駆けおりてゆく。霊峰白山をめぐる白山山系の雪解け水である。日本海まで続く広い範囲に豊かな恵みをもたらす水であり、その伏流水は一本義の命ともいうべき水。「一本義」の味わいと1万500石の製造量を支え続けている。水質はまろやかな軟水、麹や酵母の増殖を助けるミネラルを適度に含む。この良水が数々の名酒を生み、また蔵人のイマジネーションをかき立ててきたのだ。現在、商品アイテム数は170から180、販売量は全国大手酒造で70位の中に入り、さらにランクを上げ続けている。取材に対応してくれた製造課長はこう語る。「ある意味、あらゆる酒を網羅しなくちゃいけない難しいクラスです」。確かにそれはいえるだろうが、しかし多様なニーズに品質でしっかり応えてきたという証しでもあるのだ。
一本義らしい旨さを追いかけ
「とびっきりのよい水とよい米があるんだから、とびっきりの酒が造れなければダメなんです。それはもう私たちの努力しかありません。テイストの追求や酒造技術はもちろん、すべきことは多岐にわたります」と製造課長。そんな努力の1つに減農薬無化学肥料栽培米の契約栽培がある。勝山の隣の大野はもともと酒造好適米の五百万石の産地。地元奥越の田で酒蔵も参加した健康な米作りが行われている。また、奥越では無理とされていた酒米の最高品種山田錦の栽培にも取り組み、農家、JA、酒蔵の三者一体の共同研究から、大粒で芯白が大きく高い精米度にも耐える山田錦の栽培に成功。吟醸などに使用され、地元の愛飲家の注目を集めている。「一本義」の主流は、どちらかというと辛口で、引き締まった味わいの男っぽさが基本にある。こういった米本来の旨味をより生かすことに心血を注ぐことで、個性にさらに磨きをかける一本義。淡麗という向きが薄れ、新しいキーワードが求められる時代に、キラリと輝きを放つ蔵元である。
|ふるさとの酒肴|ふるさと旅自慢|
|求めることのできるお店|飲むことのできる店|飲むことのできるふるさとの宿|
|